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2017年10月02週
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 政権党の選挙公約を発表する時の党首が国が置かれる状況を「困難」と表現し国民に選択を迫ります。(9月29日、オピニオン&フォーラム「『国難』は自作自演/勇ましい首相発言/和平壊した過去も」半藤一利、朝日新聞)。
 で、ちょっと待てよと、思い浮かべているのは「なぜ古典を読むのか」(イタロ・カルヴィーノ、須賀敦子訳、河出文庫)です。「なぜ古典を読むのか」で紹介されている「古典」のほとんどは読んでいませんでしたが、中でも「アナバシス」(クセノポン)、「カンディード」(ヴェルテール)を目を通してみることになりました。「アナバシス」は、訳者の須賀敦子も中でも関心があって、訳者あとがきで特に言及しています。「…カルヴィーノは『敵地』で困憊するギリシア軍が、じつは侵略者であったという、大切な現実に気づく。そこで、クセノポンがふたたび引用される。『(撤退するギリシア軍にとっての敵軍が)われわれに危害をくわえようとするのは当然だ。領土を侵害しているのは、こちらなのだから…』そしてカルヴィーノはこう結ぶ。『他国の領土で、略奪者の群れを連れて歩いているという事実を彼はちゃんと心得ている』」。
 …他国の領土で「戦闘状態の“休戦”」をしていることの自覚のかけらもない人たちについて、以下考察します。

 政権政党が、議会を解散し選挙に踏み切ることになった経緯はこんな具合かも知れません。いくつかの疑惑が浮上する中で、追求する機会を与えず力づくで突破しようとした結果、「好景気」で有無を言わさなかった支持率が30%台に下がってしまいました。で、朝鮮半島をめぐる動きで超強気の米大統領と歩調を合わせることでその支持率が40%に回復し、その勢いで疑惑問題を完全に闇に葬れると読み、それを国全体の合意にし、更にすべてにおいて突き進む作戦が選挙になったのか、などと思ったりしています。
 その政権政党の選挙公約が発表されています。

・北朝鮮への国際社会の圧力強化を主導
・イージス・アショア導入などミサイル対処能力を向上
・消費税10%時の増収分を子育て世代への集中投資
・2020年度までに幼稚園・保育園を無償化、32万人の保育の受け
皿を整備
・自衛隊の明記など4項目を中心に憲法改正
・基礎的財政収支黒字化の目標は堅持
・新規制基準に適合する原発の再稼働
  (10月3日、朝日新聞)
 
ロケット、核実験を繰り返す「北朝鮮」の脅威を他の誰よりも声高に叫び、その脅威から国及び国民を守ることの約束(公約)が「北朝鮮への国際社会の圧力強化を主導」です。この事では、アメリカ大統領はもっと声高で、攻撃、殲滅も辞さないと国際社会に向かって叫んでいたりします。これらの声高な叫びが現実的でないのは、相手が叫びぐらいでは折れそうにないことです。一気の核攻撃でやっつけるというような手段でも選ばない限り、かなりの反撃、戦争を覚悟しなくてはなりません。その場合、朝鮮半島の停戦ラインの北だけではなく、かなり南まで戦場になってしまいます。要するに、韓国も戦場になり、おびただしい人たちが犠牲になることが避けられなくなります。一方「一気の核攻撃」ですが、それが一定程度の規模である時、中でも爆発に伴う放射能で隣接する国、中国やロシアへの影響は避けられなくなります。攻撃は「脅威」から国及び国民を守ることにはなりにくいのです。
 たぶん、「北朝鮮への国際社会の圧力強化を主導する」、中でもアメリカ大統領の戦争・殲滅も辞さないという主張、方針に無条件に従うのは、より大きな取り返しのつかない脅威を東北アジアはもちろん世界にもたらすことになります。
 アメリカが主導してきた、アフガニスタン、イラクの戦争と、朝鮮半島のそれがもし引き起こされるとして少なからず様子が違っているのは、相手が核を持ったり、その運搬手段のロケットを開発できたりする国であることです。そこそこ本格的な戦争を覚悟しなくてはならないし、中国、ロシア、韓国など隣接する国を巻き込まずにはおかないことです。
 なのに、政権党の公約は「北朝鮮への国際社会の圧力強化を主導する」です。公約はアメリカ大統領の「殲滅」を辞さないのとする戦争の宣言が背景になっています。これって、政治の言語としても、人間の言語としても、もちょっと考えてみた方がいいように思えます。脅威をあおり、戦争も辞さないとする政権党の公約、アメリカ大統領が確信しているのは、力が支配する世界であり、その力を具現するのが戦争であることです。その「確信」に欠落しているのは、戦争に身を賭することになる人たちであり、その人たちの生身の言葉です。「北朝鮮への国際社会の圧力強化を主導」する、政権党の公約の「主語」は政権党です。政権党、即ち強い国家が戦争を辞さないことで、国民を守るという主張です。そして、決して口にしないのは、その場合の国民を守る時に、確実に身を賭すことになるのがそこに生きる生身の国民・人間であることです。政権党の公約が実現すとすれば、誰よりも私やあなたの次、次の次の世代が身を賭することになるのです。政権党の公約がまかり通る時に戦争は始まってしまっています。「イージス・アショア導入などミサイル対処能力を向上」とする公約は、すでに一歩も二歩も戦争に踏み出していることを意味するのですから。
 しかし、人間が言葉で生き、同じように政治が生きた言葉で語られる時、政権党の公約のようにはならないはずです。政権党の公約の先にあるのは、言葉でわかりあうことを放棄し思考を停止した結果に身を賭することです。かつて、おびただしい人たちが、自らそんな身の賭し方を選び、かつ命を奪う戦争に加担してきました。
 その逆もあり得るのですが、少なからず面倒です。たとえば「自分の身体の奥底から、自分の問題として他者を理解する」ということは、思考すること、自分の言葉で生きることを意味しますが、手っとり早いという訳ではありません。「国家や社会の状況の判断によって導き出す理解ではなく、「自分の身を賭して共感する人間性」(「戦争をよむ/70冊の小説案内」中川成美、岩波新書)」こそは、最強の理解となる」はずなのに、政権党の公約は思考することも言葉にすることも停止してしまいます。
 思考でも言葉でもなく殲滅なのです。

 朝鮮半島は、72年前に“独立”するはずでしたが、大国の利害・強制力の結果北と南に分断され、中でも南は超大国が軍事的にも大きな影響・支配力を誇示維持し今日に至っています。北と南の関係は今も「戦闘状態の“休戦”」です。北の核武装は、立ち向かったりすればたちまちけ散らされる超大国への対抗手段として選ばれてきました。そうして選ばれた対抗手段の良し悪しを説く資格は、超大国にも同盟国にもないはずです。そうなのですが、その放棄を無条件で求め、のまなかったら 滅するぞと脅します。超大国が後立てになった、朝鮮半島を分断する「戦闘状態の“休戦”」が長期にわたり、一方が危ない橋を渡っているその一方だけの責任にして、無条件降伏を要求します。降伏しなければ殲滅(せんめつ)ですから。要求は国家の解体です。
 で、いうところの「北朝鮮」が危ない危ない橋を渡って手に入れようとしてきたのが、核兵器であり、その運搬手段です。その実験を目の当たりにして、言い出したのが政権党の党首の「国難」発言であり、国難を目玉に打って出た選挙、そしてその公約の一つが、「北朝鮮への国際社会の圧力強化を主導」です。「国難」なのです。党首が、同盟関係を殊更強調する超大国は、朝鮮半島の「戦闘中の“休戦”状態」をより緊張の高いものにすることがあっても、譲ることはしてきませんでした。そして、核開発、実験が繰り返され、ロケットの射程距離、性能も向上させてきました。で、それが「国難」になってしまいました。この「国難」は、超大国との同盟関係を止めてしまえば、そもそもが現実ではなくなります。じゃなくって、超大国の何でもありの前線基地を、北から南まで配置することで「戦闘状態の“休戦”」の役割を買って出ているのですから、多分、政権党の国は「北朝鮮」にとって国難をもたらすと理解されてきたはずです。
 いずれにせよ、超大国の大統領が殲滅するぞと叫ぶ、その尻馬に乗って「国難」をかかげ、「…国際社会の圧力強化を主導」などと公約し、「戦闘中の“休戦”状態」の当事者として名乗り出たりすれば、「国難」は「自作自演」であることは明らかです。
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