2011年の、東電福島の重大事故からやがて8年を迎える事故の状況を地元の新聞記事(福島民報)からひろい上げると以下のようになります。原子力発電所の事故、中でも東電福島の重大事故などの場合、何よりも難しいのは、放射性物質が環境中に放出されてしまった場合、その処理、除去が困難であること、事故現場が放出されてしまった放射性物質で、それを作って稼働させた人間が近づくことをはばんでしまうことです。この2点が、何一つ解決の見通しが立たないまま、事故から8年を迎えようとしています。しかし、地元の新聞(全国紙ではほとんど記事になっていない)から、事故状況の記事をひろい上げてみると、着実に事故は収束・解決に向かっているかのように読めます。
あの事故で、原子力発電所が立地していたり、近かったり、大量の放射性物質が降り注いだ、いくつかの町村は、全住民が避難することになりました。
避難解除準備区域 1~20m㏜/年
居住制限区域 20~50m㏜/年
帰還困難区域 50m㏜/年以上
こうして、放射能の被曝の危険をおそれて避難した人たちが、元の住居に戻る為にその除染が行われて、除染の実施をもって、2区域の避難解除が進んでいます。そのいずれの区域でも、除染の結果の被曝線量が明らかにされることはありません。避難は、国際基準の1m㏜/年をもとに決められたにもかかわらず、そのことが守られている訳ではありません。あくまでも、除染を実施したかどうかです。詳しくは後述。
東電は、昨年11月に「廃炉資料館」(富岡町)を開設、一般に公開を始めています。この資料館を覗いたことはありませんが、一般にこうした資料館が開設されたりする場合は、それ(廃炉など)が完了していることが前提であるように思われます。しかし、東電福島の事故の原子炉に関する限り、それは何一つ進んではいません。ほぼ、手付かずの状況です。事故の結果の、高濃度の放射能が、それを作り稼働させた人間を拒み、廃炉はおろか、事故の状況の把握も難しく、その任務にあたるロボットの研究、試作、試験操作などが繰り返されています。どうであれ、今、「廃炉資料館」に展示されるものがあり得るとすれば、そんなロボット(ただし、一回使われたロボットは、それが高濃度に汚染されている為、簡単には展示できないし、改修のできない場合も頻発しています)の模型だったりするはずです。しかしそれだったら、「廃炉」ではないでしょう。
2019年1月5日までのいくつかの記事についての詳しい評価は後述することになります。
10/17 「飯舘村『空き物件』で協定/県宅建業協/バンク事業協力」
「中間貯蔵施設『安全担保の運用を』/秋元環境副大臣。浜通り3
町長と懇談」
10/19 「誤りは5倍1276ヵ所/ALPS処理水の測定資料ミス問題/東電
内容取り違え」
「安全点検で不具合2件、3号機の核燃料搬出装置」
10/24 「飯舘村、福島大プロジェクト/『自分史』作成始まる/村民の歩
み次世代」
「3小学校統合の意向改めて示す/飯舘村長」
10/31 「東日本大震災の避難者55634人、復興庁10月まとめ」
11/1 「ため池汚染、簡易に解析/JAEAが新手法/除染加速化期待」
11/2 「廃炉作業の進捗確認/内堀知事が第一原発視察」
11/5 「第一原発5,6号機/未使用核燃料搬出遅れ/新基準対応で来春以
降に」
11/6 「飯舘村/来春から野焼き容認/農地再生へ不可欠と判断」
11/7 「農林中金福島支店/JAふくしま未来に助成/飯舘の農業再生支援
/整地用機材無償貸し出しへ」
11/10 「処理水海洋放出十分な説明必要/規制委の田中委員」
「葛尾の帰還困難区域/20日から復興拠点整備」
11/8 「実施計画違反に認定、規制庁が第一原発ダスト測定の未実施」
11/9 「来年3月注水停止試験/東電・第一原発2号機で初」
「新たに不具合2件/第一原発3号機核燃料搬出装置」
11/13 「模擬燃料つるされて2時間、第一原発3号機取扱機トラブル」
11/14 「汚染処理水処理決定を/IAEA廃炉作業検証」
11/15 「他設備点検で電源切断/第一原発3号機/模擬燃料トラブル/図
面に配線記さず」
11/16 「大熊の交流・宿泊温泉施設/2020年度に完成ずれ込み」
11/17 「大熊/大野駅周辺に交流施設/賃貸住宅なども整備/避難解除前
後開設へ」
11/19 「第一原発2号機の線量測定本格化/燃料取出しへデータ」
11/20 「原発排気筒撤去作業手順を確認/東電、広野で実験公開」
「第一原発、フランジタンク49基汚染水浄化『溶接型』保管に切り替
え」
11/21 「第一原発3号機、核燃料取出しトラブル、管理徹底求める声相次ぐ」
11/22 「ICT活用繁殖牛管理システム/県、飯舘で実証開始」
11/23 「山木屋小中、学区外通学容認へ/川俣町教委、2019年度に制度導入
へ」
11/27 「廃炉研究の成果発表、富岡きょうまでJAEA」
11/28 「本県などの放射線監視装置で/1000基/災害対策不備」
11/29 「復興拠点立ち入り規制緩和へ/被ばく線量推計示す/政府」
「あすオープン、東電廃炉資料館/反省と教訓後世に」
11/30 「モニタリングポスト一部撤去/国見で県内最後の説明会」
「新たに資料18ヵ所誤り、東電、汚染水浄化後の測定」
12/1 「トリチウムの影響議論/専門家『体内で濃縮されない』」
「東電廃炉資料館オープン/地域住民ら見学」
12/2 「第一原発2号機/放射性物質、詳細分析へ/調査カメラ付着/デブ
リ解明に光」
12/4 「浪江中が休校、2019年度、町教委/『臨時休業』6校も」
12/5 「津波予測甘さ認める/広瀬東電副会長/英で講演」
12/6 「核燃料、乾式貯蔵に新基準」
12/7 「除染廃棄物の中間貯蔵搬入、2021年度までに完了」
12/11 「『3.11』から7年9ヶ月/東京電力廃炉資料館/被害状況発信に課
題」
12/13 「288号国道/県道いわき波江線/県道井手長塚線/特別道路適用を
検討/双葉町議会、伊沢町長が示す」
「帰還整備など重点/復興庁、創世期間後の課題案」
「復興拠点整備に869億円、来年度予算案、増額で調整へ」
「規制委、政府の放射線防護策了承/年内に避難解除要件示す」
12/14 「避難指示先行解除/大野病院敷地も検討/大熊町、県に早期再開要
望」
「22年春/双葉町役場の一部機能再開/双葉駅隣接施設で」
「汚染水処理認識に差、東大大学院研究センター/県内外でネット調
査」
12/18 「県、市町村などに除染土壌の再生利用促す/3月めどに手引/最終
処分量削減へ環境省」
「防潮堤2020年度上期完成/第一原発予定地1メートルかさ上げ」
「2月にデブリ接触調査」
「処理水の結果、424ヵ所誤り」
12/22 「来年度予算案、閣議決定/復興特会2兆1348億円」
12/23 「核燃料、来夏本格搬出へ/東電福島第一原発3号機/今年度内に試
験実施」
「汚染水処理の県内外ネット調査/十分な理解進まず/専門家、『一層
の説明発信を』」
12/24 「東電がれき撤去着手/第一原発1号機プール周辺、来月から」
12/25 「第一原発/汚染水 硫化水素検出/有機物分解化、腐食確認へ」
12/26 「東電福島復興本社代表、大倉誠氏に聞く/廃炉着実な推進努め」
12/28 「県民健康調査甲状腺検査/25歳の受診率8.9%/県外転出などの影
響、鮮明に/がん確定2人増」
「処理水の海洋放出反対/全漁連・地上保管要求」
「第一原発3号機/3月から核燃料搬出/2020年度内に完了へ」
「帰還困難区域、夜の森桜並木/バスでの花見実現/来年4月、富岡
町、国と調整」
12/27 「東電原発事故、強制起訴裁判/旧経営陣に禁錮5年求刑/指定弁護
士『津波対策怠った』」
「勝俣、武黒、武藤3被告への論告要旨」
12/29 「魚介類3年連続下回る/セシウム基準値2018年県調査/新米は5
年連続」
「大熊の特定復興再生拠点、町が施設配置案」
「放出の安全確認で議論/トリチウム水処分検討、政府小委員会」
2019年
1/5 「協力会社と連携強化/東電社長、年頭あいさつで示す」
「着実な廃炉や復興に全力/被災6町首長を訪問」
(次週に続く)
[バックナンバーを表示する]