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2008年03月05週
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続いて起こっている“無差別殺人事件”のことで考え込んでいます。例えば、子どもたちに届く言葉で「なぜ人を殺してはいけないか」を語り得るとしたら「それは、自分で考えて選ぶ他ない。君が人を殺したいと思ったら、殺した後どうなる考えてみて、それが自分に不利な結果をもたらすとして、それを受け容れる覚悟が出来ているか、と反論したら・・・」と言及していたのは「教育再定義の試み」(鶴見俊輔、岩波書店)です。伝えられるところによれば、“考えて、選ぶ”ということをしないで、“誰でもよかった、人を殺してみたかった”ということで、青年は9人の殺傷し(二人が死亡)、青年は一人の人を列車のホームから突き落として殺してしまいました。殺して捕まった青年達の“誰でもよかった、人を殺してみたかった”と“供述”しているらしいことを、そのままうのみにするつもりはありません。3月23日の事件(最初は3月19日)で伝えられている本人の“供述”によれば、青年の事件は計画的なものであったようです。しかし、「誰でもよかった、人を殺してみたかった」「誰かを殺すつもりで1月に(文化包丁)買った」「(出頭したのは)怖くなったから」19日の事件のことでは「殺すのは誰でもよかった。たまたま(Mさんが)いたから殺した」(いずれも3月26日、朝日新聞)などの“供述”は、青年が留置されている場所で、プロの取調官が、それを“計画的だった”と口走らせた結果であったとしても、そのように供述させるのは難しいことではありません。“誰でもよかった、人を殺したかった”で文化包丁を入手したのは充分に計画的ですが、その計画がいわゆる計画と言い得るほど客観的に整合性を持っているかというと、そうとは言えません。そもそも、“誰でもよかった、人を殺したかった”は、この青年がそこまで生きてきた“不合理”をそのまま物語っています。“誰でもよかった、人を殺してみたかった”は、“なぜ人を殺してはいけないか”を、問い問われる人としての関係を生きてきたのであれば起こりにくいことなのです。“誰でもよかった、人を殺したかった”には、自分の側からの“殺したかった”という理由はあっても、そのことで傷ついて(死んで)しまう側への思いは全くありません。“誰でもよかった、人を殺してみたかった”は、他者の存在への気付きが失われた、ないしは奪われた時に起こってしまう人の振る舞いのように思えます。そんな、自分の側からだけで生きてしまうということを人はしてしまいます。貧しかった時、人はその貧しさの理由のすべてを背負って生きるよりありませんでした。貧しさの理由を言葉を尽くして共有しあうよりありませんでした。そんな時人は、自分の側からだけで生きるということにはなりませんでした。とげとげしい言葉になったとしても、人として言葉を交し合う関係で生きれば、その人の自分以外の“他者”の存在が了解されることになって、“誰でもよかった、人を殺してみたかった”を、そのままを他者に対して実行することにはなりにくくなります。なるのだと思います。


 人は、筋書き通りに自己形成を遂げて生きているわけではありません。
もう一つの“無差別殺人事件”の青年は「誰かを刺してやろうと思っていた」「人を殺せば刑務所にいける。誰でも良かった」と“供述”しているとのことです(いずれも3月26日朝日新聞)。1995年1月17日の兵庫県南部大地震の被災者であったことが、この家族の“貧しさ”だったのかもしれません。しかし、“誰かを刺してやろうと思っていた”ということと、その結果の事件の貧しさは同じことではありません。人は生まれて育って生きて行くとき、他者を傷つけることを繰り返すことがあって、いつかそのことが自分を利することがないことに気付き、例えば“なぜ人を殺してはいけないか”を考えたりします。そして、“誰でもよかった、人を殺してみたかった”を回避する、もう一つ別の道を歩むことが全く不可能ということではなくなります。


 「誰でもよかった、人を殺してみたかった」という無差別殺人事件の青年がきびしい罰を受けることがあったとしても、密室の取調べでそれが更に重くなることに特別の意味があるとは考えられません。人と人とが言葉を交わしあうことで、自分以外の他者の存在が自分と同じくらい尊い事に気付く事からしか、青年たちが起こしてしまう事件が渦巻く社会の出口は見つからないように思えます。
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