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2023年10月01週
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(前週のつづき)
 今までも、すべての手続きにおいて、沖縄の人たちの願いを踏みにじってきて、更に2万本近いクイを打ち込むことは、大浦湾の自然にとって、取り返しのつかない打撃になります。そんなあってはならないことを、手続き乱用、強制によって、沖縄の「敗訴確定」になったのが、9月4日の最高裁判所の判断です。
 辺野古新米軍基地建設は、街中にあって危険な普天間飛行場を移設することを理由に進められています。住宅地に囲まれた基地には、昼夜を問わず訓練の為の離着陸が繰り返されています。事故も起こっています。危険なのです。だからと言って、その危険を避ける為の手だては一切なされなかったのが、普天間基地です。
 だって、これって何かが、根本的に間違っています。「危険」だったら、しかも「世界一危険」と言われているんだったら、当面は危険を少なくする為の手だてを講じるべきなのに、一切それはなされることはなく、街の中の普天間飛行場には、街の人たちの頭上近く昼夜を問わず飛行訓練が繰り返されています。
 それを回避するための辺野古新米軍基地建設で、元々が難しい海を埋め立ての工事である為、20000本近いクイを打ち込むことになって、完成予定は、10年近く先です。
 沖縄の人たちの願いは一つです。
 米軍基地のない島です。
 辺野古新米軍基地建設は、普天間飛行場にはない、新たな基地機能を備えた、恒久的な基地の建設です。沖縄の人たちの願いである米軍基地のない島ではありません。いいえ、辺野古新米軍基地建設は、地方自治及び自然保護の世界的な潮流から言えばあり得ない工事です。 
 地政学的な理由によって、沖縄の人たちの多数の意思である自治は踏みにじられ、本来は優先する自然保護も顧みられることはありませんでした。中でも、今回の沖縄県の敗訴を含め、中でも沖縄に対する国による権利の乱用が際だっています。「…だが、不服申し立ての資格が問われるべきなのは国の方だ。県の不承認処分を、取り消した国土交通相の裁決は、防衛省が私人を救済するための行政不服審査の仕組みを使って審査請求し、得たものだ。省庁が一個人と同様に他省庁の大臣に判断を求め、自治体の処分を無効とする手法には権利濫用との批判が強い」(7月22日、朝日新聞、社説)。
 こうした、辺野古新米軍基地建設をめぐる、沖縄に対する権力の行使は、他の場合、たとえば、東電福島の汚染水の海洋放出などとは、著しく異なっています。
 一方は、細心の注意が払われ(たかの如く)、一方はひたすら強権的なのです。
 ただ、そうであったとしても、共通しているのは、いずれの場合も、国・政府には人々の生きた現実に寄り添うという意思は読みとれないことです。どんな場合の、どんなことにしても、生きた人の社会、その人の生きる自然をおびやかすことを代償にして、それをおびやかしても許されるということはあり得ないはずです。
 「美ら海」を、何よりも誇りとし、沖縄の島々の現在であり、かつ未来である「美ら海」をないがしろにして国によって強行されているのが、辺野古新米軍基地建設です。そうです。最低限の自然への配慮を口では標榜しながら、そのすべてを破棄してしまうのが、国・政府によるサンゴの自然の世界に、大量の杭を打ち込む大浦湾の埋め立てであり、別に埋め立てに使う土砂も、仕様規格の緩和が強行されています。「…名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局が大浦湾側の埋め立てに使う岩ずりの仕様規格を緩和していることが22日までに分かった。水の濁りを抑えることを目的に、埋立て材に含まれる細かな土の割合を示す『粗粒分含有率』を、2013年の埋め立て時に示した『10%前後』から、細かい土をより多くふくむ『40%以下』に変更した」(8月23日、沖縄タイムス)。この埋立てでは、本来の生態系からあり得ない、大量の移植など、物言わぬ自然と沖縄の人たちの声に耳を貸さない、国・政府による強権の行使が、陰に陽に繰り返されています。
(次週につづく)
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