「特定帰還居住区域、初の避難解除方針、2026年度中、双葉の3行政区」(6月11日)。東電福島の事故の後、残留放射性物質をもとに、避難区域が3つに別けられます。
1~20m㏜/年 避難解除準備区域
20~50m㏜/年 居住制限区域
50m㏜/年以上 帰還困難区域
1~50m㏜/年の2つの区域については「除染」を理由に、避難が解除されます。しかし、双葉町のように、かつての街の中心などが、帰還困難区域である場合に、「特定復興再生拠点区域」と設定し、集中除染を実施することで、避難を解除します。今回、「避難解除方針」の区域は、「特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域」に指定された区域「特定帰還居住区域」です。
元々は、「50m㏜/年以上の帰還困難区域」です。「帰還意向を持つ住民の生活圏などの除染範囲を定めた『復興再生計画』を策定し、国の認定を経て除染や家屋解体が国費で行われる」区域です。
「50m㏜/年以上、帰還困難区域」は、とても明確な基準です。
それを「なし崩し」にしてしまうのが復興の名のもと「特定復興再生拠点区域(復興拠点)」です。それを更に「なし崩し」にするのが、「特定帰還居住区域」です。
「人間は生きものであり、自然の一部である」(中村桂子、生命誌研究館)。人間の生活は、そこで自然と一体となって生活を営んできました。「初の避難解除」と言われる双葉町の人たちにとって、あるべき人間の生活の営みは当面は奪われたままだし、取り返しようがありません。なのに実施される避難解除は、「人間は生きものであり、自然の一部である」ことの否定以外の何ものでもありません。
東電福島の事故から14年、地元の新聞が伝えているのは、そんな現実です。
・7月8日 「第一原発5,6号機と第二原発、使用済み燃料搬出方針/東電、青森の中間貯蔵へ/宮下知事に計画提示」
・7月11日 「パイプラインケーブルに一部損傷、第一原発処理水放出に問題なし」「14日、処理水海洋放出開始、今年2度目」
・7月12日 「土壌の放射性物質、効率的な除去、新技術確立、JAEA発表、減容化に期待」
・7月15日 「処理水放出を開始、第一原発、今年度2回目」
・7月16日 「浪江の特定帰還居住区域、今月下旬にも準備宿泊開始」
・7月18日 「除染土あす官邸搬入、環境省方針、初の県外再利用」
・7月19日 「第一原発、核物質新測定法を開発、JAEA、デブリ非破壊で」「第一原発1号機、大型クレーン使用、今日再開」
・7月23日 「関電、美浜で原発新設へ、地質調査実施、地元に伝達」
東電福島の事故から、およそ14年、あの事故が、東電・国の主張通り「想定外」であると、刑事では最高裁では無罪、民事・株主訴訟では一審の有罪を、高裁は無罪にしてしまいました。
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