飯舘の3つの小学校の子どもたちの、組み木の授業と
組み木作りプロジェクトにご協力をお願いしています
全村避難となっている飯舘村では、村の3つの小学校(飯樋、臼石、草野)も、川俣町の仮設校舎で授業などが行われています。昨年、3つの小学校の生徒、そしてご家族には「タマネギ・プロジェクト」で、淡路島の勢造さんののタマネギ、「黒豆枝豆プロジェクト」では、篠山市後川の黒豆枝豆を届けることが出来ました。
この度、組み木のおもちゃのデザイナー・作家の小黒三郎さんからの申し出があり、飯舘村の3つの小学校の5~6年生に、組み木の授業と組み木作りに取り組んでもらうことになりました。電動糸のこを使って、誰でも手作りで出来てしまう木のおもちゃとして、小黒三郎さんの組み木は、たくさんの子どもたちの身近なおもちゃになってきました。
自然の木のデザインと表情のぬくもりで、たくさんの子どもたちを魅了し、遊びの世界の仲間になってきたのも、小黒三郎さんの組み木のおもちゃです。
その組み木が、授業で、そして手作りでより一層身近となって飯舘の子どもたちの仲間になってほしい願いで実現する、組み木の授業と組み木造りの体験です。
日時:6月17日、18日
場所:福島県川俣町飯坂字上中居30-2
組み木指導:小黒三郎(組み木のデザイナー・作家)
協力:ききるんの会、NPO法人人と人および人と自然をつなぐ企画、
西宮公同教会 地域共同・共生支援事業
2014年6月10日
被災者生活支援長田センター
兵庫県南部大地震ボランティアセンター
尚、このプロジェクトの為の献金をお願いしています。
小黒 三郎 様
飯舘の小学生たちの組み木の授業、組み木作り、ご苦労様でした。4回に渡る授業と組み木作り、先生たちの組み木作りに、淡々と付き合う小黒さんの姿が、たぶん、子どもたちや先生たちのデザインや電動糸のこに向かう真摯さにつながっていたように思えます。いずれにせよ、小黒さんの組み木を目の当たりにした時の子どもたちの食い入るような、そして何よりも驚きと嬉しさが一体になった眼差しは、その事のすべてが子どもたちの心に刻まれる一つの出来事であったように思えます。
本来の、そして本当の意味で、飯舘の子どもたち、福島を中心とする数えきれない子どもたちが、東電福島の事故の影響を受けて生きています。放射能が、その毒はもちろんの事ですが、計り知れなく広く、深く、子どもたちの生活を蝕んでいることです。仮設の飯舘小学校の近くにある、川俣町の普通に生活する子どもたちも、間違いなく、放射能の影響を受けて生きています。何気なく、取り留めもなく行き来する通学路は、当たり前のように、線量計0.4μSv/h前後を記録してしまいます。当り前ではないのです。
数十年間、子どもたちと生活する仕事をしてきました。多くのことは、特別の配慮や心配をするまでもなく、普通に実現出来てしまうことでした。その多くは、子どもたちを、街を、公園を、野山を自由に歩き回ることでした。そんな生活から、子どもたちのことで、語るに足ることがいっぱい生まれてきました。それを、ただ当り前としてではなく、その都度、繰り返し感謝することも忘れなかったつもりです。
飯舘の、川俣の、福島の子どもたちにとって、そのすべてが当たり前ではなくなってしまいました。“いや、心配はいらない、安全だ”と、言われ続けています。しかし、起こってしまった事故の目に見えない恐れは、そうして保証されるどんな言葉も確信になりませんでした。全く逆に、不安、心配は、子どもたちと生きる親にとって、何一つ払拭できないのです。
小黒さんの組み木の授業、組み木作りで実現することになった、飯舘の子どもたちとの2日間は、東電福島の事故の後を生きる人たちとの生活を通しての、新たな出会いにもなりました。川俣町、福島市の飯舘の子どもたちの、幼、小、中学校での生活はとても過酷です。何よりも、そんな子どもたちにとって、過酷であるのは、生活の現場が仮で、幼、小、中学の生活の現場も仮であることです。子どもの時代のあるべき姿は、どこまでも真っ直ぐに、広く深く極めることにあります。“我を忘れ”て過ごす時間です。家族にいっぱい心配をかけ、家族に精一杯叱られたりしても、それでも、遊びの惚ける時間は、子どもの時代にしかあり得ない時間です。そんな時の子ども時代の、子どもの時間を約束し、そして取り囲んでいるのが、身近な自然です。小川が流れていて、田んぼや畑がある里山であっても、街の公園や広場であっても、身近な自然が、子どもの時代の子どもの時間です。たとえば、飯舘の子どもたちの場合に、奪われてしまっているのが、そんな時間であり、そんな場所であるように思えました。
小黒さんと、小黒さんの組み木に出会った時の子どもたちの笑顔と目の輝きは、それがいい人と、いいものの出会いであれば、どんな時も変わらないはずです。だからこそ、子どもの時代の子どものありふれた日常は、奪ってはならないし、それを守ること、約束することは寄り添うはずの大人たちに何よりも求められることであるはずです。
飯舘の子どもたちとの2日間を、中心になって担って頂いたことに、心より感謝いたします。少なからず、厳しい日程にもかかわらず、時間を割いていただいたことに、改めて感謝いたします。ありがとうございました。
2014年6月19日
菅澤邦明
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