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2016年04月02週
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佐藤 英和 様

「絵本に魅せられて」を丁寧に読ませていただいたつもりの「感想文」です。たまたま読んでいた「ろう学校の窓から―うつくしく生きた人たち」(文理閣)、「手話を生きる」(みすず書房)で、「ことばの力」が「生きていく力」であり、それを奪われることが、どんなに無残なことであるかを深く考えさせられていましたので、「絵本に魅せられて」は、一層説得力がある一冊として読めました。ありがとうございます。



「絵本に魅せられて」のこと

創作絵本の出版社「こぐま社」を創設して50年、創設者であり編集者である佐藤英和さんの、優れた絵本やその読者である幼児についての、講演や対話などからまとめられたのが「絵本に魅せられて」(こぐま社、2016年3月)です。
佐藤英和さんの絵本の仕事は、「絵本に魅せられて」冒頭、「初期のカタログ巻頭 『“こぐま”のねがい』」のに示される、「すぐれた絵本には〈生命〉があります」「すぐれた絵本には〈力〉があります」「すぐれた絵本は、子どもたちの〈たからもの〉です」を、忍耐力で実現した歩みとして読むことが出来ます。
大人のことばの世界は、多くは文字によって成り立っています。子どもたちもことばの世界で、かなり早い頃から文字に興味を持ったり、文字が読めるようになったりもします。しかし、それでは「文字が読めない間の子どもたちのことばの素晴らしさ」を素通りしてしまうことになります。文字が読めない時の子どもたちは、読んで貰ったり歌ったりすることで、ことばの世界をどんどん広げていきます。その時に欠くことの出来ない力を発揮するのが、「すぐれた絵本」であり、その「生命」「力」です。すぐれた絵本を、子どもたちが「何度も何度も読んで貰う」うちに、子どもたちも「何度も何度も読んでもらうことを」求めるのですが、その時に育っているのが「ことばの力」です。佐藤英和さんによれば、その時の絵本の「ことばの力」はそのまま「その子の『生きていく力』を育てている」のです。当然、その絵本は「すぐれた絵本」でなくてはなりません。(幼児期に「ことばの力」を得られなかった「ろう者」が、「生きていく力」も奪われざるを得なかったことを、最近手にした「ろう者」についての2冊で、深く考えさせられています。「ろう学校の窓から」「手話を生きる」)。
佐藤英和さんは「こぐま社」の編集者として、そのことに惜しむことなく力を注いできました。その一つが共感する西巻茅子さんとの絵本作りです。「私は、20数年、子どもの本を作り続けてきて、やっと今このことに深く思い至っている。幼い子にとって、喜び、悲しみ、怒り、そして何よりも自分を受け入れくれる大きな世界の存在を感じとることの意味は大きい。それは、母親や身近な人たちとの交流から受けとるべきものであることは言うまでもないが、その他に子どもを取り巻く環境の中に、私の絵本が入っているのであれば、やはり心を込めて、魂をこめて、作らなければと思うのである。本当に幼い子どもと共感しあえる世界を、絵本の中に作ろうとすれば、太古から人が持ち続けてきた素朴な感情と、率直な人間観を私自身が持ち続けている以外ないだろうと思う」(西巻茅子、「絵本に魅せられて」より)。
こうして引用されている、西巻茅子の子どもと絵本についての理解は、「11ぴきのねこ」などの馬場のぼる、「こぐまちゃんのえほん」などのわかやまけんなどの場合にも共通します。「11ぴきのねこ」は「決して子どもだましを考えませんでした。『子どもだって人間なんだ。一人前ではないけれでもちゃんと人間としての素質は全部持っている』ということをきちんと知って」絵本になり、「こぐまちゃんのえほん」も「私たちは、子どもたちが一日の間にすることを考えに考えて、絵ということばで描き、それを美しいことばで飾り」、子どもたちに届けられた絵本です。
佐藤英和さんの絵本の仕事は、単独の仕事ではなく、戦争に負けた国の子どもたちに、それを届ける道を切り開いた、福音館の松居直、至光社の武市八十雄などと共感し、尊重し合うことで成り立っています。それが「すぐれた絵本」の仕事である限り、どこまでも、謙虚なのです。これは、「絵本に魅せられて」の中の、福原義春(資生堂)松岡享子(東京子ども図書館)などの対談でも、お互いにそれを尊重する人間として貫かれています。
佐藤英和さんのもう一つの大きな働きが、エドワード・アーディゾーニへの強い関心と紹介です。たとえば、「チムとゆうかんなせんちょうさん」の「完全復刻版」を世界で始めて出版しますが、作者のエドワード・アーディゾーニの魂のこもった仕事に共感したことが何よりの動機です。エリナー・ファージョンの「マローンおばさん」(こぐま社)は、すべて生きとし生きるものに必ずそのものの「居場所があること」を詩とアーディゾーニの絵で描き出しています。
今、たとえば、子どものお母さんやお父さんとしての一歩を踏み出す人たちに勧めたいのは、佐藤英和さんの「絵本に魅せられて」を、子育ての「手引き」の一冊にして欲しいことです。ここには、幼い子どもに対する理解、子どもと親が何によってつながるかについてなどが、生きた言葉で綴られています。その場合の、更に具体的な手掛かりになるのが、佐藤英和さんが編集し、子どもたちの世界に送り出した「すぐれた絵本」たちです。佐藤英和さんの「絵本に魅せられて」と、編集したすべての絵本は、お母さんやお父さんが、子育てで悩み、少なからず迷った時に、必ず子どもたちと一歩前に踏み出す力になります。
以上のことは、たとえば、子どもたちとの仕事の一歩を踏み出す保育者の場合にも、そのまま当てはまります。

2016年3月31日
菅澤 邦明
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