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2014年05月02週
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4月28日発売の漫画の副タイトル「福島の真実篇」その22の中で、福島第一原発を訪れた主人公たちが原因不明の鼻血を出すという描写が賛否の論争を巻き起こしています。作者はすでに23、24を作画中で、反論は最後の回が出るまで持ち越すと自身のブログでコメントしています。しかも「もっとはっきりしたことを言っているので、鼻血ごときで騒いでいる人たちは、発狂するかもしれない。」(5月4日付)と加えています。それに対し双葉町は「復興を進める福島県全体にとって許しがたい風評被害を生じさせているほか、双葉町民のみならず福島県民への差別を助長させることになると強く危惧しております。」という内容の抗議文を発行元の小学館に5月7日付で送付しています。事前に取材が全くなかったし、誤解を招きかねない内容で看過できないとのことです。一方小学館は、「この問題について、自治体や有識者など、様々な方から意見を聞き、5月19日で特集を掲載し、その中で編集部としての考え方を表明する」と言っています。さらに追い打ちをかけたのが石原環境相がこの漫画に言及して不快感を示したとされ、この漫画にも登場してくる井戸川前双葉町長も石原環境相に「他人が当事者の体調をうんぬん言えるのか」と反論しています。
 福島では多くの人が鼻血を起こしているということの真偽はとりあえず置いて、不確かな危険と向き合わざるを得ない状況に追い込まれたことは事実です。見えない、におわない、感じない危険と隣り合わせにさせられていて、そしてそこには情報の大切さを感じながらも(真実を明かせと言いつつも)、知らないで済むなら知らないでいたいという思いもどこかにあることをいいことに、東電も国も行政もすべてを明らかにしていません。福島ではほとんど表立っては「日常」を営んでいるように見えます。そのように装わざるを得ないので、見えないところで小さな声を出している方々が潜在的におられるのも事実です。不確かな危険性に蓋をすることで復興をアピールしている国や県の姿勢に、声を出すこと自体が悪いかのようにしてしまう空気を作ってしまっています。
 たとえば福島県の伊達市では、2巡目となる1歳以上の全市民を対象にしたホールボディーカウンターによる内部被ばく検査が実施されました(1回目は2012年7月から。2回目は2013年7月から)。その内容を5月7日付で公表したのですが、受験者2万9020人の内、1ミリシーベルトを超える人はいなかったと発表しています。しかし受験率は対象市民の半数以上が検査を受けていません。小中学校は学校ごとに受験するために95%となっていますが、未就学児は50.5%、19歳以上は41.5%となっています。
また、伊達市全市民対象の年間推計被ばく線量検査(1回目は2012年7月から。2回目は2013年7月から)では、比較的放射線量の高い地域(Aエリア)が前回と比べて最大33.1%減少したと公表しました。Aエリアに隣接する地域(Bエリア)、比較的線量の低い地域(Cエリア)でバッジ式積算線量計を使用しています。ここで出てくるのはあくまでも平均であって、Aエリアは33%減少したとはいえ、それでも「平均」で1.066ミリシーベルト(前回から0.527ミリシーベルト減)、Bエリアが0.844ミリシーベルト(前回から0.323ミリシーベルト減)、Cエリアが0.530ミリシーベルト(前回から0.182ミリシーベルト減)を伊達市の市長は「除染による効果と自然減が結果に表れた」と記者会見で7日に話していました。あくまでも平均であって、しかも受験率が非常に低下している中でのこの数値の発表には疑問が残ります。伊達市では除染後の校庭への土を入れ替える作業は年に1回長期の休みに順番に行われ続けています。
 飯舘村の3小学校(飯樋、臼石、草野)合同仮設校舎のある川俣町では、仮設校舎から車で5分もかからない緩やかな坂道をあがったところに第2仮置き場が設置されています。校庭の隅に置かれているモニタリングポストの数値は低いものになっているかのように見えますが、校庭周辺の場所には高い数値を示す箇所があります。その飯舘村は南相馬市に避難者が多くなっているので、仮役場のある福島市飯野町で会合を行うというよりも、大きな会合の時には南相馬市に出かけることになります。福島市飯野町が飯舘村の避難地として、また仮役場所在地として定められた理由の大きなものは、すぐ近くに福島医大があることと無関係とは思えません。しかしながらそのことは公然の秘密のようにして誰も話しません。
 検査の数値が低くなったから、風評被害を招くから過剰な表現を止めるようにという国や県、行政の姿勢によって隠されていることがらのなんと多いことか。そして声を上げることに対して後ろめたい気にさせていく風潮を作っていくのか。真実を公表してほしいと東電に訴える首長たちもまた、自分たちの自治体に住民を戻すために真実を公表することなく政府の戻ろう政策に乗っているとしか思えません。そんな大人たちの思惑に子どもたちや社会的弱者が犠牲になっていいはずがありません。決して大騒ぎして過剰に反応しているわけではなく、好きで避難しているわけでも、逆に放射線量の高いところに住み続けているわけでもありません。ガラスバッジを胸からぶら下げて生活している子どもたちの姿は、やはり「日常」とは大きくかけ離れています。被害者が誰で加害者が誰なのかを明確にしたとき、なぜ被害者が抑圧された生活を強いられているのかが問われて続けているのが、東電福島原発事故から4年目を迎えた福島の現実があるといえます。
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