(前週よりのつづき)
その処理不能の、破綻している再処理の未だ「建設中」の再処理工場の事業費が、1993年の着工から現在までに、15兆1千億円と試算されています(6月22日、福島民報)。
そうして「再処理」「高速増殖」を前提に、再処理工場建設は進められる一方で、進められてきたのが、使用済核燃料の「中間貯蔵(施設)」です。
という「中間貯蔵施設」は、「使用済核燃料を再処理するまで一時保管する施設で、核燃料サイクルの一端を担う」とされています(8月10日、福島民報)。
しかし、再処理施設は15兆円を費やしても「建設中」であり、その先に想定されていた増殖炉も破綻しているとすれば、この場合の「中間貯蔵」も成り立たないことになります。
なのに、既に、その中間貯蔵施設は建設されており、青森県、むつ市、事業者が協定を締結し「9月までに東京電力柏崎刈羽原発から使用済み燃料が搬入される」ことになっています(7月30日、福島民報)。「協定は燃料の最長貯蔵期間『50年間』と明記し、期限までの施設からの搬出を求めた。RES(事業者のリサイクル燃料貯蔵)親会社の東電、日本原子力発電も含め『中間貯蔵事業の確実な実施が著しく困難となった場合には、燃料の施設外への搬出を含め、速やかに適切な措置を講ずる』とする覚書も併せて結ぶ」。
処理も再処理のいずれも目途が立たないのに「『50年間』と明記」したり、「速やかに適切な措置を講ずる」などを、「妥当的な判断した」と言ったりするのは、それこそが「初歩的なミス」以外のなにものでもありません。
その初歩的ミスの「初歩」について、今回のデブリ取り出しのミスが、確かに単なる初歩的であると片付けられないのは、放射性物質の取り扱いは、あらゆる意味でたやすくはないことに起因しています。
特に、たとえば東電福島の事故現場の場合のように、原子炉が熔融するような事故現場の場合は、事故対策は、超高濃度の放射性物質との闘いになります。
たった、数グラムのデブリを取り出すのに、用意された器具は、〈報道写真が示すように〉かなり大げさに見えます。(実際に大きいのです)。テストをしていたのにその並べ方を間違ったのだそうですが、そこが、ゆっくり並び方を確認できるような場所ではなかったからです。
超高濃度の放射性物質と作業員の被曝を可能な限り少なくする為です。
要するに、今回の作業も、その作業にたずさわる作業員も、被曝を避けられない、「おっかない」場所での作業を余儀なくさせられるのです。
作業にあたっていたのは、「協力企業」の作業員です。
東電の社員ではありませんでした。
たまたま、そうであったということではなく、被曝が避けられない、今回の事故現場などでの作業は、交代・交換可能な、言うところの「協力企業」の作業員が当たることになっているのです。
東電の社員の被曝を避ける為に。
(次週につづく)
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