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小さな手大きな手

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2025年06月04週
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6月23日「慰霊の日」の会場で朗読されます

おばあちゃんの歌
豊見城市立伊良波小学校6年生 城間一歩(いぶ)輝(き)

毎年、ぼくと弟は慰霊(いれい)の日に
おばあちゃんの家に行って
仏壇に手を合わせウートートーをする

一年に一度だけ
おばあちゃんが歌う
「空しゅう警報(けいほう)聞こえてきたら
今はぼくたち小さいから
大人の言うことよく聞いて
あわてないで さわがないで 落ち着いて
入って いましょう防空(ぼうくう)壕(ごう)」
五歳の時に習ったのに
八十年後の今でも覚えている
笑顔で歌っているから
楽しい歌だと思っていた
ぼくは五歳の時に習った歌なんて覚えていない
ビデオの中のぼくはあんなに楽しそうに踊(おど)りながら歌っているのに

一年に一度だけ
おばあちゃんが歌う
「うんじゅん わんにん 艦砲(かんぽう)ぬ くぇーぬくさー」
泣きながら歌っているから悲しい歌だと分かっていた
歌った後に
「あの戦の時に死んでおけば良かった」
と言うからぼくも泣きたくなった
沖縄戦の激しい艦砲射撃(しゃげき)でケガをして生き残った人のことを
「艦砲射撃の食(た)べ残(のこ)し」
と言うことを知って悲しくなった
おばあちゃんの家族は
戦争が終わっていることも知らず
防空壕に隠(かく)れていた
戦車に乗ったアメリカ兵に「デテコイ」と言われたが
戦車でひき殺されると思い出て行かなかった
手榴弾(しゅりゅうだん)を壕の中に投げられ
おばあちゃんは左の太ももに大けがをした
うじがわいて何度も皮がはがれるから
アメリカ軍の病院で
けがをしていない右の太ももの皮をはいで
皮ふ移植をして何とか助かった
でも、大きな傷あとが残った
傷のことを誰にも言えず
先生に叱(しか)られても
傷が見える体育着に着替えることが出来ず
学生時代は苦しんでいた

五歳のおばあちゃんが防空壕での歌を歌い
「艦砲射撃の食べ残し」と言われても
生きてくれて本当に良かったと思った
おばあちゃんに
生きていてくれて本当にありがとうと伝えると
両手でぼくのほっぺをさわって
「生き延(の)びたくとぅ ぬちぬ ちるがたん」
生き延びたから 命がつながったんだね
とおばあちゃんが言った

八十年前の戦争で
おばあちゃんは心と体に大きな傷を負った
その傷は何十年経(た)っても消えない
人の命を奪(うば)い苦しめる戦争を二度と起こさないように
おばあちゃんから聞いた戦争の話を伝え続けていく
おばあちゃんが繋いでくれた命を大切にして
一生懸命に生きていく
(2025年6月7日、沖縄タイムス)
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