(前週よりのつづき)
東電福島の事故の後、「事故の終息」「廃炉」への道筋が描かれる中で、いくつかの具体的な問題、課題の処理が必要となりますが、その一つが、避難している人たちが元の住居に戻るために実施された除染です。
途方もない人手と費用で実施された除染で発生することになったのが「除染土」です。
その除染土のことが取り上げられているのが、2月13日の「除染土壌最終処分地/決定時期明示せず」の福島民報、2月25日の「除染土の再利用に一石、『まず福島で』の町長の危機感」の朝日新聞です。
このいずれの新聞記事でも、言わば「注意深く」問題となっている土の定義とされているのが「除染土」あることです。確かに、除染土であることは間違いありませんが、正確ではありません。
東電福島の事故の後(いいえ現在も)、おびただしい量の放射性物質が、環境中に放出されることになり、福島を中心に広い地域が放射性物質で「汚染」されることになり、「途方もない人手と費用」でそれを「拭ったり」「削り取ったり」することになります。避難している人たちが、元の場所、住居に戻るためです。
それによって、避難を余儀なくされた時点の3段階に区分された放射性物質の値を下げる為でした。
避難解除準備区域 1~20m㏜/年
居住制限区域 20~50m㏜/年
帰還困難区域 50m㏜/年以上
これは、「値を下げる」「そして避難解除」のはずでしたが、一回の除染で「解除」にすり替えられて行きました。
そして、その為に実施した除染によって発生した「ものたち」が言われているところの「除染土」です。しかし、「ものたち」は、拭った時に使われたおびただしい量の道具類「防護服」「雑巾」も含まれますから、「除染土」だけではありません。
もう一つ、言い方として不正確と言うか、事実に反するのは、一般的に「除染土」ではなく、いろんな濃度の放射性物質の毒を含む汚染物質であることです。更に、この「汚染物質」がやっかいなのは、含まれている放射性物質は、その毒をどんな意味でも除去したり、中和したりできない正真正銘の「毒」であることです。
ですから、除染した汚染物質は、拭ったり、削ったりした後、一時的に拭ったり削ったりした場所近くに一時保管されることがありましたが、どこか、最終的に保管される場所に移す必要がありました。
しかし、そんな毒物、危ないものを、保管する場所、「最終処分場」は見つかりそうにありませんでした。ここで、一般に保管場所ではなく「最終処分場」と言われたりするのは、この「除染土」「汚染された土壌」などは、含まれているのが放射性物質である為、ほぼ人間的な時間で言えば、そのまま半永久的に保管する場所にならざるを得ない為に「最終」というよりない表現が使われることになっています。
もちろん、そんな危ないものを、いついつまでも預かって保管する場所、引き受ける場所は得られないし、拭ったり削ったりしたものの、その近くの場所に置くこともできませんでしたから、とにかく一時的に置くという条件で、そのことを明示する呼称として使われることになったのが「中間貯蔵施設」です。
「中間」ですから、当然「最終」もなければならないはずですが、最終の見通しが全く立たない「中間」で、実施されたおびただしい量の「汚染物質」が運び込まれることになったのが、「中間貯蔵施設」です。
もちろん、最終の見通しのない「中間」を引き受ける場所は見つかりませんから、「消去法」で残され、中間貯蔵施設を引き受けることになったのが、事故の原発が立地する、大熊町と双葉町です。
(次週につづく)
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