69年前、日本の戦争に対する、米英中ソの首脳による1945年7月26日の最後通牒がポツダム宣言です。それは、無条件降伏で戦争の終結を求める、13項目からなる宣言でした。
(1)われわれ、米合衆国大統領、中華民国主席及び英国本国政府首相は、われわれ数億の民を代表して協議し、この戦争終結の機会を日本に与えるものとすることで意見の一致を見た。
(2)米国、英帝国及び中国の陸海空軍は、西方から陸軍及び航空編隊による数層倍の増強を受けて巨大となっており、日本に対して最後の一撃を加える体制が整っている。(poised to strike the final blows)
(3)世界の自由なる人民が立ち上がった力に対するドイツの無益かつ無意味な抵抗の結果は、日本の人民に対しては、極めて明晰な実例として前もって示されている。現在日本に向かって集中しつつある力は、ナチスの抵抗に対して用いられた力、すなわち全ドイツ人民の生活、産業、国土を灰燼に帰せしめるに必要だった力に較べてはかりしれぬほどに大きい。われわれの決意に支えられたわれわれの軍事力を全て用いれば、不可避的かつ完全に日本の軍事力を破滅させ、そしてそれは不可避的に日本の国土の徹底的な荒廃を招来することになる。
(4)日本帝国を破滅の淵に引きずりこむ非知性的な計略を持ちかつ身勝手な軍国主義的助言者に支配される状態を続けるか、あるいは日本が道理の道に従って歩むのか、その決断の時はもう来ている。
(5)これより以下はわれわれの条件である。条件からの逸脱はないものする。代替条件はないものする。遅延は一切認めないものとする。
(6)日本の人民を欺きかつ誤らせ世界征服に赴かせた、全ての時期における影響勢力及び権威・権力は排除されなければならない。従ってわれわれは、世界から無責任な軍国主義が駆逐されるまでは、平和、安全、正義の新秩序は実現不可能であると主張するものである。
(7)そのような新秩序が確立せらるまで、また日本における好戦勢力が壊滅したと明確に証明できるまで、連合国軍が指定する日本領土内の諸地点は、当初の基本的目的の達成を担保するため、連合国軍がこれを占領するものとする。
(8)カイロ宣言の条項は履行さるべきものとし、日本の主権は本州、北海道、九州、四国及びわれわれの決定する周辺小諸島に限定するものとする。
(9)日本の軍隊は、完全な武装解除後、平和で生産的な生活を営む機会と共に帰還を許されるものとする。
(10)われわれは、日本を人種として奴隷化するつもりもなければ国民として絶滅させるつもりもない。しかし、われわれの捕虜を虐待したものを含めて、すべての戦争犯罪人に対しては断固たる正義を付与するものである。日本政府は、日本の人民の間に民主主義的風潮を強化しあるいは復活するにあたって障害となるものはこれを排除するものとする。言論、宗教、思想の自由及び基本的人権の尊重はこれを確立するものとする。
(11)日本はその産業の維持を許されるものとする。そして経済を持続するものとし、もって戦争賠償の取り立てにあつべきものとする。この目的のため、その支配とは区別する原材料の入手はこれを許される。世界貿易取引関係への日本の事実上の参加はこれを許すものとする。
(12)連合国占領軍は、その目的達成後そして日本人民の自由なる意志に従って、平和的傾向を帯びかつ責任ある政府が樹立されるに置いては、直ちに日本より撤退するものとする。
(13)われわれは日本政府に対し日本軍隊の無条件降伏の宣言を要求し、かつそのような行動が誠意を持ってなされる適切かつ十二分な保証を提出するように要求する。もししからざれば日本は即座にかつ徹底して撃滅される。
(ポツダム宣言英文原文以外 “公式”の日本文は “外務省仮訳”しか存在しない。上記は哲野イサク氏による私訳)。
ポツダム宣言発表後、広島・長崎の原爆投下を含め戦闘が20日間続き、8月14日に出されるのが天皇の“詔勅”で、その冒頭部分には「眹は帝国政府ヲシテ米英支蘇四国ニ対シ其ノ共同宣言(ポツダム宣言)ヲ受諾スル旨通告セシメタリ」と書かれています。
無条件降伏を求めるポツダム宣言をこうして「受諾」したのだとすれば、戦争終結の後の日本は、13項目の宣言及びその内容を遵守することで始まるよりありませんでした。そうして日本が戦争に敗北した事実と、ポツダム宣言を無条件で受諾した事実は、世界の歴史の中で厳然とした事実として今も生きています。
しかし、たとえばポツダム宣言の「(12)連合国占領軍は、その目的達成後そして日本人民の自由なる意志に従って、平和的傾向を帯びかつ責任ある政府が樹立されるに置いては、直ちに日本より撤退するものとする」は、米国と「責任ある政府の樹立」したはずの日本によって、完全に被られてしまいました。1951年のサンフランシスコ講和条約とほぼ同時に発効した日米安保条約は、日本における米軍の無条件かつ無制限の駐留を認めるからです。ポツダム宣言の主旨に照らせば、それは米軍による日本の占領状態の継続を意味します。日本中に展開される米軍基地、中でも沖縄の米軍基地こそが米国、米軍による今も続く占領のまぎれもない事実です。(この項、続く)
[バックナンバーを表示する]