先日亡くなった天野祐吉の「成長から成熟へ」(集英社)で、昔の中国の皇帝は、画家や陶芸家の作品の“品等”を一等二等ではなく、一品二品で格付けしたことが紹介されていました。中でも、審査のモノサシで測れない個性的ですぐれていると思われるものが「逸品」「別品」だったそうです。以下、手前みその「絶品」について。
10月に、東北・福島の人たちに、「絶品」の篠山市後川の黒豆枝豆を届けました。11月15日には、石巻市立町(たちまち)復興ふれあい商店街の人たちに、たくさんの人たちが協力した「絶品」の植木鉢とクリスマスの木を届けました。11月20日、21日には、「福島のみんなの願いにこたえて」ということで、幼稚園の庭の「絶品」のさくらの葉っぱ、後川の曹洞宗・清陰寺の「絶品」のもみじの葉っぱを届けました。11月21日には、幼稚園の庭のマキ窯でたくさんの人たちが協力して焼いた、「絶品」のパンを東北の人たちに届けました。その一つ一つ、その時々の「絶品」には、短い言葉が添えられていました。
大粒が自慢の、丹波篠山後川の黒豆枝豆を味わってください
黒豆枝豆の丹波篠山後川は、標高320m山間の集落です。
後川を東から西に流れる清流羽束川には、約800匹のオオサンショウウオの生育が確認されています。(兵庫県自然保護協会、大沼弘一さんの調査による)。後川の、もう一つの自然の生きものの自慢は、泡の中で生まれたモリアオガエル。道端で田んぼのどろんこの中で、ひょっこり出会うことができます。
黒豆枝豆の収穫が始まる後川の、10月の朝夕の寒暖の差の大きさで、さやの中の豆は、美味しさをたっぷり溜め込んで膨らんでいます。
大粒が自慢の、丹波篠山後川の黒豆枝豆を味わってください。
石巻と石巻立町復興ふれあい商店街“クリスマスの木”プロジェクトの植木鉢つくりには、子どもたちも含め、たくさんの人たちが参加しました。
福島のみんなの願いにこたえて!!
11月19日の朝に拾い集めた、さくらの落ち葉をお届けします。あいにくの夜中の雨でついてしまった砂を洗い、並べて乾かすのを、幼稚園の子どもたちも手伝いました。
ファイルしてある落ち葉(さくら・かき・つた・はなみずきなど)、そして絵本の「落葉」(平山 和子・文と絵、福音館)でも楽しんでください。
福島のみんなの願いにこたえて“もみじ”の葉っぱをお届けします。
“もみじ”の葉っぱを集めたのは、篠山市後川(しつかわ)の、曹洞宗、清陰寺の境内です。幼稚園の子どもたちは、月に一回、後川に出かけて里山の自然の中で遊んでいます。11月20日は、田んぼの中を走り、田んぼのあぜのすすきの中を歩いて、清陰寺の境内で福島のみんなに届ける“もみじ”を拾い集めました。
「福島のみんなの願いにこたえて!!」ということで、さくらの落ち葉と、もみじの落ち葉を拾い集めて届けました。
さくらは、パンを焼く窯を覆うようにして咲いて、紅葉した落ち葉です。もみじは、先日お届けした黒豆枝豆の、篠山市後川(しつかわ)の、曹洞宗・清陰寺の境内で、子どもたちが拾い集めました。
パン釜の薪は、白樫の直径15~20cmの丸太です。チェーンソーで切った薪を積み上げる時、コチンコチンと音がする堅い薪です。そんなに太い薪が、そのままマキ釜でボウボウと燃えています。煙突からは煙も見えないくらい、完全燃焼してしまいます。
フエルトのパンと、フエルトに“aptos”と刺繍したワッペンは、名誉ある“パン焼き隊”のしるしです。
7月から、パンは篠山市後川の水でこねています。地下水を汲み上げた簡易水道の水は薬剤処理は最低限で、天然水と変わらない美味しい水です。
次回にパンをお届けするのは、12月5日になる予定です。
お届けしたパンの累計は、11月21日の48個を足して4986個プラス1000個です(1000個は2011年6月8日に東電作業員の皆さんにお届けしました)。
同じ「成長から成熟へ」で天野祐吉は、パトリック・ヴィブレの言葉に触れて、言葉(この場合は広告)が約束できるものと、約束できないものについて言及しています。言葉(広告)が「つかの間の満足と安堵のあとには、失望といらだちが再びやってくる」ことを超えることができるか、どうかについてです。東北・福島の子どもたちに、落ち葉を届けました。それが、間違いなく「いらだちを倍増させるだけ」だろうことが、問題の核心であることは決して忘れないつもりです。
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