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2009年08月01週
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 「政府の『アイヌ政策の在り方に関する有識者懇談会』(座長・佐藤幸治京大名誉教授)は29日、報告書をまとめ、河村官房長官に提出した」こと、及びその概要が伝えられています(2009年7月30日、朝日新聞、以下“アイヌ政策懇談会”)。
 

 2008年6月6日、衆参本会議は「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」(以下、先住民族決議)を議会決定します。これは、2007年9月13日国連総会で採択された「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(以下、先住民族宣言)とそれに賛成した144の国に、日本も含まれていて、それに基づいての国会決議ということになります(ちなみに、アメリカ合衆国は宣言に“反対”しますが、理由は「先住民族、国家及び第三者の権利と義務の適切なバランスを達成する必要がある」などでした。要するに、“インディアン”と総称される先住民族から奪ってきたものを、その固有の権利としては認めない、ということなのです)。その日本国内での取り組みの為に設けられたのが“アイヌ政策懇談会”なのです。およそ1年にわたる協議で提出されることになったのがその報告書です。現在のところ、概要として伝えられたものが手元にあるだけですが(報告書全文は、いずれ公表されるらしい)、いくつかのことを指摘することにします。


 国会決議には、「昨年9月、国連において『先住民族の権利に関する国際連合宣言』が、我が国も賛成する中で採択された」「これはアイヌ民族の長年の悲願を映したものであり」「我が国が近代化する過程に置いて、多数のアイヌの人々が法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実」などのことが掲げられていました。この理解に基づいて、「アイヌ政策懇談会」が設けられ、協議の末報告が書かれることになります。そんな経緯で、“我が国の先住民族の権利”について協議することになるのですが、そのことが突きつけていることの意味を、我が国政府も、「アイヌ政策懇談会」のほとんどの構成員も、そしてほとんどの国民も理解している訳ではありません。そもそも、“先住民族決議”が、国連の我が国も賛成する“先住民族宣言”に基づいて書かれたにもかかわらず、「・・・多数のアイヌの人々が、法的には等しく国民でありながらも差別され」と言ってしまう時、アイヌ民族が先住民であることの意味、国連の先住民族宣言で言わんとしたところのことも、何一つ理解していません。国連の

“先住民族宣言”は「・・・第一条 自由であり、他の民族と平等であり、差別されないこと。第2条 自決権。この権利により、自由に政治的地位を決定し、自由経済的、社会的及び文化的発展を追求する。・・・」などとなっています。宣言の第2条の“自由であり、他の民族と平等”、第3条“自決権・・・”などの意味とその言わんとするところが理解されているとしたら、国会決議は“多数のアイヌの人々が法的には等しく国民でありながらも差別され・・・”とはならなかったはずです。アイヌの人々、“法的には等しく(我が)国民でありながら差別され”たのではありません。先住民族としての固有の生活領域(“アイヌモシリ”という名の土地、北海道)、固有の文化・言語・宗教・法などが“我が国”によって、ことごとくおびやかされ、奪われることによってあらゆる意味での貧窮を余儀なくされました。“法的には等しく国民”であることを強いられれば強いられるほど、アイヌの人々、アイヌ民族であり得なくなる、貧しくなってしまったのです。「アイヌ民族の長年の悲願」は、「法的には等しく我が国民である」ことではなく、固有の生活領域、固有の文化・言語・宗教・法などが「自由であり、他の民族と平等であり・・・」「自決権。この権利により、自由に政治的地位を決定・・・」するアイヌ民族なのです。しかし、“法的には等しく(我が)国民である”ことを理由に、それらすべてを奪ってきました。その結果、アイヌの人々・アイヌ民族が背負うことになったアイヌのことを、違星北斗は歌っています(「コタン」、草風館)。

 滅び行くアイヌの為に起つアイヌ
  違星北斗の瞳輝く
 私はただアイヌであると自覚して
  正しき道を踏めばよいのだ
 新聞でアイヌの記事を読む毎に
  切に苦しき我が思いかな

 “アイヌ政策懇談会”の報告書概要の「③国に統合的な窓口を置き、アイヌ民族の意見を政策に反映させる・・・」などを見る限り、相変わらず我が国はアイヌの人々、アイヌ民族を国連の“先住民族宣言”の言うところの、自決権を持った先住民族とは認めていません。


 そんな中で、 “アイヌ政策懇談会”などの理解や発想ではない、アイヌ民族自らの言葉での自決権の主張が始まっています。まだ、最終的に文章化されていませんが、先日、北海道紋別市元紋別の鷲頭幹夫さんを訪ねた時に教えてもらった「オホーツク沿岸のアイヌ民族から、日本国政府と北海道知事への緊急要望書(案)」がそれです。先住民族が自決権を主張すること、先住民族から自決権要求を突き付けられることなど、“我が国”も“我が国民”も、全く未経験です。というか、敢えて未経験であろうとしたことを、打ち破ろうというのが国連の“先住民族宣言”であり、そのことがアイヌの人々・アイヌ民族の“悲願”なのです。
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