阪急西宮北口の北西方面の街づくりに取り組む、「にしきた街づくり協議会」の働きが始まった時、当時の西宮市都市局長森田順さんが、街づくり及び街づくり協議会の進め方を助言する為、最初の集まりに参加しました。その時の森田順さんの助言で、ずっと「にしきた街づくり協議会」の街づくりの原点になった言葉が「…街づくりは哲学が大切なんだ!」でした。
今、たくさんの人が集まる、どこの、どんな町であっても、多くの場合、人は出会ってもすれ違うだけで、お互いに関心を持ち合うことはありません。森田順さんの「街づくりは哲学が大切なんだ!」は、そんな街のありようを、少し変えて行く街づくりの提案であり、助言でした。「街づくりは哲学が大切なんだ!」は、「にしきた街づくり協議会」が、街づくりに取り組む時、繰り返し、繰り返し街というものを考える原点になりました。
①すれ違うだけではなく、人が出会って関心を持ち合う街である為に、記憶を大切にする。さり気なく公園の片隅に咲く花が、心に残るものであるという意味で、花を選ぶことを大切にするなど。
②協議会は、考え方や意見が違う人たちが集まって、時間をかけても「話し合う」ことを大切にし、意見を交じり合わせる関係を続ける。
この①、②を基本に、繰り返し繰り返し、森田順さんによれば「哲学」に立ち返り、時間をかけても、あきらめないで、合意点を見つけて6年間歩んできたのが「にしきた街づくり協議会」です。実現しないこともたくさんありましたが、(多くは行政の壁!)、人が生きて、人が生活する、人の街をつくる「哲学」が支えで、たとえば「にしきた街づくり協議会」に集まった人たちは、この街での大切な仲間になりました。
そんな街の、街づくり協議会の「行政の壁!」ではない西宮であって欲しい願いを、市長に直接届けてきました。
お願い
西宮市長 河野昌弘 様
近年、西宮市は、居住、住居を選ぶにあたって阪神間で随一と言われるようになりました。阪急西宮北口駅を中心とした地域、中でも、高木、広田地区での居住、住宅を求める人たちが増えていると言われます。一方で、北口駅周辺は、たくさんの学習塾に通う子どもたちの場所になっています。
こうした状況の中で、地域におけるひずみ、格差が顕著になっている事実は、当然西宮市、西宮市長として、ご承知のことと思います。西宮北口周辺への居住、住宅を求める人たちの多くは、高木、広田地区(小学校校区)となっている事実です。これは、自然の成り行きでは決してなく、西宮市がずっと抱えてきている歴史的な問題をそのまま反映していることは、西宮市、西宮市長としても、もちろんご承知の事柄であるはずです。西宮北口周辺で、たった1 キロメートルの距離にある小学校の一方では教室が足りなくて、他方では教室が余っている事実は、西宮市がずっと抱えてきている歴史的な問題であり、かつ課題であることは、もちろんご承知のはずです。
ひずみや格差が更に広がるようなことは、あってはならないことであり、その対策を、西宮市としての最重要課題の一つになることを切に願ってやみません。
以下、市民として、地域間の交流、融和の実現のために、いくつかのお願いを挙げさせていただきます。
1.小・中・高等学校の、公私、地域間の交流(スポーツなどに留まらず、学習指導など幅広い、生徒、教師、保護者、学校間の交流を促す)。
2.学習塾などの働きを学び、公立小・中・高等学校などにおいて、学習効果を高めるのに役立てるなど、課外特別授業などの体制を市として積極的に支援する。特別の学習機会を、特別の子どもたちだけが受けるのではなく、より豊かな学習の機会を西宮市内の子どもたちが、平等、公平に受けられるようにする。
3.地域間のひずみ格差をなくし、誰もが、西宮市内のどこであっても、居住、住宅を求められるための市民間、地域間の交流、相互理解の為の具体的な施策に取り組む。
4.市民間、地域間の交流、相互理解の為の具体的な施策の一つとして、地域や、地域を超えた市民による“まちづくり協議会”の設立を促し、かつ、その働きを支援する。
①まちづくり協議会の基本理念を、西宮市及び、地域毎に確立することと、市民の参加交流を促す。
②まちづくり協議会への市民の参加交流を促すためのまちづくりアドバイザーによる学習と、その派遣を西宮市が積極的に支援する。
③まちづくり協議会の働きを活発にするための手厚い財政支援を行う。
西宮市が本当の意味で、そして名実共に、居住、住居を選ぶにあたって、阪神間で随一であるためには、格差やひずみの固定化、拡大は、あってはならないことであるのはもちろんです。中でも、子どもたちが生きて、生活する街である為には、あらゆる手を尽くして、格差やひずみをなくし、安心して生活し学習できる、まちづくりは緊急の課題です。
西宮を、生きて生活する場所として選んだ、一人の市民としての願いを述べさせていただきました。
2014年2月12日
菅澤邦明
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