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2018年12月01週
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 しばらく前に文部科学省が行った「問題行動、不登校調査」の2017年度に認知された件数が報告されていました。その数は414,378件で、前年度より15%増えたとのことでした。(2018年10月26日、毎日新聞)。この調査の目的は「いち早く『いじめの芽』を摘むため」で、更にそれはいじめの「被害者の心身や財産に影響を及ぼす『重大事態』を防ぐためには早期発見、即ち「初期段階」で見つけることが有効であると考えられているからですが、調査でそれが解決の方向に向かっている訳ではありません。「『重大事態』が前年度比78件増の474件と、早期発見が必ずしも解決につながっていない現状も浮かび上がった」(前同、毎日新聞)。
 そして、「重大事態」となった埼玉県鶴ヶ島市の事例が紹介されていました。「2017年11月、小学校6年生の女子児童(当時11歳)が自殺した」同市教育委員会が設置した「いじめ問題調査審議会」は2018年3月にまとめた報告書で「(自殺した児童は)以前もいじめを受けていた。学校も把握しており、組織的に注意深く様子を観察し、対応すべきだった」「(同級生の)いじめが原因と推認できる」とし、「最悪の事態を回避できなかった学校の対応を批判」しています。学校は、年に2回、いじめの調査のため、全児童からアンケートを取っていたりしました。学校が解決済みとした後のアンケートによれば、「同級生は、『相談しても解決しない』『かえっていじめが酷くなる』ことを理由に実態を書いていなかった」のだそうです。文部科学省の「問題行動・不登校調査」では2017年度には「けんかやふざけ合いも背景にある事情を調査し、いじめに該当するかを判断する」と調査方針の項目を追加したりしていますが、鶴ヶ島市の審議会の調査報告書によれば、「無料通信アプリ『LINE』で自殺に追い込むようなメッセージも送られ」女子児童は命を絶つ「重大事態」になったとあります。報告書は更に「『同級生がアンケートに実態を(書かないけど)児童と教職員の信頼関係が十分でなかった』と言及」「初期段階でいじめを把握しながら、適切な指導ができなかった」と、「学校を指弾」しているのだそうです(以上、2018年10月26日、毎日新聞)。
 学校(小・中・高)などで起こっている「重大事態(児童が命を絶つなど)」の「大事に至る前に把握する」ための調査を実施したりするのが「いじめ防止基本法」であり、その為の調査が行われています。にもかかわらず、2017年度は「『重大事態』は前年度比78件増の474件」です。
 「重大事態」は起こってしまっても、そのことが問題にされないこともありますが、鶴ヶ島市の場合のように、調査審議会によって学校の対応が批判されたり、学校が指弾されたちする場合もあります。だからと言って、自殺に追い込まれた児童の事実は変わりませんし、学校を舞台にしたその「重大事態」は前年度より増えています。広く、そして項目を増やしたりして実施されている学校での「問題行動・不登校調査」は、新聞(毎日新聞)の見出しが示すように「解決」には直結していないことになります。そうではない何かによって、学校を舞台に起こっていると考えられる子どもたちの「重大事態」には届いていないことになります。
 学校とう現場で多数の生徒に対して教師によって「教える」ということが成り立つためには、「教える」ことを「聞いたり」「学んだり」するための始めの一歩である言葉によってつながる信頼関係は不可欠です。同時にその時の同じ時間を「共有」「共生」する生徒間に「聞いたり」「学んだり」時には、それに加え「体を触れ合ったり」で生まれる信頼関係も必要です。多数の違った生育の歴史を背負って、そこ「学校・教室」に集まっている生徒の世界で、それを実現する教師の仕事は、なかなか難しいし、容易くはありません。「なかなか難しいし、容易くはない」を何とか、補完しようとする手段の一つが学校の規則だと考えられます。もう一つは、教えるという特権、あるいは教師というものが発揮できる特別の力量になるのかも知れません。後者の特権ないし、特別の力量は必ずしもその教師の本来の人間としての力量であるより、子どもたちを圧倒する物理的な力であったり、生きてきた経験の知識であったりします。もともとが、こどもたちの圧倒する力の保持者なのですから、それを具体的に行使するまでもなく、陰に陽にほのめかすだけで、子どもたちを驚かせたり、時には恐れさせたり、などのことが出来なくてはなりません。巧みな言葉や道具を駆使することで、子どもたちを魅了することはそんなに難しくないはずです。5、6分もあれば、子どもたちの考えていることを全く正反対の方向に向けてしまうことも、不可能ではありません。「教える」ということ、聞いたり、学んだりすることが、言葉を手掛かりとする信頼関係であること、そのことを多数の子どもたちを相手に実現する為には、教師一人ではなく、集まっている子どもたち相互にそれが成り立っていることも条件になります。そうだとすれば、教師の特権ないし、特別の力量の及ぶ範囲は限られているのです。前提にすべきなのは、教えるという仕事は、なかなかの至難の業であるとの自己理解であり、子どもたちとの一歩一歩築き上げる信頼関係であるとの自己理解であるように思えます。既に「相談しても解決しない」「かえっていじめが酷くなる」と思っている子どもたちであってみれば、学校で実施される「問題行動・不登校調査」が「重大事態」の回避にはつながりにくいのです。
(次週につづく)
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