(前週よりのつづき)
それらは、単なる使用済、単なる廃棄物・ゴミではないのは、何によっても除去できないし、放置する場合核反応を起こしてしまう処理不能の毒だからです。その「処理不能のゴミ」の処理の見通しが立たないものを「優れた安定供給性と技術自給率」だと言ってしまうのは、事柄の根本を見誤っています。
2011年3月の、東電福島の重大事故は、自然災害が引き金になったことだとしても、そもそも人間の手では処理不能のものが発生する、原子力発電所の稼働こそが誤っていたのです。
そうして起こってしまった事故からやがて14年、事故の原子炉を「廃炉」にするということで取り組まれている事故対策も、取られているのは緊急の事故対策の域を一歩も出ることはなく、稼働中の事故の原子炉から出る大量の汚染水の処理に追われています。
これとて「処理」とは名ばかりで「処理」らしきものを実施する時、必ず別の「処理不能」の放射性物質として残り続けることになります。
汚染水の処理施設として稼働する「セシウム吸着塔」からは、高濃度の処理不能のセシウムが残って増え続け、次の段階の「多核種除去施設」からは、高濃度の処理不能の多核種が残って増え続けています。
こうした事実は、原子力をエネルギーとして使うとしても、決して「優れた安定供給性と技術自給率」などとは言い難いことを示しています。更に「他電源と遜色ないコスト水準で、変動も少ない」とありますが、処理不能であっても、決して放置できない、使用済み核燃料廃棄物のことを考慮するとすれば、「人類」がそのことに払うことになるコストは払いきれないくらい途方もなく大きく、ひたすら増え続けることになります。
そのコストを計算外においてのみ「優れた安定供給性
と技術自給率」などと言えているにすぎません。
「再稼働」の決まった女川原発2号機の場合も、上記の問題は何一つ方針は示されていません。「東北電力女川原発2号機の使用済み核燃料を保管するプールは既に8割が埋まっており、再稼働により4年程度で容量上限に達する見通しだ。使用済み核燃料の行き先となる日本原燃再処理工場(青森県六ヶ所)は完成の延期を繰り返しており、東北電力は敷地内に燃料保管施設を建設して急場をしのぐ。2号機原子炉建屋内の使用済み核燃料プールは、貯蔵できる燃料1680体に対して1335体を保管(2024年12月26日時点)。貯蔵率は79.5%。このため敷地内にプールで冷却された燃料を金属製の容器に入れ、自然対流で冷やす『乾式貯蔵施設』の新設を計画。2棟建設し、1棟目は最大552体の燃料を収納でき、2028年3月に運用を始める予定だ。国は使用済み燃料を化学処理してウランやプルトニウムを取り出し、混合酸化物(MOX)燃料として再利用する核燃料サイクル政策を掲げる。だが再処理工場は完成目標を27回延期している」。
(次週につづく)
[バックナンバーを表示する]