(前週よりのつづき)
以上、「ペデスタル内壁の下部がほぼ全周にわたり損傷し、鉄筋がむき出しになっていること」から、たとえば「300ガル(震度6強)の地震」で、1号機の倒壊と、それによって起こる事態を「想定」したのが「差し迫る、福島原発1号機の倒壊と日本滅亡」(元三菱重工主席技師、森重晴雄、せせらぎ出版)です。※
繰り返し明らかになっているように、「原子炉圧力容器を支える土台『ペデスタル』の「内壁の下部がほぼ全周にわたり損傷し、鉄筋がむき出し」になっているとすれば、その本来の「土台」としての機能が失われていることを意味します。
たとえば、「鉄筋コンクリート」の住宅の、「下部」のコンクリートが破損して、鉄筋がむき出しになったとすれば、上部はそのまま残ったとしても、誰もそこに住んだりはできないはずです。しかも、その鉄筋も損傷しているとすれば、その住宅に近寄ることも「危険」とされることは間違いありません。
そうして、「原子炉圧力容器を支える土台(ペデスタル)」が「損傷し、鉄筋がむき出し」になっている状態で、手のほどこし様もないのが、東電福島第一原子力発電所1号機なのです。
その東電福島の事故から13年、1号機のように、その倒壊が「日本滅亡」にまでつながり得るのが、この事故の本当の本来の姿です。そして、この事故の本当の本来の姿が、環境中に放出された放射性物質の「処理」は、どんな意味でも人間の手に余ることです。
10000トン、1000基を超える汚染水は、「処理水」と称して汲み上げた海水で薄めて海洋に放出しています。
汚染廃棄物の最終処分は、30年を期限とした中間貯蔵施設への搬入が始まって9年、残りの期限は21年ですが、何一つ目途は立っていません。
す。たとえばその「デブリ取り出し工法イメージ」で示されていますが、どうイメージしようと、すべてイメージに止まらざるを得ないのは、そこで放出され続ける高濃度の放射性物質が、どんな「工法」も具体化することを拒んでしまうからです。当然、「第一原発から取り出したデブリの保管」で「『乾式キャスク』検討」だとしても、いまだに「取り出して着手できていない」ものを「保管」など、どうして検討できると言うのだろうか。「…廃炉後その『本丸』と言われるのが、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し。非常に放射線量が高く、人が近寄ることはできない。『メルトダウン』を起こした1~3号機には燃料デブリが推計880トンあるとされる。事故から13年が経った今、取り出しに着手できていない」(3月16日、朝日新聞)。
たとえば、「福島第一原発について政府と東電は2051年までの廃炉完了を目標」に掲げていますが、その時の具体的な姿は示していません。一般的に「廃炉」は、そこが「更地」になることを意味するのでしょうが、前掲の「燃料デブリ」や「使用済核燃料」「さまざまな放射性廃棄物」などすべての核のごみの放射性物質の除去は困難であり、それらすべてが別の場所に移動されることも同じように困難ですから、「更地」はあり得ないし、要するに「廃炉」もあり得ないのが、東電福島の事故後の現実なのです。
※ 森重晴雄著「差し迫る福島原発1号機の東海と日本滅亡」では、科学的に東電福島の現実を考察することで「水素爆発」に到る東電の技術力の問題、更に何一つ見通しが示せない「燃料デブリ取り出し」についても、具体的な方法が示されたりしています。
また、単なる考察を超え、考察に基づいた提言が川田龍平議員(立憲民主党)によって国会でも取り上げられたりしています。
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