園庭に、せみたちの大合唱が響き渡る季節がやってきました。たくさん声が聞こえるけど、一体どこで鳴いているのかな?と木々の間を見つめるお友達もいれば、ぽこっと空いた地面の穴に興味を持つお友達も。
子どもたちのそばにいると、大人たちの世界では、何もなかったかのように通り過ぎてしまう出来事が、まるで宝物を見つけたかのように輝きだします。これまでも、四季折々たくさんの場面で、そう感じることがいっぱいに溢れてきました。
それと同時に、公同幼稚園は、なんて恵まれた環境の中にあるのだろうとも思います。
園庭には、たくさんの木、花、実。そして虫たちとの出会い。目の前には、津門川。少し足を延ばせば、夙川や関学などでの景色が広がります。電車にも乗りやすく、数えきれないほどにどんどんとその世界を広げることができる。
前職のお仕事の関係上、これまでいろいろな園を見させてもらってきましたが、園内外へと世界を広げていけるこんな環境に恵まれた園は初めて見ました。
もちろん簡単なことではなく、子どもたちを全力で支える大人たちの見守りがあってのことで、その大変さも、一緒にいく面白さも経験してきました。
その中で、いろんな世界を目で、耳で、身体全部を使って感じ、のびのびと過ごしていく子どもたちの姿がそばにあることを嬉しく思います。
そうもいかないのが、幼稚園を卒園した後のこと。
先日4日(土)に行われたほしまつりでは、卒園児たちと久しぶりに顔を合わせ、ゆっくりと話をすることができました。
「久しぶり!」「大きくなったね!」と毎日のように一緒にいた頃を懐かしむ中、背がどれだけ高くなっても変わらない笑顔に嬉しくなります。
今こんなことに挑戦している!と教えてくれたりと明るい話題もあれば、成長していくにつれ、社会というものを少しずつ経験していく中で、どうもこれまでとは違う感覚に心が暗くなることもあるようで。
自分の気持ちを言葉で語るというのは、難しいことですね。お祭りの間中、顔を見合わせればそばに来て、一生懸命自分の今を表情で、言いにくそうに言葉でも伝えてくれた子がいました。具体的に何かをしてあげられるわけでも、言ってあげられるわけでもないけれど、それがまたいいのかなと。
大人でもただ聞いてほしい場面ってたくさんあって、その子にとって今、自分をその位置に選んでくれたのはありがたく、嬉しかったです。この空間があったことに感謝したのでした。
「毎日、幼稚園が小学校になったらいいのにな~」
一歩ずつ進んでいく中で、ちょっとしんどくなると止まって振り返ってみる。だけどそのまま止まることも、引き返すこともできないことは、本人が一番よくわかっていて、「そうだね~。じゃぁ、幼稚園を小学校にしようか」と話すと、「出来ないでしょ~!」と笑ってまた前を向く。
まだまだ幼い中でもこうして進んでいくことを経験しているんだなと思いました。
そんな会話の中で、ふと思ったのは、幼稚園での歌。たくさんの歌を歌っている毎日。
公同に来るまで、聞いたことのなかった歌ばかりでしたが、どの歌も、毎日の子どもたちにとってぴったりなものばかりで大好きです♪
その中で年長さんの3学期ごろになると聞こえてくるのが、『みちくさ』という一曲。以前にも書いたことがあるのですが、やっぱりこの曲が大好きで。私自身も、この曲、この歌詞に何度も救われてきました。
話は戻っておまつりの日、卒園児たちと話していると、その『みちくさ』が歌うのが好きだったと教えてくれました。
歌詞の意味は、これから自分の道を進んでいく中で、どんどんと深く上書きされていくのかもしれないけれど、そんな曲と出会い、仲間とともに歌えること。それは、これからの歩いていく道の中でも大切なことだなと改めて思わせてくれた卒園児とのひとときだったのでした。
まだまだ夏本番!この曲が今年も聞こえてくるのは、もう少し先ではあるかもしれませんが、今年の年長さんの歌声が響き、ぽっぽさん、さんぽらったさんへと届いていくのが、今から待ち遠しくなったのでした。
その頃が来るまでに、みんなはこれからどんな日々を紡いでいくのかな。
大きな出来事ももちろんではありますが、何よりも毎日の積み重ねのなかで、仲間と過ごすひとときが続き、輝きが増していきますように。
一人一人の心に気付き、寄り添い、一緒に成長していくことができますように。
そんなふうに思っています。
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