私と公同幼稚園との出会いは、2015年の5月から始まります。当時ACTAでアルバイトをしていた私は、アルバイト先の店長の娘さんが公同幼稚園に行っていたことを知りました。自然との触れ合いをとても大切にしているということ、冬でも半袖、半ズボンの子どもがいることを店長さんの話やホームページで知っていく中で、とても興味を惹かれた私がいました。そんな私の目にとまったのは、「すべてを遊びにしてしまう」の一言でした。この言葉に驚きとそんなことができたらどれほど楽しいかとワクワクする気持ちがとまらなかったことを今でも覚えています。私はもっと公同幼稚園のことを知りたいと強く感じました。思い切ってボランティアとして公同幼稚園に行けないかと思い、電話をかけました。今思うと、この電話をかけなかったら今の私はいないのかなと思います。見ず知らずの私を公同幼稚園は温かく迎えてくださいました。
そこから始まった公同幼稚園の生活は、四季折々に果物や野菜等が収穫でき、楽しむ日々でした。それでも、“ただ食べるだけでは終わらない”のが公同幼稚園。「モノには同じ名前でもいろいろな形、大きさ、色がある」と、教えていただいたように、一つの食材にしても料理する前と後では全く違う姿を知ったり、子どもたちの手ぐらいのものから、腕をどれだけ広げても追いつかない大きさのものがあったり、様々な姿を楽しむ中で感じたのは、どうしてここまで子どもたちは興味を持ち、目を輝かせながら見ることができるのか。それは、様々なものを見る時間が自然とあるからだと強く感じました。苗植えから体験し、その育ちを真近で見ているからこそ子どもたちは植物の成長に目を向け、体験しているからだと感じました。
そして2016年4月、正式に公同幼稚園の仲間入りをさせていただき、今までよりも長く子どもたちと寄り添う時間を持つことができるようになりました。その時間は、“すべてを遊びにしてしまう”の世界に溢れていることをさらに深く知りました。そんな素敵なひと時をさらに彩っているのが、その時その時にあったぴったりの絵本とわらべうた!こんなにもたくさんの絵本とわらべうたに出会うことができたのは公同幼稚園に出会えたからです。図書館に行っては小さな子どもたちの横で絵本を読んだり本屋さんに行くと真っ先に絵本のコーナーに行き、「この絵本は今の生活にぴったりだな」とか、「この絵本からこんな遊びが広がりそうだな」などと考えているうちに、気づけば何時間も本屋さんにいることがあったりするほど絵本が大好きになりました。大好きになったのは絵本だけでなくわらべうたもです。わらべうたで遊ぶ日々は、子どもたちとの仲を一気に深めました。毎日どこからか聞こえてくるわらべうたは子どもたちを引き込み、笑顔が広がります。「いつでも、どこでも、だれとでも」遊べるわらべうたの楽しさを知り、大好きな存在になっていきました。そんな楽しい日々を過ごしているうちにあっという間に一年が経とうとしています。
公同幼稚園での生活は私の世界観を大きく変えました。今までの普段の生活の中でも気づかなかったところに目を向けるようになりました。子どもとの散歩に始まり後川での菅井先生の散策、そして一年を通して楽しめる公同幼稚園の畑。さまざまな場所で「見て、聞いて、触って」とこれらの体験をしたことで私の見ていた世界はがらりと広がりました。今まではただコンクリートのすき間から生えてくる草花の姿でしかありませんでした。それが今ではこんなにも強い生きざまに逆に元気をもらえたり、「あんなところにまで生えてる!」と、気づいたり、「つぼみだった花がさいている!」と、ひとつひとつを大切に見るようになりました。そんな世界を子どもたちと見ることでともに発見し、ともに喜び、ともに感動しています。目をキラキラ輝かせながらたくさんの発見を教えてくれる子どもたち。それが子どもたちなりの発想でまた、おもしろい。そんな大好きな子どもたちにかこまれながら、うれしいとき、かなしいとき、くやしいとき、おもしろいとき、子どもたちの世界は様々に色づいて見えています。自分も毎日が発見と学びの日々。そんな日々のなかで変わっていくことができる自分に幸せを感じています。そんな新しい世界を教えて広げてくれた公同幼稚園で、これからも子どもたちとともに歩んでいきたいです。
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