幼稚園で借りている畑では、トマト、ナス、ゴーヤなどが育っています。トマトは田中さんの苗で、6本のうち3本はプチトマトです(田中さんは西宮の固定種“大市ナス”のことを教えてもらっている農家)。たった6本とは言え、赤くなりはじめたトマトは3,4日分を貯めると、子どもたちも一口ずつ味わっており、大人の背丈を超えるくらい育っています。ナス・大市ナスは、幼稚園で採取した種で苗を育ててみましたが、成長はもう一つで、最近やっと勢いがついてきました。何度も“最初が肝心”ですから、どんな成長をするのか予測できません。ともかく“一緒に”頑張ってみるつもりです。ゴーヤは、教会の集会室前の昨年の“緑のカーテン”のゴーヤの種で育てていますが、成長はゆっくりで、先日設置したゴーヤネットにやっとツルが昇りはじめています。
幼稚園の畑で、今年も頑張っているのがひまわりです。タマネギの間からいっぱい芽を出して、間引いたり移植したりして、残されたひまわりが、ぐんぐん成長して(太く・高く)、子どもたちの背丈を抜き、大人の背丈もはるかに超えて育っています。およそ10年、落ちた種が翌年には芽を出して育っているのが、幼稚園の畑のひまわりです。“野生化”したのか、油断すると脇芽が出て、脇芽の更に脇芽で花がいっぱい咲きます。ただ、その分背丈も伸びなくなります。脇芽を摘んで、一本だけになったひまわりがどんどん伸びて4メートルに迫って、2,3日前からそのうちの4本が咲き始めています。
ずっと、ひまわりが好きでした。
2,3カ月で子どもたちの背丈の2,3倍に育ったひまわりと、かたわらに立つ子どもたちが、見上げた時の自分のことを、きっと心に刻み込むであろう、ひまわりのたくましさが好きです。落ちた種の、ほんの数パーセントが、自力で芽を出して、育っているのが、西宮公同幼稚園の畑のひまわりです。先日、子どもたちと一緒に、今年のひまわりを数えたところ、300本近くまで数えることができました。
タマネギの間で芽を出していたひまわりが、気がついてみたら、ひまわりの間でひまわりの葉っぱの影になってしまう頃、収穫したタマネギと幼稚園の畑のジャガイモが、月一回の“パン給食”のカレー、ポタージュになっています。肥料は油かすとケイフン、農薬は使いません。今年は、「自家製のボカシ」で育った、安全、安心野菜です。幼稚園の畑は、育っている野菜、草花も安全、安心ですが、交代で通っている、子どもたちの遊びでも、安全、安心な場所です。幼稚園の畑では、ひまわりに負けず、別に青じそもしぶとく育っています。秋には指先で“穂じそ”をしごいた実がみそ炒めになります。今、真盛りの青じそは、きゅうりやウインナーのしそ巻きとなり、子どもたちの弁当のおかずの一品に加わったりします。その青じそも、種を落とし、翌年には、畑の一角を占領するようにして一面に芽を出して育ちます。
幼稚園の畑では7,8年前から、手入れを手伝って下さっているFさんが、子どもたちの為に“落花生”を育てて下さっています。広いうね一面につるを伸ばす落花生が、黄色の花を咲かせているのに気付く子どもたちはほとんどいません。葉っぱが、うすく黄ばむ頃が落花生”の収穫の時期です。畑の端からクワを入れ、少しめくった時、細い糸のようなツルの先に一個の、“落花生”がぶら下がっている様子に、子どもたちは驚いて喜びます。「ピーナッツとは、即ち。“落花生”で、落花生というものは、咲いた花が地面に落ちて、そして土にもぐり込んで・・・こうなるから、落花生・ピーナッツである!」と“演説”するのを聞く子どもたちは、本物をそこで見て納得して喜びます。ゴザを巻き取るように掘った落花生は、そのまま幼稚園に持ち帰って、子どもたちがちぎって、ゆで落花生のおやつになります。今年も、幼稚園の畑には、Fさんの手で植えられた落花生が育ちはじめています。
雑草の間にツルが伸びているのを見つけ“きっと、とうがんだろう”と言っているうちに2かかえはあるとうがんが育ってしまうのを幼稚園の畑です。収穫し残したとうがんが芽を出してツルを伸ばすのです。幼稚園の畑の受粉してしばらくの、ひと握りくらいのとうがんの“幼毛”が、朝つゆで輝いているのを見つけた時、自然の生きものは“神の手の業”によることを確信させずにはおきませんでした。
その神の手の業を、人間が汚したり壊したりしています。
[バックナンバーを表示する]