(前週よりのつづき)
たとえば、その穴は開けっ放しにはできませんし、投入したロボットはいずれも高濃度に「被曝・汚染」していますから、それを取り扱う作業員の被曝を防ぐとしたら、作業は、2重3重に難しくなります。事故から13年経った今も「10月までに耳かき1杯分(数グラム)の試験的な取り出しに着手する」なのは、すべてそこにあります。なのに、「今回の決定が、燃料デブリの取り出しの本格化に向けた議論が進む」としていて、「気中・充填固化」のイメージ図が示されていたりしますが、現状が「2号機で10月までに耳かき1杯分(数グラム)の試験的な取り出し」だとしたら、「2030年代に始める溶け落ちた核燃料(デブリ)の大規模な取り出し」は、やっぱり難しいはずです。
東電福島の重大事故、核燃料が熔融するような事故の事故対策、結局は「廃炉」ははるか彼方で、何一つ見通しは立ってお
らず、せいぜいできるのは汚染水対策で、それも増え続けるのを防ぐのも難しいのです。
たとえば「除染廃棄物処分」について
たとえば、「除染廃棄物最終処分」について、内堀雅雄福島県知事は、「県外最終処分」について「『(期限の)2045年3月まであと21年しかない』と危機感を示し」、国、政府に「詳細な計画が示されていない2025年度以降の具体的方針と工程を早期に明示し、取り組みを加速させるように」求めています。言われている「除染廃棄物」は、事故の後、福島県内などの広い範囲で、降り注いだ放射性物質で汚染された住宅を除染したり、土壌を取り除いたりした、その汚染物質は、そこに仮置きした後、貯蔵施設「中間貯蔵施設」に「一時保管」されている「除染廃棄物」の県外処分のことです。この「除染廃棄物」については、30年を期限に、福島県内の「中間貯蔵施設」に一時保管された後、県外に移すことが約束になっています。「あと21年しかない」は、双葉・大熊町に設けられた中間貯蔵施設に運び込まれ始めたのが「9年前」の2015年であり、期限の2045年まで、あと21年なのです。そもそも「中間」と言うのは、始まりがあってそれなりの到達点、最終が明示されてはじめて「中間」と言い得るのですが、除染廃棄物の場合は、その到達点・最終は「約束」以外何一つ明示されませんでした。
単に明示できなかったからです。
たとえば中間貯蔵施設は
たとえば、中間貯蔵施設は、事故の東電福島が立地する双葉・大熊町に設けられました。町全体が、降り注いだ放射性物質に高濃度に汚染され、全町民が避難する町でした。そもそも、汚染されて危険だから除染した汚染物質を引き受ける「勇気」をどこも持ち合わせてはいませんでした。その危険を30年を期限とし、「中間」と言いましたが、そして約束はしましたが、「約束」だけに終っています。
(次週につづく)
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