連休も終わり、5月の毎日が進んでいっています。いちご畑も大活躍、ここは初夏のいちごと秋のいもだけでなく、1年中玉手箱のような場所です。タマネギ、スナックエンドウなど(アスパラは3回前の年長さんが植えたものをこの春おいしく食べました)食べるものももちろんですが、何といっても今はピーピー豆の宝庫。ご存じですか、からすのえんどう豆。わたしの幼少期の思い出はこの豆の笛とそしてれんげ畑です。一面に広がるれんげ畑を見るとこれ以上の歓声はないという位に感動します。今頃、ほとんど見れなくなりましたものね。ピーピー豆をはじめ、草で葉っぱで、そしてたんぽぽの茎でとみんなピーピー、ブーブーと大忙しです。そんなにぎやかな音がしはじめる頃になると新しく入園した仲間たちも園庭でも、そして散歩に出るのも堂に入ってくるようになります。あまり好天気が続かないのが残念ですが園庭のどろんこもあちこちでいろんな形で店が広げられています。
園の生活がずっと毎年積み上げられてきて、先生たち一人ひとりの力も積み上げられてきて、昨日の今日のように日が進んでいっている、あるいはそれでいいと思いがちですが、決してそうではありません。新しい子どもたちが、生まれてまだたったの3年あまりという子どもたちが、4月に仲間に加わったのです。だからどんなこともまず一歩から、です。園の中にどんなところがあるか、公同とっておきのおいしいものって何か、文庫には何があるのか、みんなが「エンチョーッ」って呼んでいるのって一体誰なのか。どろを丸めて何か作っているけれど、自分もしてみたいなあ~そう思って茶色い土をちょっと握って、「はいっ」って先生に見せたら喜んでくれた、すごいなあってほめてくれた。「電車見にいくよ」「おさかなさんに会いにいこう」って言われてついていったら面白かった。次から「おさんぽいくよ」って呼ばれても何のことだかすぐにわかるよ。そんなふうにしてみんな一歩一歩足を踏み出していっています。「ぴょんぴょんしてごらん」って言われたから、その場で跳んだら先生がなわを回してくれた、1、2って大きな声で数えてくれてとっても喜んでくれた。そんなまわりの笑顔で自分もとてもうれしくなり、そしてまたやってみようとする思いから一歩がはじまって、いつしかおとな顔負けのなわとび名人が誕生していきます。絵本との出会いもやっぱりみんな一歩からです。みんなで読んでもらうなんて体験も。一人だけ前へ出て指さしに行ったら、他の子が絵本のページが見えなくなっててしまうよ。そしてそんないろんなことを学ぶ以上に絵本の面白さに出会っていきます。 面白かった、そんな顔をしていると先生が週の終わりの日に文庫かばんにその本を入れてくれたから、家でも何度も読んでもらった。小さな小さなことがつながり、そして子どもが楽しく過ごすことがどんどん広がり、ご家庭の理解や協力もいっぱいにいただき、そのひとつの“小さな”ことは小さなことで終わらずに、子どもが限りなく幅広い体験をしていくことを可能にしてきました。
今日もそれぞれの一歩が踏み出されています。一緒に踏み出す、そして踏み出そうとしている子どもの姿をとらえ、いろんな思いに気づくことが、そこにいるおとなに求められています。
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