新しい年を迎え、1月1日は新年礼拝の後自宅で飲んで食べて一日が終わりました。2日は宝塚の施設の父を訪ねました。部屋のドアとカーテンを閉め“こっそり”持ち込んだおせちとお酒で3人のお正月をしました。おせちを“おいしい”と言って食べ、お酒をついだおちょこを“カチッ”と合わせた後、ぐいっとひと口飲んで大きく“ハァー”と一息つくところがお酒で“おいしいねぇー”と言っていました。2局指した囲碁は一勝一敗でした。2ヶ月程前からは、ハンディなしでほぼ対等に指しています。ほぼ1週間毎に訪ねて指している囲碁は、差し手を間違ったりすることもあり、勝負どころか詰めも甘くなってきました。たぶん、そんな風にして囲碁で向かい合っている相手の名前もおぼつかないのでしょうが、2、3局続けての囲碁はできてしまうのです(氷見の父は、26~28日の輪島・柏崎のもちつきで通過することになった氷見の、能越自動車の氷見インターから3、4分の施設で世話になっている為、そこで降りて七尾、輪島方面に向かう26日に立ち寄らせてもらうことになりました。訪ねたのがおやつの時間でしたが、待っている間も車椅子で丸くなって目をつむっていました。声をかけると、ゆっくり目を開け、ゆっくり息子の名前を口にしていました。一緒に孫の結婚式の写真を見ましたが嬉しそうでした。同じ施設で世話になっているおじにも出会うことが出来ました)。
宝塚の施設の父を訪ねた後、昨年8月に熱中症で倒れ、転院して伊丹の病院に入院中のNさんを見舞いました。かつぎ込まれた兵庫医大で、担当医師に「この状態では10人中9人は難しいですね」と言われていたのが持ちこたえ、スポーツ新聞で阪神タイガースのことを話題にするとうなづいたりしていました。現在の病院に移って3ヶ月近く、やせほそって声をかけても目を合わせてもらえませんでした。
3日には、ねずみの“組み木”を切ったのを用意し、入院中の子どもを見舞いましたが、面会できませんでした。
そんな新しい年の始まりの2~4日にかけ、3~4冊の本に目を通しました。1冊は「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策」(ジョン・J・ミアシャイマー、シカゴ大学、スティーブン・M・ウォルト、ハーバード大学、講談社)の下巻です。上巻は昨年末に目を通していて、下巻はもちつきでも持ち歩いていましたが、そのままになっていました。「イスラエル・ロビー」は、先日のオハイオ州で始まった米国の大統領選挙の底流に何があるのにも言及している本です。世界で一番影響力を持つ人を選ぶのが米国大統領選挙です。そして、その米国大統領選挙だけでなくその政策決定にも一番影響力を持っているのが、この本のタイトルにもなっている“イスラエル・ロビー”です。“イスラエル・ロビー”は、この本の著者である2人の大学教授が、たとえばイスラエルについてどんな見解を持っているか、どんな発言をしたかで、大学教授として選考されるか否かに影響力を行使したりもする組織(組織の総称)です。たとえば、米国ブッシュ大統領のイラク戦争開始にあたって、決定的な影響力を持ったのが、“イスラエル・ロビー”であったことを、その当時の関係者の見解・発言をもとに論証して見せます。イラク戦争がもとで支持率30%の現大統領も、アイオワ州で大統領候補を争っているヒラリー・クリントンもオバマも、イスラエル政府によってパレスチナ人に対して遂行されている非人間的な扱いに決して言及しないのは、“イスラエル・ロビー”の圧力によるものであることを同じように論証します。
「日本の行く道」(橋本治、集英社新書)は、日本の行く道の原点を示した“好書”です。著者は最近では「『わからない』という方法」「上司は思いつきでものを言う」「乱世を生きる市場原理は嘘かもしれない」などで、この国の現在や状況がどこにあるかを、独特の切り口で示してきました。「日本の行く道」では、一番の関心はこの国の未来を生きる子どもたちです。“どうして子どもが自殺をするのか”の場合の“いじめ”のことで、事件の後で周囲の人たちが口にする「当人からの直接の訴えがなかった」などのことを、それを訴えなかった子どもたちの側から解き明かせてみせます。そして、そんな子どもたちの未来のこととして「日本の行く道」を示します。しかも、とっても明解に“示す”のですが、どっぷり現在というものにひたって生きている“私たち”に、明解であることが実行に移せないのはなぜなのかも。
「闇の女王にささげる歌」(評論社)の著者ローズマリ・サトクリフは、30年程前に“児童文学”というものを読み出したときからのファンです。「作品中に繰り返し描かれる挫折、絶望とそこからの甦り、それを可能にする人間への依頼」(訳者あとがき)が、若々しい主人公と、主人公を支える脇役たちによって描かれます。「闇の女王にささげる歌」は、2002年の初版ですが、ほこりをかぶっていたのを引っ張り出してきて読みました。
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