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2018年03月02週
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 東電福島の事故から7年になるのを前に、全国紙(朝日新聞)と福島放送が福島県民を対象に「世論調査(電話)」を実施し、その結果が発表されています。調査内容は「放射性物質への不安を…」「原発の再稼働に…」「処理水を薄めて海に流すこと…」「海に流すことで風評被害の不安を…」「コメのサンプル検査に…」などで、結果は別表、調査方法なども示されています。
 東電福島の事故について、国・東電などは、それが重大事故、燃料溶融事故であることの発表を遅らせるないしは隠してきました。そして、緊急事故対策に追われているにもかかわらず(事故から7年目を迎える今も緊急の事故対策に追われている)、収束を宣言しました。そうして収束を前提にして取られてきた事故理解、事故対策はおよそ以下のようになります。

1、降り注いだ放射性物質を「除染」し避難している人たちを元の市町村に戻す。
2、溶融した燃料を折り出し事故の原子炉を廃炉にする。

1、降り注いだ放射性物質を「除染」し避難している人たちを元の市町村に戻す。
 前掲の世論調査では、その除染についての現状が紹介されています。「東京電力福島第一原発事故で放出された放射性物質を取り除くため、福島など8県の92市町村が進めてきた除染作業が、3月末で終る見通しとなった。環境省が2日、発表した。国による福島県の旧避難指示区域の除染は昨年3月末で終了。特に放射線量の高い帰還困難区域の復興拠点となる地域を残し、主要な除染事業は事故後7年を経て完了する」(3月3日、朝日新聞)。
放射性物質の毒は除去することはできません。「除染」は除去できない毒・放射性物質をそれが降り注いだ住宅などの場合はほぼ手作業で拭い取り(この場合、拭うのに使った雑巾などが放射性物質になる)、土壌などは表面を削り取り、(表土を約5センチ削り、山土などで埋め戻す)、別の場所に移されることで、それを一旦は仮置きし、現在はそれを更に中間貯蔵施設に移し始め、除染された1650万立方メートルのうち300万立方メートルを移したとされます。「国による分も含め、除染の総事業費は約2.9兆円に上る見通し、農地の表土をはいだり、家の汚れを拭き取ったりして発生した汚染土などの廃棄物は約1650万立方メートル。うち約1600万立方メートルは福島県内で発生し、約300万立方メートルは既に中間貯蔵施設などに運び出された」(前同、朝日新聞)。「家を汚したり」「農地に降り注いだ」放射性物質は、「拭き取ったり」「削り取ったり」することしかできません。「除去」できない毒だからです。それを「廃棄物」と言ったりしていますが、どこにも、そのまま廃棄することもできません。「除去」できない毒だからです。もちろん、「処分」もできません。「処分」する場所を指定することも見つけることもできません。「除去」できない毒を、どこも誰も受け入れはしないからです。その結果生まれた表現が「中間貯蔵施設」です。「表現」の問題にすり替えない方がいいように思えるのですが、でも中間貯蔵施設です。30年後には、最終処分場に移すことになっていますが、そんな場所を指定することも見つけることもできていませんから、言葉だけの中間貯蔵施設です。そんな中間貯蔵施設が設置されることになったのが、全町民の避難が事故から7年目を迎える今も続く、双葉町と大熊町です。緊急の事故対策が続く、東電福島が立地する町です。危険な毒を引き受ける場所が見つからなくて、既に充分に危険な場所でもある、双葉町と大熊町が選ばれることになりました。
 危険な毒であるということで、既に「約2.9兆円」の費用をかけて「除染」され、移す場所が見つからなくて、7年近く除染したすぐ近くに仮置きされ、最終を得られない「中間」としての、中間貯蔵施設が、放射能の毒が降り注いだ為に全町民が避難する、双葉町と大熊町に設置され、危険な「廃棄物」が運び込まれています。
 「福島県民共同世論調査」で、調査の対象となっている福島県民の多くは、東電福島の重大事故で、多かれ少なかれ、「除去」できない放射性物質の危険にさらされたまま7年を迎えようとしています。にもかかわらず、放射性物質への不安を「感じていない」の回答が「あまり」「全く」合わせて33%に止まったり、感じているが少し増えたにせよ66%だったりするのは、こうして実施される世論調査がそうであるように、国・東電による東電福島の事故対策と理解が広く浸透しているからだと考えられます。たとえば「主要な除染事業は事故後7年を経て完了する」の「完了」が実は放射能の毒を、毒をそのままに別の場所に移しただけだということが、理解しにくくなっているからです。
 汚染土の扱いについて「環境省は今後、汚染土の搬出を加速させる」その期限を「東京五輪・パラリンピック前の2020年ごろまで」としています。「汚染土の搬出」、要するに、東電福島の事故対策の後、福島県民(はもちろん、この国の人たち)の「不安」が拭い去られるとしたら、放射性物質の危険・毒が除去されることです。しかし、この毒はどんな意味でも除去することはできません。東電福島のような事故、燃料が溶融し、原子炉が放射性物質を閉じ込める機能を失い、放出を止められなくなってしまった時、「不安」も決して取り去ることができなくなります。見えない放射性物質が、福島の人たちの、毎日の生活中に侵入して浮遊し、多かれ少なかれ被曝を余儀なくしています。
 共同世論調査の報告には、調査報告とは直接関係がないにもかかわらず「空間放射線量目安見直しへ/被曝量踏まえ議論」という項目の記事が付記されています。「除染計画づくりの判断基準などになっている毎時0.23マイクロシーベルトの空間線量について、原子力規制委員会の放射線審議会は2日、見直しの議論を始めた。この線量は、被曝量が年1ミリシーベルトを超えない目安として東京電力福島第一原発事故後に定められたが、実際の被曝量はその数分の1にとどまるとの研究が出ていた」「『0.23』は屋外に8時間、屋内に18時間滞在するといった生活を仮定した数値だ。だが、実際に住民の被曝量を測ってみると、想定よりも下回っているという研究も出てきている。審議会の有識者らから『数字が独り歩きしている』『復興を妨げる要因になっている』などの意見も出て、実際の被曝量と合わせて見直しを議論することにした」(前同、朝日新聞)。この項目・付記そのものが不自然であるだけでなく、被曝量の言及も本来の事実関係を踏まえていないように思えます。「毎時0.23マイクロシーベルトの空間放射線量」「この線量は、被曝量が年1ミリシーベルトを超えない目安として東京電力福島第一原発事故後に定められた」なのですが、「被曝量が年1ミリシーベルトを超えない」は、東電福島の事故前に、ほぼ国際基準として了承されていた数値です。東電福島の事故の後、この「1ミリシーベルトを超えない」が大幅に緩和されることになります。最初に緩和されたのが子どもたちの被曝でした。成長期の細胞に影響が受けやすく、中でも感受性が高いとされる子どもたちの被曝の上限が「20ミリシーベルトを超えない」のであれば健康被害の「心配はない」とされました。この場合の数値に具体的な根拠があった訳ではなりませんでしたから単に「心配はない」としか言われませんでした。こうして「心配はない」とされた理由は、東電福島の事故の後、避難・休校が続いていた学校等を再開するにあたって、そこが「1ミリシーベルトを超えない」を実現することが、到底望めなかったからです。例えば、放射線量が高く、子どもたちの被曝が余儀なくされる郡山市でも、学校の再開が急がれた為に、20ミリシーベルトを超える地域が多かったにもかかわらず「心配はない」とされ、学校は再開されます。こうした動きに対し、子どもたちを集団疎開させることを求める裁判も提起されますが、判決は、被曝の事実とリスクを認めながら、「現実的に難しい」として訴えを退けてしまいます。
 「共同世論調査」が実施され、その結果の報告の一つとして、「放射性物質『不安』66%」となっていますが、この報告には、たとえば「除染」の結果の放射線量などのことが一切示されません。既に2.9兆円に上るとされる「除染」費用にもかかわらず、国際基準であった「年1ミリシーベルトを超えない」は守られていません。東電福島の事故後の避難にあたって示された3つの区分と、その根拠となった放射線量は以下のようになっていました。
避難解除準備区域 1~20ミリシーベルト
居住制限区域 20~50ミリシーベルト
帰還困難区域 50ミリシーベルト以上
 このいずれの場合も、避難解除は国際基準の1ミリシーベルトでした。しかし、どんなに「除染」しても、目標が達成できない為20ミリシーベルトまでは「心配ない」ことになり、そこに戻った場合には積算の被曝線量を自ら管理することになりました。放射性物質は、環境中に放出されてしまった場合、どんなに「除染」しても取り除けないこと、東電福島の事故は、それが降り注いだ場所に止まる限り、被曝が常態になってしまうのです。それが原子力発電所の重大事故であり、その結果です。「共同世論調査」の報告で、本来は最も重要であるはずの、それら数値が何一つ具体的に示されることがないのは、事故の事実を隠蔽する結果になっています。
 2、溶融した燃料を取り出し事故の原子炉を廃炉にする。
 東電福島の事故で、現在も緊急対策に追われている中で、「共同世論調査」はそのことについて「処理水の海洋放出」だけが報告されています。今、東電の事故で処理が難しいとされているのがトリチウムです。そのトリチウム汚染水が100万トンを超え、保管するタンクが東電敷地内で増え続け、その対策に追われています。結果繰り返し課題になっているのが「処理水を薄めて海に流す」ことです。ですが、薄めれば心配はないと言われても、安全であると断言できないのですから、流すことに心配で「反対が67%」「賛成19%」となったりしても止むを得ないように思えます。一方、事故対策の中心である廃炉はその入り口で立ち往生したままです。そのことが少しは前進していると思わせる報告が、世論調査ではなく、「東電3号機立ち入り可能」です。(3月1日、福島民報)。「東京電力は28日、福島第一原発3号機の原子炉建屋内で小型無人機『ドローン』を飛ばして行った調査の結果、1階から3階部分の空間放射線量は毎時10~15ミリシーベルトで、人が立ち入り廃炉作業を行える範囲だったと発表した」。「労働安全衛生法は原発で働く作業員の被ばく線量について、5年間で100ミリシーベルトかつ1年間で50ミリシーベルトを上限と定めている」ことから、3号機で作業員が3~4時間働けば1年間、7~8時間働けば5年間仕事ができなくなります。作業員のその上限の被曝を前提にすればです。これは、原子炉建屋の内側で、調査したのは「無人機『ドローン』」です。建屋の内側にあって、燃料が溶融し容器も溶融しているとされる格納容器、圧力容器などのことについては、それを廃炉にする為の手がかりは、ほぼ何一つ解っていません。「『不安』66%」ではなく、何一つ払拭されていないのです。
今後の福島原発刑事訴訟の公判期日
第5回 4月10日(火)
第6回 4月11日(水)
第7回 4月17日(火)
第8回 4月24日(火)
第9回 4月27日(金)
第10回 5月8日(火)
第11回 5月9日(水)
第12回 5月29日(火)
第13回 5月30日(水)
第14回 6月1日(金)
第15回 6月12日(火)
第16回 6月13日(水)
第17回 6月15日(金) 改訂時間はいずれも午前10時~午後5時


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