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2018年09月01週
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 東電福島の事故のことは、全国紙などではほとんど話題になることはありません。
 福島でも、話題になることは少なくなっていますが、それでも少しずつ話題になっています。話題になることが、広い範囲に及んでしまうのは、他のどんな事故とも違っているからです。少し重複する部分もありますが、ほぼ2か月分を地元の新聞から拾い上げると以下のようになります。場所だけでなく事柄においても、扱わざるを得ない課題は多いのです。

6月19日:3巡目がん確定9人に/子どもの甲状腺検査
6月23日:毎時0.23マイクロシーベルト見直さず/安全基準値の妥当性議

7月10日:第一原発2号機/最上階毎時630ミリシーベルト/建屋内床と壁
面線量公表
7月10日:復興拠点で除染開始/富岡駅周辺の先行解除へ/環境省
7月11日:大熊、双葉の避難指示解除準備、居住制限区域/来年度末までに
解除を/自民復興本部政府に要請
7月12日:タンク跡デブリ保管/第一原発汚染水処理で政府方針
7月14日:来月トリチウム水処分公聴会/30日富岡、31日郡山
7月15日:今月下旬にも減圧試験/第一原発2号機格納容器/放射性物質含
む気体/漏出減へ
7月20日:初の町有地契約/中間貯蔵施設/双葉町、環境省に9.7ヘクター

7月24日:大熊町/町有地26ヘクタール提供へ/中間貯蔵施設予定地/議
会で議案可決
7月27日:核燃料11月取り出し/福島第一原発3号機プール
7月28日:政府、復興方針に反映/避難区域解除要請など柱/与党7次提言
受け
8月1日:トリチウム水公聴会/参加者募る/資源エネ庁
8月7日:第一原発デブリ取り出しへ/遠隔操作最新案示す/廃炉国際フォ
ーラム閉幕/いわき
8月8日:原子力損害賠償・廃炉等支援機構/各号機に工程案/デブリ取り出
し技術戦略
8月12日:第一原発建屋/大雨時の汚染水増抑制へ/東電が対策月末にも最
大1900トン
8月14日:棚倉町民が避難計画/県支援第一弾/要点学び策定着手

 東電福島で起こってしまった、燃料、圧力容器、格納容器が溶融する重大事故の事故対策が難しいのは、事故に終わりがないことです。
 事故現場では、放射性物質の放出が続き、それを止めることができない為、事故対策が困難を極めます。事故対策そのものが難しいのです。事故対策の到達点は事故の原子炉の廃炉ですが、その為には溶融した燃料、デブリの取り出しですが、それについては、8月7日、8月8日の新聞に取り上げられています。それは、「各号機に工程案」などとなっていますが、「工程案」は「遠隔操作最新案示す」ですから、具体的な手がかりらしきものが得られない「遠い」話しになってしまいます。「福田氏(原子力損害賠償・廃炉等支援機構、執行役員技術グループ長)は、2019年度に予定されている2号機の格納容器底部からのデブリの試料採取で、ロボットアームの投入から採取までの一連の作業案をまとめた動画を紹介した。取り出したデブリを収納缶に詰め、移送容器に入れて原子炉建屋外に搬出する手順や、原子炉圧力容器上部からデブリを取り出す場合のロボット投入のイメージ図を示した。レーザーでデブリを削り取る機器の開発状況なども説明した」(8月7日、福島民報)。
 デブリではなく、「デブリ試料採取で、ロボットアームの投入から採取までの作業案」
だったり「デブリを取り出す場合のロボット投入のイメージ図」だったりしますから、廃炉には欠かせない、デブリの取り出しは、そもそも「工程案」など示せる状況にはありません。何が難しくしているのか。東電福島の重大事故は、放射性物質を閉じ込めることができなくなり、現在も高濃度の放出が続いています。事故対策の人の手を拒む危険な場所なのです。「遠隔操作の最新案」が示されている2号機の場合、それよりなにより急がれるはずの、使用済み燃料の取り出しも手付かずです。高い放射線量がそれを拒んでいます。「東京電力は9日(7月)、福島第一原発2号機原子炉建屋最上階のオペレーティングフロアの調査で、初めて床と壁面の放射線量を測った結果、排水口付近のガンマ線とベーター線の合算値が最大毎時630ミリシーベルトだったと発表した」「2号機は炉心溶融が起きたが、水素爆発を免れた。プール内には燃料615体が残され、東電は2013年度の取り出し開始を目指している」「人は短時間に約7シーベルトを浴びると1か月以内に死亡するとされる。630ミリシーベルトは0.63シーベルトに当たる」(7月10日、福島民報)。東電福島の事故で、使用済み核燃料の取り出しは急務です。プールに並べられている状態で、更なる事故で水が抜けたりする可能性をいつもかかえ、最も危ないのがプール内にある使用済み核燃料です。2号機の場合、その取扱い、取り出しを難しくしているのがその場所の高い放射線量です。結果、7年経った今も手付かずです。同じ建屋の使用済み燃料がそうだとすれば、溶融した燃料と、その場所は、はるかに放射線量も高く危険です。その結果、何一つ手付かずの状態で、工程案だけが示されることになります。なのに、それを廃炉と言ってしまいます。かつて、まとめられていた、原子力発電所の事故対策の工程表では、重大事故になった場合の工程は示されていませんでした。一つには、起こらないことになっていたのと、更には、そうなってしまった場合の対策・工程はあり得なかったからです。それが東電福島の事故であり、現在の状況です。なのに、何一つ進展する見通しが示されず工程表が示されています。妄想です。
 たとえば、大量に発生し続けているトリチウムは、そのものの処理が不可能である結果、増え続けていますが、増やし続けるのは「現実的」ではないとして、現実的な対応とされる、薄めて海洋に放出する作業が着々と進められています。なにしろ、薄めて海洋に放出するのですから、何か科学的な技術の問題ではなく直接、間接に関係する人たちに、「現実」を了承させる為の説得工作の場の人集めが「トリチウム水公聴会/参加者募集」です。トリチウムの処理は不可能であり、かつ増やし続けるのは「現実的ではなく」「薄めて海洋に放出するのが現実的である」と判断している、国・経済産業省資源エネルギー庁が、その現実を示して、参加者が、「なるほどやっぱり現実的」だと思わせてしまうのが、この場合の公聴会になるはずです。なにしろ、現実にはそれ以外ないと考えられているからです。たとえ、公聴会に出かけて行って「異論」と口にしたりしても、現実的ではないと退けられるだけです。しかし、現実というのは本来事実を事実として受け止めることから始まるのだとすれば、トリチウムと言えども放射能の毒を環境中に放出するのは誤りで、すべてを駆使してトリチウムを保管するタンクを増やし続けるのが起こってしまった重大事故の現実が突き付けている現実です。原子力発電および科学技術の現実、そして事故の事実から目をそらしてはいけないのです。
 東電福島の重大事故が、事故現場に止まらず、その事故現場を閉じ込められなくなった放射性物質が降り注いだすべての場所を広く事故現場としてしまうところが、やっかいなのです。やっかいで取り返しのつかない事故なのです。
 東電福島の事故で、広く事故現場になってしまった場所では、放射性物質の除染が行われることになりました。建物などの場合は拭き取ったり、土の表面を削ったりです。放射性物質である限り、拭き取ったり削ったりでは、除去できないにもかかわらず、拭き取ったり削ったりの実績で、その場所の事故対策の終了にしてしまいます。当初そこに降り注いだ放射性物質の数値で避難などのことが示されていましたが、現在は除染の実施だけで、すべては終わった、避難の解除になっています。「双葉町は町面積の約4%に当たる避難指示解除準備区域(約2平方キロ)の中野地区で産業団地の造成が進む」「大熊町は居住制限区域(約12平方キロ)の大川原地区に町役場庁舎を建設中で、2019年3月末の完成、同4月の開所を目指している」「こうした両町の環境整備に加え、JR常磐線が2019年度末までに全線で運行再開する」(7月11日、福島民報)。このどこにも、当初の約束であった、除染後のその場所、放射性物質が降り注いで避難することになった放射性物質の数値のことは示されていません。たとえば、双葉、大熊両町は、除染で発生した汚染土壌などの中間貯蔵施設が建設される場所になり、現在汚染土壌などが運び込まれています。そしてそこは、最終処分場の決まらないままの中間貯蔵施設です。要するに、処理不能の放射性物質の、もう一つの新たな事故現場になってしまうのです。放射線量の数値は言及も公表もされません。
 この、「大熊、双葉の避難指示解除準備、居住制限区域/来年度末までに解除」を、「政府に要請」しているのは「自民復興本部」です。そこが避難指示解除準備、居住制限区域になり、両町の住民が避難し、それが7年も続いたのは、東電福島の事故で降り注いだ放射性物質のせいで人間が生活するのは危険だったからです。もし、その避難が解除されるとしたら、放射性物質の数値が、生活が可能な条件に下がること、その事実によって決定されるべきです。しかし、数値のことには何一つ言及がなくて、「自民復興本部/政府に要請へ」で解除になるらしいのです。
 扱うのが難しい放射性物質を使う原子力発電所は、科学・技術がそれを完全に閉じ込めるのを約束して稼働することになりました。その科学・技術が破綻して重大事故になった時、自然を理由に事故を想定外としてしまいました。一方、事故の科学・技術のことが何一つ言及されることなく、「自民復興本部/政府に要請へ」という政治の判断が、科学・技術にとって変わっています。
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