3月11日の東北の大地震・大津波の後、中でも、東京電力福島第一原子力発電所(以下、東電福島)の事故のことを見つめてきました。この度の東北の大地震・大津波の破壊力は凄まじいものがありました。一方、原子力発電所の事故は、限られた敷地の中の、4つの原子炉の事故とは言え、厚さ1メートルの強固なコンクリートの建物を破壊し、大量の放射能を大気中・環境に放出してしまうと言う意味で、その凄まじい破壊力を見せつけることになりました。破壊力を見せつけて終わりにならないのが、原子力発電所の事故で、7ヶ月余りそれを見つめ続けることになりました。そして、気が付いたのは、少しでも目をそらすと、進行している事態がある種の“迷宮”にでも入ったかのようになってしまうことです。
東電福島の事故から7ヶ月余り、阿武隈川から海へ流れる放射能のことが話題になりました。「福島県中央部を流れる阿武隈川から海に流れ出る放射性セシウムの量が1日あたり約500億ベクレルに上ることが、京都大、筑波大、気象研究所などの合同調査で分かった」(11月25日、朝日新聞)。阿武隈川が、福島の川であることは、記憶の中に残っていました。東電福島の事故からしばらくして、郡山市にある浄化施設で、汚泥やそれを処理したスラグに大量の放射能が測定されていました。7月5日の「ふくしま集団疎開裁判」の郡山で、その施設を捜し出して、その施設の正式名称が「福島県阿武隈川水系下水処理施設」「県中浄化センター」であることを知りました。郡山市周辺、福島周辺などの下水を処理したあとの水が流される川が阿武隈川です。そして、東電福島の事故から7ヶ月余りたって、阿武隈川から海へ流される放射能が毎日500億ベクレルなのです。東電福島の事故で、大気中・環境に大量の放射性物質が放出され、阿武隈水系の郡山市周辺、福島市周辺も汚染してしまいました。東電福島の事故の後、家庭などの排水を浄化した時に、高濃度の汚泥、スラグになり、県中浄化センター敷地内に仮置きされて増え続けています。放射能で汚染された地域、中でも年間追加被曝量が1ミリシーベルトを超える地域は、国による除染の対象になりました。その放射能の除染は、各地で実施されていますが、削った土などはそのまま敷地内に仮置きされています。住宅などでは高圧水による洗浄、除染が実施されています。その時の除染水は、その地域の小、中の河川を経て、郡山市周辺、福島市周辺の場合は阿武隈川に流れ込むことになります。人為的に除染するまでもなく、降り注いだ放射能を降り注いだ雨が流して雨水となり、その地域の小、中の河川を経て、郡山市周辺、福島市周辺の場合は阿武隈川に流れ込むことになります。その阿武隈川から、東電福島の事故から7ヶ月余りたって、海に流れ込む放射性セシウムが1日500億ベクレルだと発表されています。という、解り切った事実が、今頃になって確認、発表されるところが"、東電福島の事故の事実の“迷宮”のように思えるところです。
厚生労働省は、食品に含まれる放射性物質の新たな基準の分類にあたって「粉ミルクなどの『乳児用食品』を新設する」事になりました(11月20日、朝日新聞)。「新基準では、放射性物質の影響を受けやすいとされる子どもに、より配慮する」(同前、朝日新聞)。厚生労働省の「薬事・食品衛生審議会、食品衛生分科会、放射性物質対策部会」の11月24日の議事の「資料1」の表題が「規制値に計算する際に考慮される年齢区分等」です。「1.経緯及び現状」によれば、「・・・平均的な年間食品摂取量と年齢区分別の線量換算係数を用い、介入線量に相当する食品中の放射能濃度限度値(以下、『限度値』という)を年齢区分別に算出し、厳しい限度値を全年齢に対する規制値として運用することにより、年齢配分への配慮を図ってる」。と、「厳しい限度値を全年齢に対する規制値として運用」しているのに、「2.新たな規制値における方針」で、「よりきめ細やかな年齢区分等への配慮を行う」「・『1歳未満』、『1~6歳』、『7~12歳』、『13~18歳』、『19歳以上』の5つの年齢区分に分けて評価を行う。a$『13~18歳』『19歳以上』については、男女差により摂取量に大きな違いがあるため、男女別に評価を行う」(案)が示されています。既に厳しかったのに、今頃になって「よりきめ細やかな年齢区分への配慮を行う」ことの"迷宮狽チぽさは、理由については一切言及されないからです。東電福島の事故によって、大量の放射性物質が大気中・環境に放出され、降り注いだ放射能を、食品から摂取してしまわざるを得ないことが現実となってしまった、その現実を踏まえた結果の「新たな規制値における方針(案)」なのです。ですが、理由、前提になっている事実を明示しませんから、すべては、なぜそんなことを???の薄タ宮狽ノなってしまいます。
たぶん、どこか日本以外のどこか他の国で、その国の厚生労働省(にあたる棟ネ煤jの「薬事・食品衛生審議会、食品衛生分科会、放射性物質対策部会」なる舶秤・が「規制値を計算する際に考慮する年齢区分等について」の、「新たな規制値における方針(案)」で、「よりきめ細やかな年齢区分等への配慮を行う」ことについての秤・c狽閠オているとは考えられません。すべては東電福島の重大事故が理由、前提にならざるを得ない日本の国では、乳児の健康を心配するとすれば、よりきめ細やかな放射能の配慮はさけられないのですから。
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