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2023年05月04週
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(前週よりのつづき)
 追加で東電に問い合わせていた「…現在まで事故対応にかかった費用。ほぼ以下の項目でお願いします」についての回答は以下の通りです。
1.除染費用
2.中間貯蔵施設に関係する費用
A. 除染・中間貯蔵等合わせて約3.4兆円
3.廃炉作業で使われた費用
A. 約1.8兆円
4.避難となった人たちへの補償にかかった費用
A. 約7.3兆円
既に使われたとされる事故対策の費用は東電の回答の約12.5兆円ですが、これからも続く事故の対応費用は政府の想定で約22兆円にのぼるとされています。「…事故の対応費用は政府の想定で約22兆円にのぼる。被害の償いや廃炉・汚染土などの後始末、被災地の復興には、何十年もの時を要する。東電が国民負担で存続を許された理由はこれを成し遂げる公共的使命の1点にほかならない」(5月11日、朝日新聞社説)。
こうして「社説」で書かれたりするのは、たとえば「東電賠償『特別負担』ゼロ、赤字理由国民負担増も」だったりするからです。「東京電力福島第一原発事故の賠償に充てる東電の『特別負担金』が、2022年度分は10年ぶりに0円となる。東電の赤字が理由で、西村康稔・経済産業相が認可した」「国の試算では政府出資の原子力損害・廃炉等支援機構が肩代わりし、電力会社が『返済』する仕組みだ」(4月20日、朝日新聞)。20日間も前の新聞と合わせて読まないと解らない、いいえ読んでも解りにくい「…東京電力が…被害賠償に充てる『特別負担金』の支払いを免除された」は、「…当事者の東電が支払わない状況に『不公平だ』と指摘する声もある」は、そもそも無責任以外のなにものでもありません。
でも、こうして現在まで事故対応だけでも途方もない費用を使わざるを得ない事故について、「想定外」とし、更にその事故の東電は「政府が実質国有化して管理下に置いて」いるのですから、東電が事故の賠償の仕組みで、「特別負担金」がたまたま2022年度分が「ゼロ」になるとしても、そのすべてが国の負担、なんのことはないすべては国民負担になるという仕組みになっているのです。
もちろん、これは賠償費用だけではなく、到底払えるはずのない予測だけで22兆円という事故対策のすべては、「政府が実質国有化して管理下」に置いたのですから、国民が負担する(し続ける)ことになります。
東電福島の重大事故は、東北大地震の大津波に襲われることによって起こりました。東電は、その大津波を想定外とし、大きな取り返しの付かない事故・事件であるにもかかわらず、責任を問われることはありませんでした。
ほぼ唯一、刑事責任を問うことになった、検察審査会を経ての裁判も、一審、二審とも無罪になりました。
しかし、現実に起こった事故で、処理不能の放射性物質が環境中に残り続け、中でも、トリチウム汚染水は「処理済み」ということで薄めて海洋放出が決まっています。「処理済みだったら、薄めなくてもいいのでは」と高校生が問いかけても、原子力規制委員会の答えが返って来なかったりします。
新聞の社説は、「東電の負担金責任果たす努力続ける」と書いています。「…会計検査院の昨秋の報告は、経済産業省に対し、賠償金の見込みの妥当性を検証し、負担のあり方を国民に十分に説明する必要があると指摘した。東電にも収益力の強化を求めている」「今のやり方で持続性があるのか。政府は定期的に検証し、改善策を検討すべきだ」「国と東電は、原子力事故がこれだけ巨額の負担をもたらすことを改めて直視し、課せられた責務を誠実に果たし続けなければならない」(同前、朝日新聞社説)。
既に示されているように、事故の東電福島は「政府が実質国有化して管理下」に置いています。除染・中間貯蔵関連費用のすべては「国費」でまかなわれており、賠償費用も同様です。
(次週につづく)
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