西宮公同幼稚園の子どもたちが出かける後川は、丹波篠山市街地から山を越した今も「里山」の様子が残る山あいの集落です。かつては、山を越えてつながり交流していた後川は、トンネルが出来ることになって変わりましたが、長い歴史の中で育まれてきた生活の様子はたぶん今も残っています。
10年以上前の秋に後川を訪れ、周辺を歩き回って白い小さい椿のような花があっちこっちで咲いているのに気が付きました。聞いてみると、お茶の花でした。さらに、それは野生化したお茶の花であることも解ってきました、
後川は、かつて名の通ったお茶「後川茶」の産地だったのです。お茶は、集落のいたるところの斜面で栽培されていて、後川の重要な産業でした。それが、栽培するにあたっての後継者、古くからの品種を守り続けたことが、他の生産地との競争が難しくなり、生産量が少なくなってしまい、結果的に茶畑の手入れも出来なくなったようです。
で、手入れされず残った茶の木が野生化し、花を咲かせるようになりました。茶畑は、映像などでも見られるように、きれいに刈られています。そこに新芽が伸び始めると、茶摘みをして、加工され、お茶になります。常に刈られている茶、茶の木は、花を咲かせてはもらえないのです。
花の咲いた茶に咲くのが、白い小さな椿のような花で、花の後にはまた椿のような実がつきます。そして、茶の花も実も野生化したというか、本来の自然のままの姿ではあるのですが、後川を歩いていると、いたるところで、そんなお茶の様子をみることができます。
そこに目を付けたのが、10日(金)に稲刈りで後川に行った原田先生です。
幼稚園には、福音館の月刊絵本の「たくさんのふしぎ」が、少しだけ並んでいます。どちらかというと、小学生以上くらいが対象の雑誌ですが、時々、幼稚園の子どもたちにもぴったりの内容のものもあたりします。「ダーウィンのミミズの研究」(2000年6月号)や、「わたしたちのカメムシずかん やっかいものが宝ものになった話」(2020年5月号)で、子どもたちのミミズとカメムシの世界はうんと広がることになりました。最近では、たまたま手にした「植物でシャボン玉ができた!」(2018年10月号)で、身近にある木の実や葉っぱで、幼稚園でシャボン玉が話題になっています。にしきた駅前公園や、伏原町の市民会館の南の公園で、春にたくさんの白い花を咲かせるのがエゴノキです。今は、咲いた花の分、たわわに実がついています。「たくさんのふしぎ」では、そのエゴノキの実に含まれているサポニンが、シャボン玉になるのです。先日、つませて貰ったエゴノキの実で、幼稚園でシャボン玉を楽しみました。「たくさんのふしぎ」は、茶の葉っぱや実も、シャボン玉になることが紹介されていて、稲刈りの後、年長の子どもたちは、茶の葉っぱと実の実験で、シャボン玉になることを確認しました。
年長の子どもたちが持ち帰った茶の葉っぱと実で、シャボン玉を楽しんでください。
(菅澤 邦明)
[バックナンバーを表示する]