(前週よりのつづき)
事がらははっきりしています。「有事」を想定し、それを先島諸島及びそこで生活している人たちに求め、強いるのではなく、だれひとり取り残さない「日本」、誇りある豊かな「日本」を求めるのであれば「有事」力の誇示ではなく、心を尽くし出会いを重ねることにこそ、力が注がれるべきであるように思えます。その要の場所・島でありたいと願い続けてきたのが沖縄「万国津梁」の島なのですから。
・金城重明
1929年、渡嘉敷島生まれ。渡嘉敷島には45年3月27日、米軍が上陸。翌28日に住民らは集団自決を選ぶことになり、当時16歳だった金城重明も兄と共に、妹と弟、母親に手をかけた。生き残り、家族の命を自ら奪ったことに苦しむ。牧師を志し、日本本土の青山学院大学に留学。後に渡米し、60年米ユニオン神学大学修士課程修了(神学修士)。帰国後、首里教会を牧会(60~75年)。
・平良敏子
1921年、大宜味村生まれ。母親から木綿織や絹織の技術を学んだ後、岡山県倉敷市で民芸運動の指導者、外村吉之介氏に学ぶ。大宜味村に戻り後継者がおらず途絶えた状態になっていた「芭蕉布」の復興に力を尽くし、喜如嘉の芭蕉布保存会の会長として、後進の指導にあたってきた。
10月16日、「台湾有事、直面する懸念/米国に『見捨てられ』、衝突に『巻きこまれ』」(10月16日、朝日新聞)。
「ペロシ氏訪台後の8月、米シンクタンク『戦略国際問題研究所(CSIS)』は台湾有事のシミュレーションを実施した。2020年に中国が台湾に軍事侵攻し、米軍が在日米軍基地も拠点に作戦を展開。これに中国は日本の米軍・自衛隊基地を即座に爆撃して台湾への上陸を着手し、自衛隊の潜水艦や戦闘機も応戦。中国が日本各地への攻撃に踏み切る可能性が高いという結果が示された」「実際、台湾をめぐる米中衝突が起これば、その『戦場』となるのは、米本土ではなく、台湾と日本だ」「米中による台湾有事になれば、それは日本有事にも飛び火しかねない」(前掲、朝日新聞)。
「台湾有事」になれば、と言うよりそれがあり得るとすれば、「当然」「米軍が在日米軍基地を拠点に作戦を展開」することになります。その「在日米軍基地」の約70%は沖縄にあります。
「『戦場』となるのは、米本土ではなく、台湾と日本だ」であるとすれば、まず戦場になるのは、広く日本、たとえば兵庫県・西宮ではなく、「当然」沖縄です。沖縄であるのはもちろん、日本が「国有化」したことで、その所有権で一歩もゆずらない尖閣諸島に近いしかも自衛隊の基地を建設・強化している沖縄・先島にまず「飛び火」し、かつまず「巻きこまれる」ことになります。そんな「まず」を、兵庫県・西宮では当面誰一人考えも及ばない遠い世界のことです。
台湾有事は、兵庫県・西宮あたりに住んでいる限りほぼ「直面する懸念」ではなく、「米国に『見捨てられ』」感も、「衝突に『巻きこまれ』」感も、ほとんど現実にはなっていません。
しかし、沖縄では前掲のように(9月6日、沖縄タイムス)、「先島に避難シェルター」だったり、「先島諸島の住民の避難」だったりが、少なからず「現実」の問題になったりします。
台湾有事が「米本土」ではもちろんなく、「台湾と日本だ」でもなく、まず「沖縄・先島」になってしまう「米中対決」を、はるか彼方からながめる日本、兵庫県・西宮の人たちに、どうして沖縄の人たちは付き合わなくてはならないのだろうか。
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