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小さな手大きな手

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2011年10月05週
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 「ほとんど魔法のように、まじないのように、人々にはたらきかけた」、「アメリカの法すべてに息づくべき精神の、予見的な力だった。理想主義ほど役立つものはないこと。理念こそ問題であること。言葉は武器よりもずっと重要であること。リンカーンのゲティスバーグ演説はそのことを事実として、歴史に示した」のは、3分間272語からなる、リンカーンのゲティスバーグ演説です。(「リンカーン・ゲティスバーグ演説」、長田弘訳、絵:マイケル・マカーディ、文:ゲリー・ウィルズ)。 語られたのは、理想主義、理念、言葉は武器よりずっと重要であるなどでした。

 新聞に掲載された野田首相の所信表明演説(全文)を読みました(10月29日、朝日新聞)。同じ新聞の社説は、もっと「『言葉の力』を見せて欲しい」と注文をつけています。演説の「苦しむ人々の力になりたいという願いは、日本中にあふれています。何よりも、被災者自らが救援物資を分け合い、避難所でも支え合いました。そして、これまで延べ80万人の方々が被災地での支援活動にボランティアとして参加して頂き、集まった義援金は3千億円以上に上っています(20兆円、10兆円を売り上げる企業のある国でたった3千億円!)。どんな困難の中でも他者をいたわる心は、世界に誇るべき日本人の気高き精神です」「繰り返す戦禍や災害に打ちのめされながらも、先人たちは、明日に向かって『希望の種』をまき、大きく育ってきたのです。今般の東日本大震災も、その例に漏れません」には「言葉の力」は見いだせそうにないのは、なぜだろうか。演説は、「東日本大震災」の起こった国の日本人を「世界に誇るべき日本人の気高き精神の」と持ち上げます。しかし、気高き精神だけでは、震災からの復興はもちろん無理で、「被災地の街や暮らしを元通りにし、復興に向けて歩む道を確かなものとしていくためには、少なくとも5年間で20兆円近くが必要になると試算される」、が、その日本国は「今日生まれた子ども一人の背中には、既に700万円を超える借金」がある国で、元通りは簡単ではありません。そして、東日本大震災の復興を何よりも難しくしている、東電福島の事故については、「私は何度でも繰り返します。一日も早く原発事故を収束させるため、原子炉の年内の冷温停止状態の達成を始め、工程表の着実な実現に全力を尽くす国家の意思は、揺るぎません」と、する言葉は、しかし取り返しのつかない事態で根本から揺らいでいます。空疎で揺らいで聞こえるのは、福島で起こってしまった事実・出来事の困難さを、そこに身を置く覚悟で語ることも、訴えることもしないからです。言葉は、そこに生きた事実があるかどうかを映し出してしまいます。演説は「仮設住宅に移られた被災者の方々の多くが、働く場の確保に次なる不安を感じておられます・・・被災者のこれからの暮らしの安心を支えます」と言いますが、失った暮らしが元通りになるということが難しいのは、暮らし、生活というものは、小さな仕組みの延長、積み上げでやっと成り立っていて、それが崩れてしまった時、どうであれ元には戻りにくいのです。演説によれば、「福島の再生なくして、日本再生なし。この切なる願いと断固たる決意を、私は何度でも繰り返します」のだそうです。何よりも困難な問題、放射能で汚れた大地を削って、きれいにすると言います。削った結果の汚染物質が福島に置かれ続けることになるのは目に見えています。そうなってしまうことを、国の原子力委員会が報告としてまとめています。「福島廃炉に30年超」「ただし、原子炉や燃料の破損状況は不明なままで今回の報告書は作られた。今後、想定外の事態はあり得る。作業完了は41年以降、いつ頃までかかるかわからない」(10月30日、朝日新聞)。「断固たる決意」も「揺るぎない」も、“わからない”事実・出来事が相手だとしたら、言葉の力も及びようがありません。というか、演説に言葉の力が欠けているのは、どうであれ事実・出来事の現場に身を置く覚悟や想像力に裏打ちされない言葉だからです。「この3次補正を実行し、『ふるさと福島で生まれ、一生を過ごす』という当たり前の人生を、若者が『夢』として語らなくてすむ未来を必ずや取り戻そうではありませんか」と、どれだけ言葉を尽くしたとしても、ふるさと福島で生まれ、一生を過ごす当たり前の人生が“夢”になった事実・出来事が、それとして了解されていないからです。もし、それを引き受け、覆す言葉(の力)があり得るとすれば、そこに身を置く覚悟と、そこで生きることへの想像力です。
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