(先週よりのつづき)
おびえながら、それでも幸運を喜んでいる
命拾いしたんだ。
壁がそのとぎれとぎれの眠りから目覚める。
蠅たちの集うたった一つの灯りで
寒い夜をやりすごす暖をとる。
この寒さが途切れるのはミサイルが命中し、
家と道を木々を熱し
となりの地区の人たちを焼きつくすときだけ。
四六時中 僕らが聞かされるのは爆弾が
F-16だかF-35だかから落ちる音で、
僕らの生命はおののかされる。僕らの生命は凍らされる
どこかへの途中で、もうわかんなくなってしまう
次にどこへ行くかすら……
墓か、病院か、
それとも悪夢か。
僕らの生命はそのふるえる手を
腕時計にのせておき、
いつでも電池を抜けるよう指の準備をする、
もしも、ないし必要なときに。
僕の四歳の娘のヤーファーが
ピンクのドレスを身にまとい、爆弾が
炸裂するのを聞く。ヤーファーは息を深く吸い
口をおおう、ドレスの
フリルをつかって。
ヤザン、五歳半になったヤーファーの兄が
自分の眠たい体で温めた毛布を握る。
ヤザンは妹に毛布をかける。
「これで隠れられるからね」とヤザンは約束する。
僕と僕の妻のマラムは、二人で祈る、
魔法のじゅうたんで全ての家を爆弾から隠し
僕たちを安全などこかへ連れて行ってくれますようにと。
ムスアブ・アブートーハ
1992年、ガザ地区アル・シャンティ難民キャンプ生まれ。ガザ・イスラーム大学を卒業後、アメリカ合衆国のシラキュース大学で芸術学修士号を取得。2022年に詩集「Things You May Find Hidden in My Ear: Poems from Gazza」をCity Lightsから出版。
・5月10日 「カナダ哨戒機、嘉手納に飛来、北朝鮮の船舶監視」
・5月11日 「知事降下訓練移転を要求、防衛省『米に求めない』」「嘉手納に新たな無人機配備、米軍MQ4C今月にも、地元反発」
・5月14日 「米軍の車、逆走し衝突、沖縄署、道交法違反疑い逮捕」
・5月16日 「基地立ち入り規定要望、環境問題時、名護市、政府に」「新基地抗告訴訟、被害の恐れ認定、辺野古住民に原告適格、高裁那覇、差し戻し判決」
・5月17日 「米兵164キロで公道暴走、3人重軽傷、2年2月求刑、那覇地裁」
・5月19日 「基地のない沖縄訴え、5.15平和行進に2190人」
・5月21日 「嘉手納にMQ4C、周辺住民反発、『基地負担軽減に逆行』」
・6月23日 「酒気運転疑い陸軍兵を逮捕、沖縄署当て逃げも」
・5月24日 「米空母艦載機嘉手納に飛来、C2輸送機2機」
(次週につづく)
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