(前週よりのつづき)
その沖縄が、「本土復帰」にあたって何よりも願い求めたのは、「核抜き」「基地の無い」沖縄でした。
その「願い・求め」を踏みにじっていることに、妨害・弾圧・紆余曲折を経て沖縄から議員として登壇した国会で、首相佐藤栄作に迫ったのが瀬長亀次郎でした。そこで瀬長亀次郎は、首相佐藤に向って、「核抜き」「基地の無い」沖縄の「本土復帰」の要求を突き詰めます。その様子がドキュメンタリー映画「米軍が最も恐れた男/その名は、カメジロー」(監督・佐古忠彦)に映されています。
そのまさしく、「本土復帰」「返還の交渉」の時に、「有事の核持ち込み」「基地容認」の追認交渉を首相佐藤は米側に「密約」していました。
そうして結ばれ続けている「密約」について、言及しているのが「日米密約の新文書あれど」の「四つの日米密約」(2025年10月6日、朝日新聞、編集委員藤田直央)です。
その内、沖縄に関するものが
③、返還後の沖縄への緊急時の核兵器の持ち込み
④、沖縄返還で米軍基地の原状回復補償費を日本が肩代わり
この「密約」について、敗戦後の沖縄から、「国政」に沖縄からの議員として出席した瀬長亀次郎は、「核抜き」「基地の無い」「本土復帰」について、首相佐藤を追求しますが、「…瀬長君、それは現実を踏まえないと…」とうそぶきます。
たとえば、それは、それから50年近く経った今も、沖縄で日常的に起こり続けている、米軍・米軍基地の治外法権による「無法」の事実です。
・10月3日 「米軍、国頭宇嘉川で訓練、希少な動植物へ影響懸念、上陸訓練、負担軽減に逆行」
・10月4日 「統合演習過去最大に、全国20日から、自衛隊5万2300人(米軍約5900人、豪軍約230人)」
・10月8日 「F35A戦闘機嘉手納に10機、暫定配備か」「高江ヘリ炎上8年、米軍汚染土6年県保管、本国への搬出状況不明、放射性物質を初特定」
・10月10日 「嘉手納で米軍降下訓練、今年6回目、ヘリも使用」
・10月14日 「米軍機F35A嘉手納に2機、暫定配備の機体か」
・10月15日 「米軍嘉手納基地、F35B4機飛来、海自岩国基地4機飛来」
・10月17日 「米軍車両事故328件、日本政府1億円超賠償、過去5年、島内公務中」
・10月19日 「米兵捜査、地位協定の壁、95年暴行事件担当の元警察官初証言、身柄は米軍、口裏合わせ懸念、好意的考慮『県民守れない』」
ただ、それらは「密約」によって始まったわけではなく、サンフランシスコ講和条約、日米安保条約、それに基づいて施行された、日米地位協定によって、もし、そこに(沖縄に)米軍基地が存在する限り、治外法権の「無法」はまかり通ることになります。
現実に、まかり通っているし、それに「輪をかける」のが、台湾有事の名のもとに進められている、「先島」における、日本、自衛隊による基地化、その強化です。
(次週につづく)
[バックナンバーを表示する]