(前週よりのつづき)
単に明示できなかったからです。
結果、危なかったし、現実に事故で全町民が避難する双葉・大熊町に、中間貯蔵施設が建設されることになりました。建設と言っても、広大な敷地に、巨大な穴を掘って、そこに除染廃棄物の入った袋を埋めるのと、除染廃棄物の一部を燃焼して「減容化」する施設を作ることでした。危険だから除染したものを、危険だからと言って移動させれば、それを持ち込まれる場所は当然危険です。当然、その除染土壌を引き受けてもらうのは、難しいはずです。なのに、危険だからと言って、全町民が避難している双葉・大熊町はそれを引き受けました。危険だから避難している町に、別に大量の危険なものを受け入れることが、そもそも矛盾していますし、そもそもあり得ないことです。搬入が始まった2015年から30年、「あと21年しか」なくなってきましたが、当然どこも、危険なものを引き受けると、手をあげてくれたりしません。「…除染廃棄物の県外処分に向け、環境省は技術的な検討の成果や国際原子力機関(IAEA)からの助言などを踏まえ、2024年度中に、最終処分場の構造や必要面積など複数の選択肢を提示するとしています」。で、たとえばこの場合の「技術的な検討の成果」なのですが、放射性物質の「除染廃棄物」は、そもそもが「除染」も「廃棄」も難しかったりするのは、たとえその手続きを踏んだとしても、放射性物質の毒素そのものは、どこへどう移そうとも、そのまま残ってしまう毒であって、そもそも「除染」とか「廃棄」ということになじまない物質だからです。それなのに、「除染」とか「廃棄」とかの言葉を弄して、危険を免れると装っている事が、そもそもの誤りなのです。なのにたとえば、この期に及んで、「技術的な検討の成果や国際原子力機関(IAEA)の助言」などと環境省は言ったりしますが、除染廃棄物の扱いには、どんな意味でも、新たな別の「技術的な検討の成果」は示されていません。
単に、示しようがないからです。
国際原子力機関(IAEA)の助言にしたって、たとえば、汚染水の放出の場合の「助言」も、諸外国が既に行いIAEAもその数値(6万ベクレル/リットル)を承認している、汚染水・トリチウムの放出をそのままに東電の場合にも了解したに過ぎません。「助言」は、同じ穴の狢(むじな)として、「お墨付き」を与えただけです。
(次週へつづく)
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