(前週よりのつづき)
「東京電力は、福島第一原発5,6号機と福島第二原発1~4号機で貯蔵している使用済み核燃料の一部を青森県むつ市にある国内唯一の使用済み核燃料中間貯蔵施設へ搬出する方針を示した」「東電の小早川智明社長が7日、青森県の宮下宗一郎知事と面談し、中間貯蔵施設への中長期搬入・搬出計画を提示した。使用済み核燃料は福島第一、第二原発の廃炉を安全に進める上での懸案となっており、搬出が実現すれば原発事故後初めて、廃炉作業上のリスクが低減することになる」
東電福島の使用済み核燃料の、中間貯蔵施設への搬出は「福島第一・第二の廃炉を安全に進める上で」とされていますが、それらが搬出された後の事故の東電福島も、搬出・搬入された青森県むつ市の中間貯蔵施設も、それらが処理不能の放射性物質であってみれば、どんな意味でも「安全」ではあり得ません。
溶融燃料・デブリの冷却の為に注水した水と壊れた原子炉に流入する地下水が混ざった高濃度の汚染水が漏れ出す現場は、それだけで、あらゆる意味で危険です。「取り出す」としている溶融燃料・デブリの取り出しが遅々として進まないのは、「廃炉作業上のリスクが低減しない」のは、そこが、あらゆる意味で危険な場所だからです。そもそもが「廃炉作業上のリスクの低減」は望めないのです。
そこから、少なからずのリスクを低減したとしても、危険なものを移された、搬入されたそこは、処理不能の危険のものを、最後の見つからない「中間」のまま、引き受け続けることになります。
そうして、処理不能の放射性物質の量が増え続けるのは、そして、小手先でその保管場所を国内唯一の「中間」として設け続けるよりないのは、もともとの「核燃料サイクル」が幻想に過ぎないからです。
なのに、「関電・美浜で原発新設へ」(7月23日、福島民報)、だったり、依然として数十年単位で、計27回の延期を繰り返している再処理工場の稼働に、関西電力は「エース級18人『本命』へ投入」などのことを行っています。そうして関電が「エース級」を投入する「日本原燃の『原子燃料サイクル施設』」が、万一稼働したとしても、そして処理の結果言われている「再利用できるウランとプルトニウムを取り出す」としても、中でもプルトニウムの再利用は、全く目処が立っていません。
いずれにしても、既に途方もない量の使用済み核燃料が、関西電力だけでもおよそ3000トンを超え、施設内での貯蔵の限界に近づいています。
結果、当面それらを運び込む先として東電などの場合は、むつ市の中間貯蔵施設、関電・四国電力な度は、山口県上関町に別の中間貯蔵施設の建設を計画しています。
そもそもが、最終処理、処分などあり得ない、原子力発電所の稼働によって生まれる使用済み燃料であるにもかかわらず、「核燃料サイクル」という「幻想」で始まり、大量にそれを生み出し続けるのが、そもそも原子力発電所という「幻想」なのです。
その原子力発電所が「想定外」の重大事故になったのが、2011年3月の東電福島の事故です。
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