にしきた街づくり協議会が中心になって取り組んでいる、“街づくりの働き”の一つが、教会・幼稚園の前を流れる津門川の右岸、阪急線から北、171号線から南を遊歩道にする計画とその実施です。
津門川の右岸の教会・幼稚園前は、既に3、4年前に、午前8時~午後6時の時間制限で歩行者道路になっています。そのことで、幼稚園が中心になり、たくさんの署名を集めて申請書を出しても実現しませんでしたが、地元の4つの自治会、商店街が名前を連ねて文書を提出したところ、道路管理者・警察のいずれも好意的で、歩行者道路化が実現することになりました。川沿いに置いてあるプランターも、それまでよりは市民権を持つことになりました。
にしきた街づくり協議会は、4年ほど前、教会・幼稚園を流れる津門川塾で、川と街づくりのことが話題になって結成されることになりました。その当時、西宮市の街づくりの担当者から「街づくりは、住民の行政への陳情ではなく、住民の街づくりの思想をもとにした提案で実現する」ものであると示唆し、街づくり協議会では繰り返し“で、その場合の思想とは!?”が話題になりました。たとえば、駅前や駅前公園の場合だったら、新しい公園、街づくりで大切にしたいことの一つとして、“安心して乳母車を押して歩ける街”が挙げられました。車よりも、人が尊重される街ということなのですが、公園を周回する道路幅などのことでは、思想を提案した西宮市の道路管理者と、上記の“思想”はなかなか共通理解を得ることになりませんでした。西宮市は、周回する道路の幅5メートルを、道路交通法などをたてに、なかなかゆずろうとしませんでした。延々と、そして繰り返し議論をする中で、“安心して乳母車を押して歩ける街”の公園ということで、3.5メートルの周回道路が決まりました。結果、公園周辺に入ってきた車は、ゆっくりぐるっと周回するよりなく、3.5メートル幅では駐車が難しい公園周回道路が実現することになったのです。
西北駅前公園の地下駐輪場工事にあたり、公園の木はケヤキを一本残して切られてしまいました。新しくなった公園には新しくケヤキが2本、桜が2本、エゴが2本、ミルトス(ぎんばいか)が数十本植えられました。ミルトスは、手入れが行き届かなかったからか、ほとんどが枯れてしまいました。先日、教会前の大きなミルトス3本のうち2本を、駅前公園に移しました。今、そのミルトス2本には、小さなつぼみが膨らみ始めています。もうすぐ、小さな銀白色の花を咲かせることになるはずです。駅前公園は、駐輪場工事で、残された木はケヤキ1本でした。咲いた桜はほんの少しでした。エゴは、ひっそり白い花を咲かせていました。狭い公園ですが、小さな自然の新しい営みが始まっています。ケヤキを囲む盛り土に、先日こっそりヒマワリの種をまきました。ヒマワリが芽を出して双葉を広げています。そんなに大きなヒマワリにはならないかもしれませんが、2ヶ月くらい先には、西北駅前公園に、初めてヒマワリが咲くことになるはずです。
小さな公園の小さな自然の営みですが、ミルトスの花を、ヒマワリの成長を見つけた人の心を、ふくらませることになるはずです。
西北駅前公園の整備がほぼ終了して始まったのが、津門川右岸を遊歩道にする工事です。ここでも、“街づくりは思想をもとにして”と言ったはずの西宮市とにしきた街づくり協議会の間の、思想の違い・ずれで、会議が長引いてしまうことがありました。西宮市の立場は、常に道路管理が前提になり、にしきた街づくり協議会の、街づくりの思想「人がくつろいで安心して歩ける」右岸・遊歩道の考え方とは相容れなくなるのです。なんとか一歩ずつ、一つずつ合意を形成していくのですが、遊歩道・ガードレールの工事が始まって、西宮市が譲ろうとしなかったのが、遊歩道化する道路の川沿いに植栽帯を作ることでした。西宮市とにしきた街づくり協議会との合意は、十分に得られないまま、そして中途半端な状態で、教会、幼稚園前だけに、少なからず不自然状態で作られている植栽帯です。しかし、実際に植物が植えられるのは秋以降、ということになっています。そんな訳で、待ち切れずにというか、せっかくだからということで、植えることになったのが、教会、幼稚園前のヒマワリです。植栽帯に運び込まれているのは“山砂”ですから、そのままでヒマワリが大きく育って、大きく花を咲かせるのは期待できません。こっそり肥料をやったりしながら、少しでも大きく育って、大きな花が咲くことを願っています。
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