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2007年12月01週
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 ローマ皇帝が、どれくらいの権力を持っていたのかは、例えばコンモドゥス(紀元177~192年)の場合だったら、数々の“奇行”“領土拡大など”とは別に、「多くの人々が、他人を処罰するにも、また自分の安全を確保するためにも、金を使った。実際、彼は処罰の変更や埋葬の許可、そして悪人の処置の軽減を金で売った。同様に、死刑を宣告された人の代わりに別人を処刑することすらした・・・」など、やり放題でした(「ローマ皇帝群像2」アエリウス・スパルティアヌス他、京大出版会)。コンモドゥスのようにやりたい放題のローマ皇帝もいましたが、その前の“五賢帝”の時代のローマ皇帝は、権力の使い方をそんなに誤りませんでした。目の前にぶら下がっている権力を、欲望で振り回すということはしなかったのです。「彼(マルクス・アウレリウス皇帝)は、公的な支出に関しても慎重であった。また、嘘つきの告発人にも目をつけ、彼らの証言を拒んだ。皇帝金庫を膨れさせるような告発を軽蔑していた。貧しい子どもたちを助けるための公的援助制度について、充実のための方途を賢明に数多く案出した」(「ローマ皇帝群像1」)。「マルクスにとって貪欲という噂ほど恐れ、免れたいと思うものはなかった」(前掲書)のその彼の足もとで、欲望や裏切りが触手を伸ばしてはいたのですが。「マルクスは息子(コンモドゥス)をよく知っておらず、自分は死なねばならないことを少しも厭わないが、このような息子を後に残して死ぬことを遺憾に」思っていました。
 

 教育再生会議(だったと思う)が、「携帯電話の使い方のことで、親に厳しく指導するよう求めることを決めた」などのことが、報道されていました(・・・確か2、3日前のテレビのニュース番組で、そんなことが報道されていたと思う?)。今や、“万能の働き”をしてしまう携帯電話は、いろいろ、あれこれ、人の欲望にからんで、事件になったりもしていて、中でも青少年が有害な“出会い系”などの機能を使わないように、“親が厳しく指導することを求める”という内容だったと思います。使用料金が発生する携帯電話を青少年に持たせたりするのは親だから、その責任において、厳しい使い方の指導を親に求めるというのは、もっともらしく聞こえなくはありませんが、少し違うような気がします。“万能の働き”をする道具が身近にあって、更にそのことでの情報がじゃんじゃん入ってきて、その情報の安心な部分だけを選択して使うということは、指導するはずの親であっても難しかったりします。“適切な部分の選択”の指導を期待される大人(親)が、その欲望丸出しの情報をじゃんじゃん流し使いまくっています。しかも、それをしているのが肌身離さず身近にそこにある携帯電話という“万能の働き”をする道具です。扱いに慣れれば、ボタン一つでもその情報はなんとでも使ってしまえます。


 そんなものが身近にあるのですから、どんな厳しい親の指導も、いつどんな場合にも貫けるということにはなりにくいはずです。なのに、欲望の情報が止まることを知らずじゃんじゃん入ってくる、欲望そのものである道具の “厳しい指導”を親に任せてすまそうとするのです。人には欲望というものがあって、それがその人にゆだねられていて、その欲望がなかなか制御しにくいものであることが解りきっていて、更に、その欲望がたとえば子どもたちのポケットにまで届いてしまっていることには警告を発しないで、“親の厳しい指導”まかせてしまったとしても、この決定と期待は実現するのだろうか。


 携帯電話とその機能のように、人の欲望をくすぐって止まないところで成り立つ商売を、成り立たせているのも人の欲望です。そのことが制御しにくいのは、それを成り立たせているのも欲望だからです。ですから、携帯電話とその機能のようなものが流布している限り、それを“親の厳しい指導”にゆだねる決定をしたとしても、その決定と期待が実現するはずはないのです。じゃなくて、人というものは時として止まるところを知らない欲望を自分の中に抱え込んで生きる生きものなのです。ですが、全くそのことに振り回されてしまうのではなく、生きた経験や出会いが、踏み止まったり距離を置くことを可能にしないわけではありません。欲望から隔離することで解決することでないのはもちろんです。
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