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2022年06月02週
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(前週よりつづき)
⑧甲状腺被ばく(5月4日福島民報)「新座長に高村氏(長崎大教授)、県民健康調査検討委、福島で会合/県民の健康を守る/高村氏に聞く」「甲状腺検査/がん226人、疑い47人」「妊産婦調査『放射線の影響なし』」(5月14日福島民報)。
 東電福島の事故の後福島県で5巡にわたって実施されてきた「県民健康調査甲状腺検査」の結果は、別表の通りです。「がんと確定が226人、疑いが47人」となっています。この数字と、東電福島の事故で被曝したこととの「因果関係」は「立証できない」ということで一貫して否定されてきました。その結果、東電福島の事故の後、明らかに多くなった「がんと確定」ないし「がんの疑い」とされた子どもたちに対する根本的で、持続的な対応は取られてきませんでした。
 「がんと確定」ないし「がんの疑い」とされた子どもたち及び家族は、一般的に個人の責任での治療をするよりありません。しかし、ここであげられている「がんと確定」ないし「がんの疑い」とされている子どもたちの数は、東電福島の事故前に統計としてあげられていた数よりは、はるかに多いにもかかわらずです。
 そんな東電福島の事故の後の経緯で出されたのが「原発事故時の甲状腺被ばく測定/19歳未満、妊婦ら対象/原子力規制委指針に明記」です。「事故で放出される放射性ヨウ素は体内に取り込むと甲状腺にたまり、がんになる恐れがある」「東京電力福島第一原発事故では初期調査が不十分だったと指摘される」「チェルノブイリ原発事故後の調査で、19歳未満に甲状腺がんのリスク上昇がみられたほか、胎児や乳児が母親を通じて被ばくする恐れがあることから、規制委が測定対象者を具体化した指針の改定案をまとめていた」。
 ここで示される対象者は、東電福島の事故を踏まえ、今後起こり得る重大な原子力発電所事故を想定した「甲状腺被ばく線量を測定する対象者」です。
 ただ「想定する」とされる「重大な原子力発電所の事故」は、たぶん想定はしない方がいいように思えます。たとえば、2011年3月の東電福島の重大事故は、東電・国などの事故後の理解は「想定外」でした。世の中というか、普通に生活していてもほんの身近でも「想定外」はあり得ます。ただ、そうして起こる、ないしは起こってしまう事故や事件は、たとえ「想定外」であってとしても、その結果やそれが及ぶ範囲ないし影響は、東電福島の事故が広く世界を震撼させるようなことにはなりにくいのです。全電源が喪失し、燃料から始まって圧力容器、格納容器そして建屋のコンクリートまで溶融するような事故は、それが起こってしまった時、事故対応が困難ないし不可能になることのあり得るのが原子力発電所です。チェルノブイリ原子力発電所で、東電福島でそれを体験することになりました。東電福島の場合、確か2号機の使用済み燃料プールの水が空っぽになる事態が避けられたのは「偶然」であったことが明らかになっています。
 原子力発電所で、「原発事故時に甲状腺の被ばく線量を測定する対象者」が出てしまうような事故は、そもそもが想定してはならないのです。あるいは、環境中への放射性物質の放出を止めることのできない事故も想定し得るのが、原子力発電所の事故としてあり得るのなら、その稼働そのものが誤っているのが、原子力発電所なのです。
 東電福島で起こり、現在もおびただしい量の放射性物質を放出し続けているのが、そこで起こってしまった重大事故です。
 ここで「空間放射線量が毎時20μ㏜」とされている、放射性ヨウ素の放出と、「被ばく測定」「原発から30キロ圏外の避難所」などで放射性ヨウ素の吸入摂取から3週間以内に簡易測定」で想定されているのは、
東電福島「級」の重大事故です。
 2011年3月11日で、いくつかの段階を経て、30キロ圏内の人たちへの避難が指示された時、その理由であるはずの放射線量は明示されませんでした。放射線量は設置されていたモニタリングポストによって測定されてもいましたし、それを後に明らかになるまで隠して、避難指示された人たちが、放射性物質の風によって流された先の一つである、福島県飯舘村方面に避難するということも起こってしまいました。
 それらのことの結果、子どもたちの為に用意されていたはずの「安定ヨウ素剤」は、ほぼ使われなかったのが、東電福島の事故です。
 安定ヨウ素剤:原発事故に備えて調合された放射能を持たないヨウ素で、原発事故の際、予め服用して甲状腺に安定ヨウ素を満たしておくことで、体内に吸収された放射性ヨウ素が甲状腺に取り込まれずに大部分は体外に排出でき、放射性ヨウ素による甲状腺被曝を軽減できる「薬」。安定ヨウ素剤を服用することで、原発事故による甲状腺がんのリスクを軽減できる。
 東電福島の事故では、放射性ヨウ素を含む放射性物質の環境中への放出、及びそれが流れる状況についてのモニタリングポストによる確認が、可能でかつ実施されているにもかかわらず、避難するにあたっての情報として知らされず、かつ、安定ヨウ素剤の配布、服用もうながすことをしませんでした。
 そして実施されている「県民健康調査甲状腺検査」の結果が別表のとおりであるとするなら、因果関係を立証できないで済ますのは、重大事故を引き起こしてしまったこと及びそれに対する責任の回避、ないしは無責任以外の何ものでもありません。それらすべては「想定外」とする責任の回避、無責任に起因します。なのに、結果的には責任の取りようも、事故対応も「不可能」である新たな事故を想定し、その事故の結果のほんの一端、甲状腺被曝の「線量測定」の「指針」が「明記」されたりしているのです。
 それが、どんなに「明記」されたとしても、そして従来は100万人に一人の甲状腺がんが報告されていたにもかかわらず、検査の結果明らかになっている「がんと確定」がおよそ10年間で226人だとすれば、東電福島の事故以外に、その「原因」は想定できないのです。なのに、個々の患者の発症についての明確な因果関係が確定しない限りそれを認めないというのが、子どもたちの甲状腺がん発症に対する東電・国の態度です。
 そうではなくて、被曝が避けられない方向への避難、安定ヨウ素剤の配布、服用をうながさなかった状況で発症している、子どもたちの甲状腺がんに対して、取り得る態度は、そのリスクを背負って生きることになる子どもたちへの、その生涯への万全の対応以外あり得ないはずです。
 それこそが、現在と未来へ生きる子どもたちへの生きた指針になるはずです。あってはならない事故を想定し、「甲状腺被ばく測定」及びその「指針」の「明記」は、何かが、根本が間違っているように思えます。
(次週につづく)
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