2015年の幼稚園の子どもたちの誕生日のプレゼントの、たこ・はくちょう・ぶたの3つの動物がおさまったドームの「組み木」130セットを切り終え、今度は2016年度プレゼントの「組み木」を切り始めています。くじら・うさぎ・はくちょうです。元のデザインはききるんの会OB会員です。デザイン2種を小黒三郎さんのところに届けたのは、子どもたちに手渡す4月の誕生日会の1週間前でした。1週間経って、小黒三郎さんが手を入れたデザインが戻ってきて、くじら・うさぎ・はくちょうのおさまったドームを、4月に誕生日を迎えた11人に手渡すことができました。
ここ数年、ききるんの会の人たちのデザインを小黒さんに届け、手を入れてもらっています。“あの”小黒三郎さんの手をわずらわせ、そのデザインの組み木を切らせてもらうのも、更にそれを幼稚園の子どもに手渡せてもらうのも、あり得ない特別のことです。
小黒三郎さんの組み木の驚きと魅力は、単純化された動物たちが、それぞれの生きた個性で躍動していることです。そして、ドリルで空けられたにすぎない穴なのに、その目は、動物たちがそれぞれに生きて物語り始めるのです。動物たちとの生きた出会いが生きたデザインになって、生きた作品が物語ることになるのだと思います。
2016年の3種類の動物たちを、ドームの中に最初に描き出した金澤圭子さんも四苦八苦しました。それを、ほぼいきなり届けられた時の小黒さんは、「またか!」「しょうがない」と思われて、でも「いい人」の心が動いて、1週間「苦労して」完成したデザインを届けていただくことになりました。
別に、もう一種類のデザインの仕上げもお願いしていました。2013年に、西宮北口・北西地区の、にしきた街づくり協議会が「にしきた」のマスコットのデザインを公募して誕生したのがゆっくりくんでしたが、その2016年のデザインです。
ゆっくりくんを製作・販売し、一部は街づくり協議会の活動資金になりました。その後、ゆっくりくんは2014年はなまず、2015年はこいになって、西宮公同教会の誕生日の人たちのプレゼントになったりしてきました。いずれも、教会・幼稚園の前を流れる津門川で見かける生きものたちです。2016年は、それがかもになりましたが、やはり、津門川で泳ぎ回っているのを見かける生きものです。
「ゆっくりくんの試作を送ります。垂直に立つでしょうか。今回の『ゆっくりくん』とドームシリーズ2点は、どのようにバランスをとるか(ゆっくりくん)どうしたらちぢこまった首を長く見せるか(ゆっくりくん)、苦労しました。ゆっくりくんは図面を正確に切り抜かないと、どちらかに傾くでしょう。ドームの2点も、下部のすきまをいかに少なくするか苦労しました。2日かけてなんとか仕上げました。2016.4.22」。小黒さんからは、23日に訂正の図面、そして24日に最終図面が届きました。「下図が最終図面です。これから郵送します。2016.4.24」。そして、届けていただいた「図面」のくじら・うさぎ・はくちょうがドームにおさまって子どもたちに手渡されることになりました。「ゆっくりくん」の方は、少し遅れていますが、ぼちぼち教会の皆さんにお届けすることになります。
2016年6月6、7日に、福島県飯館村から隣りの川俣町に避難し仮設の校舎で授業をしている、臼石、飯樋(いいとい)、草野の3つの小学校5年生の組み木の図工の授業を小黒さんに出向いていただいて実施します。2014、2015年にも実施していますから3年目です。昨年は兵庫県の復興サポート支援事業の補助金もあって実施しましたが、2016年も支援を受けられることが先日決まりました。4月24日、25日には打ち合わせの為、川俣町の仮設校舎、そして飯館村の3つの小学校をたずねました。3つの小学校の中でも草野小学校は広い敷地の校庭が隣接する森にそのままつながっている、森の村の森の小学校です。打ち合わせの際、現在3つの小学校を兼任している校長の大内雅之さんは、「草野小学校の敷地の広さは日本一です」とおっしゃっていました。その草野小学校の校庭の、放射線量を計測するモニタリングポストの値は0.55マイクロシーベルトでした。隣接する草野幼稚園の花壇で咲いているいちごの花の近くは、3.16マイクロシーベルト、園庭で咲いている桜、すいせんのあたりの放射線量は0.95~1.23マイクロシーベルトでした。
飯館村は、村の人たちが2018年度には戻る為、近々「避難指示解除準備区域」の指定が解除されることになっています。その為、村全体の宅地・住宅、村の農地の除染が実施されています。除染は、表土を約5センチ削り取り、約1トン入ると言われる黒いバッグ(フレコンバッグ)に詰め込んで、村のあちこちの仮置き場に運び込んで一時保管されています。飯樋小学校の近くの仮置き場には、15個×100個分が4~5段積み上げられて山になっています。更に、小学校近くの山が削られ、大型車両が引っきりなしに土を運び出しています。除染で農地などを約5センチ削り取った代わりに覆う為の土の運搬です。東電福島の事故で降り注いだ放射線物質は除染し、避難している人たちを元の住居に戻らせることになっています。全村避難となり、全村が避難指示解除準備区域となっている飯館村の場合、除染が完了し、避難が解除になり帰還する予定が2018年です。放射線物質を除染する除染廃棄物は、福島県全体で2800万トンと言われており、2015年度末の除染の実績はおよそ1000万トンと言われています。この廃棄物は、双葉・大熊両町に建設予定の中間貯蔵施設に運び込まれることになっていますが、2015年度末で、用地の取得がおよそ2%と言われています。飯館村の場合、2018年には避難している人たちが村に戻ることになっていますが、村のいたるところに積み上げられているフレコンバッグの山は、当分はそのままになります。
飯館村が避難解除になると、川俣町の3つの小学校は一つの小学校になり、更に中学校も一緒に、飯館中学校の校舎で学校が再開されることになるのだそうです。その場合、現在約200人の3つの小学校の生徒のうち、戻るのはたぶん30人くらいだろうと、校長の大内雅之さんはおっしゃっていました。
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