(前週よりのつづき)
そうして言われている米国・軍の「台湾有事」に、前のめりで一体となってのめり込むのが、11月10日から始まった「陸海空の自衛隊と米軍による共同統合演習『キーンソード』」です。兵庫県・西宮あたりに住んでいると、たまたま11月11日の新聞(朝日新聞)で目にすることでもない限り、ほぼ日常生活で可視化されることではありませんが、与那国島では「公道」を「戦車に近い砲身を持つ『機動戦闘車』」が走ることになります。
「台湾有事」は、今のところどこまで現実に起こり得るのかは「不明」です。しかし、「『台湾有事』も念頭にあるとみられる」と新聞が「書く」「予測させる」、「陸海空の自衛隊と米軍による共同統合演習『キーンソード』」のようなものが実施される時、少なくとも、「台湾有事」と言う「戦争」の現実に向って前のめりで走り始めていることは確かなのです。
どんな戦争も、誰よりも悲惨な戦争の現実を生きることになるのは、悲惨な戦争の最先端に立たされることになる「兵士たち」であり、その戦争の戦場になってしまう街や村、そこで生活する人たちです。言われている「台湾有事」の場合「今回は先島諸島も初めて訓練地となった。日本最西端の与那国島で、18日に訓練がある」与那国島は、たまたまの偶然でその島が選ばれた訳ではありません。「訓練地には沖縄や鹿児島の離島が選ばれた」のも、たまたまの偶然ではありません。前のめりで走り始めている「台湾有事」という「戦争」が、それらの場所・地域を特定することになっているのです。
「どんな戦争も、誰よりも悲惨な戦争の現実を生きることになるのは、悲惨な戦争の最先端に立たされることになる「兵士たち」であり、その戦争の戦場になってしまう街や村、そこで生活する人たち」であるとすれば、直接その割を食らわされることになるのは、沖縄島の人たち、与那国島の人たちです。
「キーンソード」では、具体的に「割を食らわされる人たち」を想定した訓練も実施されます。「海洋進出を強める中国を念頭に、訓練地には沖縄や鹿児島の離島が選ばれた。沖縄では那覇基地などで前線を支援する後方拠点を設け、補給物品を輸送・集積するほか、傷病者を本土に護送するなどの医療活動を訓練する」(前同、朝日新聞)。こんなことが想定される結果、「戦場」になるのは、沖縄の南西諸島・与那国島などです。そして「傷病者」となるのは、悲惨な戦争の最前線に立たされることになる「兵士たち」であり、その戦争の戦場として想定される与那国島とそこで生活する人たちです。
「有事」を言わば自明のこととして、「キーンソード」(*1)と称する軍事訓練を日米で実施する人たちが、決して見つめようとしないのは、戦争はどんな戦争であれ、最先端に立たされることになる「兵士たち」、そしてその戦争の戦場になってしまう街や村、そこで生活する人たちにもたらされる戦争の悲惨です。そして、間違ってもその人たちが見つめようとしないのは、それが自らに及ぶことです。
(*1)キーンソード:日米共同統合演習、日米共同統合演習の、主に米側の呼び名。「鋭利な剣」「名刀」などの意味。
(次週につづく)
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