(前週よりのつづき)
・7月30日 「使用済み核燃料受け入れへ、青森県知事表明、中間貯蔵施設に搬入、『原発敷地外では国内初』」「再処理工場、実現しないまま『最終処分地』に残る懸念」
・7月31日 「第一原発デブリ取り出しパイプ型装置、きょう使用前検査」
・8月1日 「東電第一原発2号機デブリ、取り出し開始21日頃、東京電力廃炉戦略室長(伝田康貴)に聞く、廃炉作業難しい段階に、デブリ取り出し重要な一歩」
・8月6日 「東電、処理水海洋放出7800トン、あすから今年度4回目」
・8月9日 「デブリ取り出しNDFプラン盛り込む、工法検討来年度半ば完了、東電方針」
・8月10日 「中間貯蔵で青森県、むつ市、RFS、燃料搬入へ安全協定締結、国内初、新潟から来月にも」
・8月14日 「福島第一原発2号機のデブリ、分析結果、年度内に公表、IAEA、採取工法の検討へ」「東電、第一原発2号機タンク水位低下、原子炉建屋3階から漏えい発表」
・8月17日 「第一原発デブリ取り出しパイプ型装置、使用前の手続き完了、規制委が『終了証』」
・8月20日 「第一原発2号機、デブリ採取22日開始、廃炉工程、最終盤の第3期へ」
・8月21日 「デブリの分析施設公開、原子力機構、炉内の状況把握へ」
・8月22日 「第一原発停電『軽微違反』、規制委実効性ある対策求める」
・8月23日 「デブリ取り出し中断、第一原発2号機、準備作業で初歩的ミス、東電謝罪、再開は未定」
・8月24日 「デブリ取り出し延期、東電変らぬ、協力企業任せ、開始時期は見通せず」
2011年の、東電福島の事故は、前掲の原子力安全基盤機構の「原子力防災概説」の図の、「回復」の矢印が示すのを超してしまった事故です。「回復」はあり得ない事故だったのです。その結果、2024年5月時点で、事故対策の費用が21兆円になっています。しかし、事故対策のすべては途上であって、その費用がどこまでなのかは、誰も示していませんし、そもそも、それぞれ状況から判断した時、示せないのです。
国、東電は、この事故の事故対策に見通しがあるとして、その場合の見通しの最終段階として示しているのが、溶融燃料・通称デブリの取り出しです。前掲の「原子力防災概説」では「矢印」の示されない先にある事故、そして現実に起こってしまって「放射性物質大量放出」で、概説では対策は示されていません。
対策不能だからです。
今、東電福島で進行中なのは、その対策不能の事態です。
その結果の、汚染水を処理水と称しての海洋放出です。
東電福島の事故対策の「完結」とされるデブリ取り出しは、始まるはずだった8月22日に、「準備作業の初歩的ミス」で「デブリ取り出し中断」になってしまいました。「初歩的なミス」については、東電は以下のように発表しています。「東電によると、準備作業中に起きたミスは〈図〉の通り。取り出し装置はデブリを挟む爪形の器具が先端に付いており、後方から『押し込み用パイプ』と呼ばれる1.5メートルの円筒状の機器を5本つなぎ、格納容器内に挿入する仕組みになっている。東電は22日午後7時25分ごろから格納容器貫通部と外部をつなぐ『隔離弁』の奥に装置を入れるための準備作業に入った。協力企業の作業員があらかじめ並べてあった押し込み用パイプの1本目を接続しようとした際、順番に並んでいないことに気付いた…」(8月23日、福島民報)。
「デブリ取り出し中断」は「準備作業の初歩的ミス」の結果なのですが、そもそも、およそ880トンと言われるデブリの数グラムを試験的に取り出すのを、「デブリ取り出し」と称して、その準備作業の「初歩的ミス」で、それさえも中断してしまったのが、22日の事態です。
(次週につづく)
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