(前週よりのつづき)
「自衛隊による共同使用」は、一つには米国・米軍の世界戦略に、自衛隊がすっぽり取り込まれてしまうこと。その構造が変わらない限り、沖縄は東アジアの米軍の戦略の要であり続けることになります。「駐留に伴う諸問題の解決にも取り組みます」とありますが、ヤマト・首相は、その「諸問題」が何であり、何に起因するかは、熟知しているはずです。すべては、「日米地域協定」の圧倒的な不平等、そうであることを条件付けているのが、日米安保条約であること、それは遡れば、太平洋戦争の敗北と戦後処理の問題であることは明らかなのです。
にもかかわらず、そのことを不問にする限り、そこに米軍基地が存在する沖縄では、地元の新聞・沖縄タイムスが伝え続けるように、不平等の「上位」にある米軍兵士による犯罪、そのまま犯罪につながる飲酒運転などの大小の事件は起こり続けるし、決して少なくなることも、なくなることもあり得ないのです。
名護市辺野古新米軍基地建設は「基地負担の軽減」とは言いながら、現在進められている工事は、明らかに基地機能を大幅に大きくする工事であることは明らかです。
こうした、既存の米軍基地、基地問題には別に、国・防衛省は、宮古島市、石垣市、与那国島で、「台湾有事」の名の基に、自衛隊の基地の建設、その強化を行ってきています。そこも又、在日米軍、自衛隊の共同使用が想定され実施もされています。要するに、沖縄では、米軍基地の存在基盤はより、更に拡大強化されていることになります。
「基地負担の軽減」は、沖縄に関する限り、取り組まれてもいないし、想定もされていないのです。全く逆で、基地負担の重荷は、他のどこよりも(もちろんマストの)重くのしかかり続けるのです。
ヤマト・首相の所信表明演説では、「沖縄県を含む基地負担の軽減に取り組みます」としていますが、実は前述のように「空文」に過ぎないのは、同じ所信表明演説で、そうはなり得ないことが、「明言」されているからです。
APECの首相会談で「各国の首脳との間の個別の意見交換を行った」、中でも「米国のバイデン大統領とは、今後も揺るぎない日米同盟を更に発展させることで一致」、それは、「揺るぎない」のです。揺るぎない日米同盟」は、「さらに発展」するのです。「そして、米国では、1月に、第2期トランプ政権が発足します。日米安保体制は、わが国の外交・安定保証政策の基軸です」とする時の、日米安保体制こそが、沖縄に米軍基地があり続けること、そのことでの大小の事件、沖縄の強いられる基地負担が決して軽減することのない何よりの理由、根拠なのです。
(次週につづく)
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