こうして、示されている表は、米国からウクライナに提供された兵器です。「米国の軍事支援は22年2月のロシアの侵攻以来、212億ドル(約2兆8千億円)にのぼる。地上戦の主力となっている155ミリ榴弾砲と砲弾をはじめ、対戦車ミサイル『ジャベリン』、携帯型地対空ミサイル『スティンガー』を提供。戦争の進展とともに、供与する兵器も高度化した。高機動ロケット砲『HIMAS』は前線から離れた弾薬庫や司令拠点を破壊し、地対空ミサイルシステム『NASAMS』も効果をあげてきた」(1月7日、朝日新聞)。
ウクライナの戦争で、米国が提供した兵器が発射された先は、他でもないウクライナです。100万発以上とされる155ミリ榴弾砲の砲弾は、ロシア軍部隊やロシア軍施設を破壊しますが、同時に、ロシア軍部隊が展開するウクライナの村や町を破壊しないではおきません。
そのウクライナの村や町は、そこに住んできた、ウクライナの人たちが、親から子へ、営々と築いてきたかけがえのない生活の場所です。そうして貫いてきた生活の場所を、自らの手で破壊してしまわざるを得ないのが、ウクライナで戦われているウクライナの人たちの戦争です。それが、どんなに取り返しの付かない無残なものであるか、誰よりも知っているのは、当のウクライナの人たちです。
有事・台湾有事で、先島諸島から避難するとされている住民の避難先は九州7県です。那覇市などの沖縄本島ではありません。沖縄本島那覇市などでは、第15旅団から師団に格上げされた司令部が「地下化」されます。そこもまた、戦場になることが想定されています。そうして、戦場となることが想定される沖縄に展開する「自衛隊」の司令部、軍隊機能は地下化されますが、住民の避難は「試算」されていません。
有事・台湾有事で想定される戦争は、軍隊は守ろうとしますが、住民は守らないのです。
太平洋戦争の沖縄戦で、戦場となった沖縄日本軍の司令部は、首里城地下の地下要塞でした。アメリカ軍による砲弾の嵐、「鉄の暴風」で破壊し尽されることになったのは、地下司令部によっては守られなかった、沖縄の人たちの命であり、沖縄島の人たちの生活です。その沖縄戦から77年、有事、台湾有事で、77年前の戦争と同じことが沖縄で想定準備されています。
・沖縄を敵基地反撃の基地にすることに私たちは反対です。
・沖縄の自衛隊の増強「師団化」に私たちは反対です。
・沖縄の自衛隊司令部の地下要塞化、沖縄島の要塞化に私たちは反対です。
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