(前週よりのつづき)
・3月6日 「再生利用埋まらぬ溝、決め手欠ける『具体案』」
・3月8日 「風評への懸念拭えず、所沢『全国民納得の上で』」
・3月9日 「除染廃棄物最終処分、知事『あと21年しかない』政府復興推進委で危機感」
(以上、福島民報)
・3月9日 「デブリ取り出し2工法で、福島第一、気中、充填固化を検討」(毎日新聞)
東電福島の重大事故から13年
地元の新聞に、断片的に書かれる、東電福島の重大事故の「現在」を見ながら、「感想」を書き続けてきました。それが「感想」程度ではあるのですが、そんなにトンチンカンではなく、書けてしまったりするのは、この事故の「本当」はどんな事故であるのか、確認・理解できているからです。
たとえば、「24日、処理水放出開始から半年/保管タンク再利用課題、具体的な議論進まず」について。
事故から13年、事故の原子炉から漏れ続ける汚染水を、処理水と称し、海水で薄めて海洋に放出し始めて半年が経過、溜めていた保管タンクが、21基(一基約1000トン)空になってしまいました。そのタンクの「再利用する道筋は見えていない」のだそうです。「東電の計画では、タンクの内側に付着した放射性物質を洗い落としたうえで解体する」「タンクの洗浄で放射性物質を含んだ廃液が新たに発生する。東電は『水を多く使えば洗浄しやすいが、再浄化する水が増える。廃液の発生量をどう抑えるかがポイントだ』としている」。と言うのは、「タンクの洗浄で放射性物質を含んだ廃液が新たに発生する」からで、と言うのはタンクの内側に付着している放射性物質を洗い落とすことになり、結局は放射性物質を処理するという、どこまで行っても変わらない仕事が発生することになるからです。更に「タンクの解体作業中に放射性物質を漏らさないこと」も大前提です。ですが、確かこのタンクに入っていた「処理水」は、「安全」ということで、海水で薄めて海洋に放出しています。ですが、本当のところは立派に「放射性物質の汚染水」ですから、「保管タンク再利用課題、具体的な議論進まず」になってしまいます。しかし、なぜか、その中に入っていた汚染水は、処理水と称して海洋に放出しています。(3月15日現在、約133万トン、約1000基のタンクに保管されていた「汚染水」のうち、約23400トン、20基分が放出されている)。ちなみに、2024年度は「タンク30基分に当たる約31200トンを放出するが、実際に減るのは10基分。と言うのは、事故の原子炉・デブリなどを冷やす汚染水の放出は続いていて、30基分は海洋放出しても、20基分は増え「実際に減るのは10基分」になるからです。
放射性物質が環境中に放出し続けるという、原子力発電所の緊急事態は、事故から13年経った今も、続いていて、その事態は何一つ変ってはいないのです。
たとえばデブリ取り出しについて
で、「デブリ取り出し2工法で、福島第一/気中・充填固化を検討」では、「2工法」で、デブリの取り出しを検討することになったのだそうです。「核燃料(燃料デブリ)の大規模の取り出しについて」「その後は段階的に規模を拡大して取り出す方針だが、この具体的な方針やスケジュールは決まっていなかった。今回の決定で、燃料デブリの取り出しの本格化に向けた議論が進むことになる」。ただし「燃料デブリは1~3機号機に計880トンあると推計される。東電ではまず2号機で10月までに耳かき1杯分(数グラム)の試験的な取り出しに着手する」が現在の状況です。この「耳かき1杯分(数グラム)」の「試験的な取り出し」も、なかなか進まないのは、高濃度の放射性物質がそれを阻むからです。現在、その試験的な取り出しは、既存の細い穴から、超小型のロボットを投入して形状の確認、ロボットアームで取り出すとしていますが、「耳かき1杯分(数グラム)」も、なかなか進展しません。すべて、高濃度の放射性物質が阻むからです。
(次週につづく)
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