ヒトは、一人で生きていくことのできない生物である(「進化的人間考」長谷川眞理子)。
「ヒトは、一人で生きていくことのできない生物である」、だから情けない生物であるということではなく、数え切れない出会いに助けられて成長し、成長したとされる後も、数え切れない出会いで“豊か”と言い得る社会を作る生きものです。
お父さんやお母さんはもちろん、兄弟姉妹、そして祖父母などとの“出会い”が、“ヒト”の育ちの重要な助け手(ヘルパー)になります。こうした助け手なしに、人間は育たないのです。
日々の生活の中で出会う数え切れない自然との出会いもまた、重要な助け手になります。歩いたり耕したりする大地はもちろん、そこで営まれる生命の営みすべてが、人間の育つ重要な助け手(ヘルパー)なのです。
ずっとずっと
僕は 流れ行く雲を見上げていた
ずっとずっと
僕は 裸足で砂浜を歩いていた
ずっとずっと
僕は 僕は誰なのか考えていた
ずっとずっと
僕は どんな時もお母さんが好きだった
ずっとずっと
僕は 止まらない涙をぬぐっていた
ずっとずっと
僕は 君と話すのがうれしかった
ずっとずっと
僕は 梢でゆれる葉っぱを見ていた
ずっとずっと
僕は せみの羽化を見つめていた
ずっとずっと
僕は 目を閉じて座っていた
ずっとずっと
僕は 川の流れを聞いていた
ずっとずっと
僕は 夢の中で走っていた
ずっとずっと
僕は 流れ星を数えていた
ずっとずっと
僕は 生きるとは何かを考えていた
ずっとずっと
僕は 大好きなたんぽぽと話していた
ずっとずっと
僕は 本当のことが知りたかった
ずっとずっと
*lは 鳥たちが歌うのを聞いていた
ずっとずっと
*lは 沈んでいく太陽を見ていた
ずっとずっと
僕は お父さんのようになりたかった
ずっとずっと
僕は 僕の鼓動を数えていた
ずっとずっと
僕は 僕のことが好きだった
2012年3月
菅澤邦明
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