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小さな手大きな手

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2023年03月04週
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兵庫教区常置委員会 様
教区議長 東島勇人 様

要 望 書

 2020年に「発覚」した神戸市の精神科病院神出病院の患者虐待事件、及びその調査報告書(2022年5月)、そして2023年3月に「発覚」した八王子市の精神科病院滝山病院の患者虐待事件は、広く精神科病院が事件そのものの「温床」となっている事実を露わにしていると言えます。
 神出病院事件の報告書について「公表は日本の精神医療史における事件(偉業)である」としていたのは野田正彰さん(精神科医、元関西学院大学教授)です。
 たとえば、滝山病院事件について「NHK、Eテレで放送されたETV特集『ルボ死亡退院――精神医療・闇の実態』」や、「昨年5月以降、虐待の情報を得て病院側から、3,4回聞き取り調査をしながら実態を把握できなかった」(3月5日、毎日新聞社説)などの指摘はあるものの、行政・東京都、そして社会一般・メディアなどは、それが事件であるという捉え方もしてきませんでした。メディアは、それが温床となっている精神医療の実態を「必要悪」と言ってはばかりません。「…元職員は『滝山がなくなったら行く所に困る人がいっぱいいる』と話す」(3月4日、朝日新聞)。
 神戸新聞で(2022年9月13日)「…行政・市民の黙認が生んだ現実」と指摘した野田正彰さんから、宗教・キリスト教会へのこの問題についての問いかけがなされています。「…すぐれて精神に関係する宗教・キリスト教会は、こうして人間の精神が踏みにじられている現実を不問に付すのか」との問いです。
 「宗教・キリスト教会が精神と関係する」ことについての理解は多様でしょうが、患者が虐待される精神医療の現場を「必要悪」としてしまうのは決して許せることではありません。
 こうして精神医療の現場で繰り返される、患者に対する虐待事件について、宗教・キリスト教会の位置からの理解、検討が、何よりも渦中の患者から求められているように思えます。
 宗教・キリスト教会の位置から、この問題についての理解と、何らかの具体的な取り組みの実現のため、以下の取り組みの検討をお願いいたします。
 
1.精神医療の現場の理解、及びそこで起こっている「事件」について理解を深め共有する取り組み
2.上記の為の特別委員会を設置し、理解を深めると同時に、それを具体的な活動に結び付けて行く

 以上、精神医療の現場で、そこが「温床」となって繰り返される患者の虐待事件についての取り組みを、すみやかに実施していただきたく、お願いいたします。

2023年3月23日
菅澤邦明

(前週よりのつづきは、4月2日に掲載します)

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