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2015年12月01週
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 クリスマスとクリスマスの物語は、聖書に描かれるイエスの誕生をめぐる記述に由来します。
 力あるかたが、わたしに大きな事をしてくださったからです。
 そのみ名はきよく、そのあわれみは、代々限りなく
 主をかしこみ恐れる者に及びます。
 主はみ腕をもって力をふるい、
 心のおごり高ぶる者を追い散らし、権力ある者を王座から引きおろし、
 卑しい者を引き上げ、飢えている者を良いもので飽かせ、
 富んでいるものを空腹のまま帰らせなさいます。
(ルカによる福音書 1章49~53節)
 幼な子よ、あなたは、いと高き者の預言者と呼ばれるであろう。
 主のみまえに先立って行き、その道を備え、
罪のゆるしによる救をその民にしらせるのである。
(同前、1章76、77節)
 暗黒と死の陰とに住む者を照し、
 わたしたちの足を平和の道へ導くであろう。
(同前、1章79節)
 こうして記述される「幼な子」の物語の展開の最後で、イエスは十字架で処刑されることになります。十字架の処刑はほぼ史実として認められていますが、誕生物語が、いわゆる史実であると考えにくいのは、処刑された、言わば無名の個人の誕生や幼児期のことが、記録に残されることは考えにくいからです。しかし、物語を書き残すことにした人たちの意図は少なからず読み取ることは可能です。その場合のかぎになるのが、イエスが生きた社会で有無をいわせない力で支配するローマの政治権力を「…権力ある者を王座から引きおろし」「卑しい者を引き上げ、飢えている者を良いもので飽かせ、富んでいる者を空腹のまま帰らせなさいます」などと言い切っているところです。
 これら、聖書の記述を根拠に、イエスについて解りやすく定義しているのが、ジョン・ドミニク・クロッサンです。「皇帝かイエスか。帝国の繁栄か宗教の貧困か、上から他人を押さえつけ束縛することか、下から他人を支え解放することか」(「イエスとは誰か/史的イエスに関する疑問に答える」新教出版社)。
 そうしたイエスの誕生の物語の、クリスマスを祝う時、子どもたちによって長く広く共有される中心の役割を担ってきたのがサンタクロースです。
 「皇帝かイエスか。帝国の繁栄か宗教の貧困か、上から他人を押さえつけて束縛することか、下から他人を支え解放することか」が、子どもたちの世界に及ぶとしたら、文句なしに子どもたちが喜ぶ世界です。子どもたちが喜ぶ、子どもたちを喜ばせる世界のこととして、クレメント・C・ムーアの物語詩「セントニコラウスの訪れ」が書かれたのは、1822年前後のことだったと言われます。80年後の1902年、ムーアの詩物語がウィリアム・W・デンスローによって、絵本「クリスマスの前のばん」というセントニコラウス=サンタクロースの物語となりました。クリスマスのまえのばん、子どもたちは「ねがいを こめて」くつしたをかけ、そのねがいが「ゆめの なかで」躍動します。どんな時にも、夢があり、願うに足る明日のあるのが子どもたちです。「ねがう」限り、物語が生まれ、物語は別の物語につながり、明日になるのです。
 「クリスマス人形のねがい」(ルーマー・ゴッデン文、バーバラ・クーニー絵、掛川恭子訳、岩波書店)のホリーは「もしわたしが、ねがいごとをしなかったらどうなっていたかしら」といいます。ホリーはねがいことをします。ホリーの、ねがいごとは物語になり、その物語は別の物語につながり、絵本「クリスマス人形のねがい」になりました。物語はクリスマスの前の日の、ある小さないなか町にあるおもちゃの店から始まります。店で客を待つおもちゃは、おもちゃとは言え、それぞれに生きた個性を持った存在として描かれます。子どもたちの物語であるからこそ、生きた個性を持った存在として描くことを、作者のルーマー・ゴッデンは大切にするのです。「ゴッデンの特徴はなんといっても、ストーリーテリングのうまさにあります。ゴッデン自身も、子どもが求めているのはストーリーであって、そのストーリーを簡潔なことばで語り、しかも子どもがこれまで受け継いできたことばをより豊かにするために貢献するのが、作者の役目だと言っています                 
(訳者あとがき)。
 ルース・ソーヤーの文に、同じバーバラ・クーニーの絵の絵本が、「とってもふしぎなクリスマス」です。「おはなしおばさん」でもある、ルース・ソーヤーの絵本の主人公の子どもたちの名前は、フリッツル、フランツル、ハンスル、料理名人のお父さんの料理は「シュニッツル、シュノッツル、シュヌーツル」の声掛けがどんな料理もごちそうにしてしまいます。物語の中の言葉が、家族のつながりを、確実に豊かにするのです。
 紹介した2冊の絵本とは別に、バーバラ・クーニーが絵を描いたもう一冊の絵本が「おもいでのクリスマスツリー」(グロリア・ヒューストン ぶん、よしだしんいち 訳、ほるぷ出版)です。バーバラ・クーニーは、およそ200年前に北米(アメリカ)に移民した人たちの決して豊かではない生活を手抜きせずに生活の細部に目を注いで描きました。厳しい自然と貧困の中に生きる人たちでしたが、ただ打ちひしがれてはいないことも伝えます。生きた生活がそこにある限り、必ず今日は明日につながるのです。それは子どもたちに読んで手渡す絵本が決して外してはならない要点なのです。
 原題の「THE YEAR OF PERFECT CHRISTMAS TREE」を、訳者(吉田新一)は「おもいでのクリスマスツリー」としました。厳しい自然と貧困、そして戦争が、その年のクリスマスとその準備を難しくしました。しかし、中でも子どもたちにとってクリスマスが明日への希望である時、戦争でお父さんが不在の娘(ルーシー)とお母さんは、希望の糸をつむぐことを忘れませんでした。
 そんなことが可能になった、もう一つの力は、厳しい貧困の中で生きるこの家族の生活の一つ一つの成り立ちが、たぶん「手作り」であったからです。明日への希望が、突然湧いて出る訳ではありません。3人が生活する世界の「手作り」の一場面が、バーバラ・クーニーによって描かれています。木造の家の屋根は、一枚一枚切って削った板でふかれています。家を囲む棚も木製です。軒下にはマキが積まれていて、煙を抜く石組みの煙突が壁にそって屋根にまでのびています。お父さんが戦争に行ってしまい、残された娘とお母さんの部屋の暖炉では外にあったマキが赤々と燃えています。
 この「おもいでのクリスマスツリー」が、形ばかりのクリスマスで終わらないで「おもいで」になり得るのは、クリスマスの本当の喜びの歌が、集まった村じゅうの人たちによって歌われたからです。「村じゅうの人たちが、教会の入口にあつまってきました。そのときだれかが、『きよしこの夜、星はひかり』とうたいはじめました。すると、村じゅうの人が、いっせいにそれをうたいはじめました」。

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