日本キリスト教団西宮公同教会・西宮公同幼稚園
教会について
礼拝・諸集会のご案内
小さな手・大きな手
公同通信
教会学校について
公同幼稚園について
どろんこと太陽
関西神学塾:スケジュール
関西神学塾:講師紹介
楽しい学習
賃貸住宅事業部とは
テナントについて
活動内容
アートガレーヂについて
催し物のご案内
リンク
アクセスマップ
お問い合せ
width=1
top>小さな手大きな手
width=639
小さな手大きな手

height=1
2018年02月04週
height=1
(前週よりの続き)
 で、繰り返し提案されてきているが「希釈して海洋放出する」「薄めて海洋放出する」です。
 トリチウムの処理が難しいのは、水に溶け込んでしまった時、その成分上水と分離できないからです。そして増え続けるものですから、処分方法として提案されてきているのが「希釈して海洋放出する」「薄めて海洋放出する」です。
 この提案に少なからず疑問を持たざるを得ない、というか認めることができないのは、「希釈」「薄めて」が、場当たり的で、そもそもそんな処理不能なものを環境中に放出したことの責任が何一つ言及されていないこと、そして残る問題はあたかもトリチウムだけであると思わせてしまうこと、そもそもこんな事が起こってしまって責任者の責任が何一つ問われないことです。この事故によって引き起こされる、環境汚染は更に増えることがあっても、何一つ解決されません。たとえば、前述のセシウム、多核種などの超高濃度の放射性物質は、「専用」とされる容器で保管されていると言え、本来は環境中には存在しない「毒」であることに変わりはありません。収集が難しく、増えることはあっても、決して処分・処理のできない「毒」東電福島の事故の放射性物質です。そうして、処分・処理できない放射性物質が増え続け、それを止める手立てもないのに、トリチウムの処理さえ目途がたてば東電福島の事故が終わりだと思わせるのが、前述のトリチウムを巡る新聞報道だったりします。そんなことになってしまった、事故責任は「不問」のままです。
 東電福島の事故は、「(地震・それによって起こった津波を)想定外」とする東電の見解・主張を、国も認め、責任が問われることはありませんでした。10,000人を超える人たちが刑事告訴をしましたが、検察庁は東電の見解・主張をそのまま認めてきました。そんな状況で、提起されたのが検察審査会への告訴でした。告訴を受けた検察審査会は「起訴相当」としたにもかかわらず、検察庁はこれも不起訴としました。で、差し戻された検察審査会は2度目の審査でも「起訴相当」としたため、東電福島の事故は、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長、勝俣恒久元会長を「強制起訴」し、検察官に代わり、裁判所が指定した弁護士(特定弁護士)を検事とする刑事訴訟裁判になり、2017年7月に初公判、2018年1月26日が、その第二公判になりました。
 以下、その公判で争われていること「争点」を巡る、検察側(特定弁護士)、および弁護側による証人、上津原勉氏(東電の事故調査報告書の作成に関与)に対する証言尋問の概要です。
 
 東電福島の事故の直接の引き金となった、約15メートルの津波は予測出来たか、出来なかったか。及び、双葉病院問題について。

1、特定弁護士
  イ、2006年9月17日に、原子力安全部会が「『耐震設計審査指針』の改訂」を行い、新しい知見に基づいて、「古い原発」のバックチェック(さかのぼって、安全かどうかの確認作業)を行うことが提案・決定していた。これに基づき電事連(電力会社10社)が「指針改訂の検討体制」に入っていた。「新しい知見」には、地震のことも含まれており、それに基づいて、東電内部でも防潮堤を15メートル以上とすることが検討されていたが、実施しなかった。
 ロ、双葉病院で取り残された患者の死亡の事例は、明らかに緊急避難による、医療態勢の崩壊にあった。
2、被告東電上津原証人及び弁護側
  イ、証人及び弁護側は、第一回公判の主張を繰り返した。東電の子会社の試算・報告は承知していたが、今回の津波は東側からであったことから、事故は回避できなかったと主張。
  ロ、双葉病院問題は、事故との関連性は考えられない。一般的で、病院で亡くなられた方以上の問題はなかった。

 東電は、2011年3月の東電福島の原子炉が溶融するという重大事故の責任について、「想定外」の津波による事故であるとし回避し続けています。検察庁はこの明らかな刑事事件を追及することをしませんでした。当然、事件に関係する事実関係などの多くは、闇に葬られることになりますが、その一角を切り崩す闘いが、検察審査会の強制起訴で始まった「福島原発事故、刑事裁判」です。
 東電福島の事故は「想定外」だったし、事故を防ぐ対策も可能だったのです。
 そうして、対策を延ばし、ないし取らなかったことを、たとえば何よりの責任者の一人である、武藤栄副社長は「大津波が来るというシュミレーションの報告を受けたが、試しに計算しただけで信頼性はないと思った」「従って、責任はない」と陳述します。事故で大量の放射性物質が大気中に放出され、おびただしい人たちが、被爆が避けられなくなったことの「責任はない」となります。福島で実施されている子どもたちの健康調査で、甲状腺がんは事故前の100万人に一人が、事故後福島では200人近い事実にも「責任はない」ことになります。
 トリチウム汚染水が、100万トンを超えてしまっていること、その処理に行き詰まっても「責任はない」ことになり、薄めて海洋に放出することになっても「責任はない」どころか「別に方法はない」で済ませてしまいます。
 「福島原発事故、刑事裁判」は、その「責任はない」に肉薄する数少ない闘いです。
 裁判は、猛スピードで進行することになっています。2月2回、4月5回、5月4回、6月4回などです。福島原発刑事訴訟支援団は、この刑事裁判を「検事」として担当する5人の弁護士の手当て(5人分で、すべて訴訟費用として認められる上限の315万円)の増額を、国・法務大臣に求めています。
 東電福島の事故と事故処理で、どんなに放射性物質(たとえば、トリチウム)が、環境中に放出されても、環境・自然は「ものを言う」ことはありません。それで被爆する子どもたちも、そのことで「もの言う」ことはありません。人が生きる時に寄り添い、人が生きる時に心をほぐす子どもたちは、「もの言わぬ」ままそこにあり続けます。

※①東電福島の事故、その責任を問う刑事裁判などの理解を深めるのには「東電原発裁判/福島原発事故の責任を問う」(添田孝史、岩波新書)が役に立ちます。
※②トリチウムとは、水素の放射性同位体で半減期は、12.3年

 トリチウム「希釈して海洋放出する」「薄めて海洋放出する」濃度ですが、一般に稼働中の原子力発電所、六ケ所村の処理施設の場合は、海水1リットルあたり6万ベクレルとされているそうです。東電福島の超高濃度のトリチウムは、1リットルあたり約100万ベクレルですから、100万トンと言われるトリチウム処理水を「希釈」「薄める」場合の、全体としての海水は、それを積算した数字になります(以上、数字は東電お客様相談室)。
height=1
[バックナンバーを表示する]
height=1


?????width=80

Copyright (C) 2005 koudoukyoukai All Rights Reserved.