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2017年11月01週
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東電福島の事故に伴う除染で発生した除染土壌などを保管する施設が本格的に稼働することになりました。「東京電力福島第一原発事故に伴う除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設(福島県双葉町、大熊町)が28日、本格稼働した」「県内各地で除染土が仮置きされたままの状態は解消に向かう。30年以内に県外で最終処分することになっているが、受け入れ先のめどは立っていない」「この日運用が始まったのは汚染レベルが低い土を埋没する『土壌貯蔵施設』。土はベルトコンベヤーで運ばれた。一定量になった後、汚染されていない土で覆う」「施設の貯蔵容量は約5万立方メートルで、視察した伊藤忠彦環境副大臣は、『フレコンバッグ(汚染土)を一つでも早く生活圏から取り除いていきたい』と語った」「国は昨秋、中間貯蔵施設の本体工事に着手。敷地面積は1600ヘクタールで用地の取得が遅れていたが、9月末時点で契約済みの用地は全体の4割となった。土壌貯蔵施設は計7施設を計画。全体の建設費は1.1兆円」(以上、10月29日、朝日新聞)。
 「本格稼働」したとされる中間貯蔵施設が「30年以内に県外で最終処分することになっているが、受け入れ先のめどは立っていない」とすれば、繰り返し指摘してきたように、「中間」ではあり得ません。しかし、東電福島の事故収束が国の至上命題で「…フレコンバッグ(汚染土)を一つでも早く生活圏から取り除いていきたい」ということで始まったのが中間貯蔵施設の本格稼働です。しかし、最終の受け入れ先のめどが立っていないのに、中間であるのは明らかに虚偽です。いいえ、もしそれが東電福島の事故後の何かの解決になるということなのだとすれば、中間貯蔵も本格稼働も虚偽です。フレコンバッグを「生活圏から取り除いて」中間貯蔵施設に運び込んでも、余りにも大量で目障りだった、放射性物質で汚染された土壌が、毒はそのままで置き場所を変えただけです。1立方メートル、およそ1トンのフレコンバッグ入り汚染土を、毒はそのまま大きな穴に掘り投げ込んでしまうのが、言われている本格稼働です。「一定量になった後、汚染されていない土で覆う」ことにするのは、単に見えなくするないしは「隠す」ということです。そして、「稼働」というのは少なからずの機械のそれなりの働きで、何かを変える、何かを生み出したりすることであるのが普通のはずです。ここでの機械はたとえばベルトコンベヤーです。ダンプカーで運ばれてきた汚染土を効率よく穴に投入する為の機械です。放射能の毒を、単に見えなくする、隠すことが本格的に始まったという意味の本格稼働なのです。で、そもそも、そんなことを本格と言ってしまうところが、本格的にあやしいと言わざるを得ません。「本格」というのは、「外見や形式だけを整えた一時しのぎのものでなく、その物事に本来必要とされる実質を備えている」(新明解国語辞典)だったりするはずですから、この度の汚染土の中間貯蔵施設への搬入は本格(的)には相当しません。「「…受け入れ、分別施設で袋を破り、草本などの廃棄物を取り除いた上で放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下と8000ベクレル超に分別。分別後は土壌貯蔵施設や、草本などの可燃物を焼却する『減容化施設』などに移す」(10月25日、福島民報)。容量を減らす移すなどのことはしますが、減容化の結果残る放射能の毒はそのままの超高濃度の汚染物質です。
 放射能の毒は、閉じ込めることに失敗し、環境中に放出してしまった時、その毒はどんな意味でも消し去ることはできません。「本格稼働」は、放射能の毒の毒はそのまま保管方法、保管場所を移すだけの、あくまでも仮の処置にすぎません。
 そんな仮の処置の放射能の毒が大量に運び込まれる場所のその町である大熊町、双葉町で、特定復興再生拠点作りが進められようとしています。大熊町も双葉町も、東電福島の事故で全住民が避難する町になってしまいました。町の大半が、降り注いだ放射性物質が50μ㏜/年以上の帰還困難区域になりました。事故から6年経って今も、その区域(50μ㏜/年以上)が変わらないにもかかわらず、始まるのが、「復興拠点」作りです。国によるその計画で、大熊町の場合は、10月12日に案が示され、双葉町の場合は案に基づいて国の費用による除染が始まります。大熊町の計画は「…大野地区に住宅や農地を整備する『居住・営農ゾーン』約510ヘクタール、企業誘致や交流施設設置を進める『産業。交流ゾーン』約100ヘクタールを設けた。6号国道と県道小良ヶ浜野上線沿いにはコンビニエンスストアやガソリンスタンドなどを想定した約20ヘクタールを設けた。人口は避難指示解除後から5年後の2027年に約2600人を目標とする」となっています。そんな大熊町の復興拠点の東に隣接して本格稼働の名のもとに建設の始まっているのが中間貯蔵施設用地1100ヘクタールで、更にその北西が事故の東電福島です。大熊町は、東電福島の事故前の人口は11580人、6年経った2017年9月末の人口は10547人です。その人たちのうち、計画では2027年には約2600人が拠点に戻るないし居住することになっています。その拠点は、中間貯蔵施設に隣接し、それが隣接するのは、事故の緊急対策が続く東電福島です。東電福島で「緊急対策」が続くのは、事故の結果から、事故から6年半たっても、1,2,3号機の使用済み燃料が、移動することができないままの状態が続いているからです。更に、事故で溶け落ちた燃料はその状態がほとんど解らないまま、環境中に放射性物質を放出し続けています。緊急対策が必要な危険な状態は何一つ変わっていないのです。「特定復興再生拠点」に指定され、そこに町民が戻ってくることが想定されている場所は、どんな意味でも安全とは言えません。町民が戻るということはそこで生活することですが、それが生きた生活である為に、何よりも欠かせないのがつながりです。仕事や仕事の仲間、2代、3代とつながる家族、生活の為に出掛けて帰ってくる住居、そうして生活する人たちの地域のつながり、生活を成り立たせるあらゆるモノ(食べモノ、生活調度品としてのモノ、生活をふくらませるモノなど)が、選んだり手にしたりできる場所のつながり、そして、それらを大きく包み込む自然の営みなど、どれが欠けても生活は貧しくなります。示されている「特定復興再生拠点」からは、そんな意味での生活の「匂(におい)」を感じることができません。「特定」のしかも「拠点」しか示し得ない復興は、大熊町、双葉町で生活していた人たちの再生にはなり得ないのは明らかです。
 東電福島の重大事故が引き起こしてしまったのは、決して消し去ることのできない、環境中への放射性物質の大量の放出です。大熊町、双葉町の人たちは、事故から6年半経った今も、町に戻ることができません。復興拠点計画で、2027年に町に住むないし戻ることが想定されているのは大熊町の場合、およそ10000人のうちの2600人です。人口のおよそ3/4の人たちは、避難してから20年近く経っても、元の町、住居には戻れないのです。だからと言って、今生きている場所で生活しているし、生活を作り出すことなしには生きられないはずです。要するに、多くの大熊町の人たちにとって、「復興」も「再生」も「拠点」も、虚妄にすぎないことになります。双葉町の人たちにとっても同様です。
 その大熊町、双葉町で始まるとされる中間貯蔵施設の「本格稼働」は、一方で言われる「特定復興再生拠点」をそのまま困難なものにしてしまうことを意味します。
 なのに、拠点整備は始まります。
 結果、置き去りにされるのが、大熊町、双葉町の町民の大半であり、戻った人たちはと言えば、除染された限られた区域の中で、身も心も縮めて生きるよりありません。そして更に、緊急事態の状況が続く東電福島の更なる事故、風向によって必ずやってくる放射性物質に晒され、かつおびえながらの生活が続くことになります。
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