ずっと気になっていた、“スズメノエンドウ”を、教会・幼稚園からすぐ近くの空き地で見つけました。カラスノエンドウは、このあたりでも、どこでも見かけるソラマメ属の野草です。新芽(ツル)が伸び始める頃に摘み、さっと湯をとおしてごまあえなどにすれば、食べられる野草です。ただし、格別においしいという訳ではありません。
カラスノエンドウは、ツルが伸びてピンクの花を咲かせ、しばらくすると、うんと小さな形の“エンドウ豆”になります。そのエンドウのサヤの豆・豆果が3ミリくらいにふくらむ頃に、摘み取って遊ぶのが“ピーピー豆”です。カラスノエンドウのサヤのふくらんだ部分を爪でさき、中の“グリンピース”をしごき出し、つけ根の部分1センチぐらいを切り取ります。空になったさやの先端部分を、口びるでそっとくわえて、そっと吹くとピーピーと音が出るので、子どもたちはカラスノエンドウのことを、“ピーピー豆”と呼びます。
このピーピー豆のカラスノエンドウに葉っぱも花もよく似ていて、それぞれが2回りくらい小さいのがスズメノエンドウです。葉っぱも花もかわいいのですが、スズメノエンドウの短いサヤの中に豆・豆果が2個しか入っていません。2個の豆・豆果が、2個分の大きさにさやにこじんまりおさまっているところがかわいいのです。
カラスノエンドウやスズメノエンドウの名前なのですが、どうしてそんな名前になったのだろうか。「原色牧野植物図鑑」には、スズメノエンドウの項には「・・・和名雀野豌豆はカラスノエンドウに似るが、小形であることを表すためスズメとした」、そしてカラスノエンドウの項には「・・・和名雀野豌豆に比べて花葉豆果が大型だからいう」と書かれています。他にも鳥がいるのに、スズメ、カラスが選ばれたのは、いちばん身近にいた鳥が、たまたま選ばれたということなのでしょうが、もう一つ説明不足のように思えなくはありません。
カラスノエンドウは、さやが大きくふくらんでしばらくすると、豆・豆果の全体が真黒になり、全体がねじれるようにしてはじけ、豆がとび出してしまいます。さやの中の豆・豆果も真黒です。で、思ったりするのですが、カラスノエンドウは、小さいとは言え、花、葉、豆のいずれも形状はエンドウに似ていること、それが真黒になるところから、カラスノエンドウと呼ばれるようになったのではなかろうかと、ふと思ったりもします。
ピーピー豆で楽しんだことのある、幼稚園のぽっぽ組の子どもの1人が、カラスノエンドウが真黒になっているのに気づき、「やき(焼き)ピーピーまめ」と言っていました。当たらずとはいえ遠からずの、なかなかの“命名”ではあるのです。
「原色牧野植物図鑑」の同じページに、カスマグサが掲載されています。今まで見かけたことはありませんが、スズメノエンドウとカラスノエンドウとよく似ていて、さやの中に豆・豆果が4個ぐらい入っているのがカスマグサなのだそうです。和名「カス間草」は、カラスノエンドウとスズメノエンドウの中間の意味で、「両者の頭文字をとって」そんな名前になりました。ちなみに、カスマグサのことを、ハトノエンドウとも言うのだそうです。と言ったら、疑う人もいました。
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