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2019年01月03週
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 東電福島の事故で避難した人たちの元の住居(市町村)に戻る「避難解除」は、降り注いだ放射性物質による被曝の危険がなくなることでした。それが条件のはずでした。人間がその場所(市町村)に住むことになったのは、多かれ少なかれそこが生きて生活する条件に満たされていたからです。そうして「生きて生活する条件」は、そんなたやすくはない場合も多く、人々の苦難の歴史(まさしく血と汗!)があって初めて可能になりました。東電福島の事故で避難することになった人たちは、それが「避難」である限り、一時的にそこを離れることになりました。そして、戻る条件は、そこで人々が生きて生活してきた、生きて生活するに値する、安全な場所であることでした。だから「避難」することを受けいれたのです。受け入れたはずです。
 その約束を果たす為に実施されることになったのが放射性物質の除染です。それは、無味・無臭かつ目には見えない、けれども確実に生きものの生存をおびやかす物質です。やっかいなのは、それをさえぎるのが難しいことです。降り注いだ放射性物質は、その時の風次第でどこにでも移動し、更にその透過する力で、それが生きもの、人間である場合は、人間の細胞、遺伝子などに影響を与えます。原子力発電所は、そのやっかいなもののエネルギーを利用するにあたって、稼働はそれを100%閉じ込めるのが条件でした。東電福島が重大事故になった時、閉じ込められなくなった放射性物資が、降り注いだ市町村から、そこに住んでいた人たちは大急ぎでとるものもとりあえず、逃げ出すことになりました。「避難」ということになったのですが、被曝の危険にさらす訳には行かなかったからです。東電福島の事故まで、放射性物質は、厳しく管理されてきました。たとえば、医院などで実施される「レントゲン撮影」は、それに従事する人たちの健康がおびやかされることのないよう、管理上の約束、たとえばその場所での飲食の禁止、やむを得ない被曝の上限、通常を超える場合の放射性物質の上限などが厳しく決められていました。東電福島の事故で降り注いだ放射性物質の場合も、こうした事例が前例となって避難及び避難区域も決められることになりました。当然、避難先から住民が戻る、避難解除もこうした条件が満たされることが前提となります。なるはずですし、ならないとおかしいのです。
 そして、降り注いだ放射性物質の「除染」が実施されました。その費用は、2兆円を超えると言われます。「無味・無臭でかつ目には見えず」「さえぎるのも難しい」物ですから、「除染」の作業もまた危険にさらされることになります。だからと言って、効率よく機械を使うこともできず、ひたすら人間の作業員に頼らざるを得ないのが「除染」です。しかし、その物質が、前述のようなものであったとすれば、それを、除去することが難しいのも明らかです。また、その場所が、多様な自然環境であったりする場合、その対応も難しくなります。従って、住宅などの周辺が森林だったりする場合は、そこから20メートルの範囲に限って除染することになりました。森林は除外されたのです。しかし、放射性物質が前述のものであったとすれば、除染した場所に「境界」を超えて流れ込むのを止めることはできませんから、どんなに徹底して除染したとしても、そこは再び繰り返し汚染されることになります。2兆円を超える費用で実施した除染は一回限りです。住民の避難と除染を実施した本来の意図からすれば結果、効果を確認するのがスジというものでしょうが、一回限りの除染の「実施」だけで、一番肝腎の結果の内容・評価は一切問題にされないで、避難が解除されることになります。いいえ、問題にされなかった訳ではありません。「避難」指示の目安だった、1m㏜/年以下は、どこかに置き去りになって、20m㏜/年以下であれは、避難解除、元の住居に戻ってもいいことになりました。その場合には、高性能の個人積算線量計を無償で貸出し、被曝量を自己管理することが、避難解除の必要条件ということになりました。
 その結果、避難解除は、避難解除準備区域から、居住制限区域と拡大され、それが帰還困難区域に及んでいます。で、帰還困難区域はどうなっているかと言えば、その一部を除染し、復興拠点として整備し、公的機関の一部や一部住民の帰還をうながす取り組みが「着々」と進められています。場所は帰還困難区域、放射線量は50m㏜/年以上です。その区域の一部、避難前まで公的機関などのあった場所を、集中除染し施設などを新設し特定復興再生拠点区域(復興拠点)とする取り組みです。
 「葛尾村の帰還困難区域/20日から復興拠点整備/環境省は9日、東京電力福島第一原発事故に伴う葛尾村の帰還困難区域で27日から特定復興再生拠点の整備を始めると発表した。これにより復興拠点の整備計画が認定された富岡、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘の全6町村で環境整備事業が行われることになる。国は各整備区域で計画認定から5年をめどに避難指示解除を目指す」(2018年11月10日、福島民報)。
 「復興拠点の住宅・集会所完成/飯舘村が村内深谷行政区の復興拠点に整備を進めていた村営住宅、集会所が完成し、15日、現地で竣工式が行われた。…村営住宅は15世帯で、1LDKが8世帯、2LDKが5世帯、3LDKが2世帯。村外から移住する2世帯を含む14世帯の入居が決まっている。…総事業費は約6億7千万円。福島再生加速化交付金を活用する」(11月16日、福島民報)。
「復興拠点立ち入り規制緩和へ/被ばく線量推計示す/政府。28日の原子力規制委員会の定例会で内閣府原子力被災者生活支援チームは、2020年3月に全線開通予定のJR常磐線沿線の双葉、大熊、富岡の3町で勤務した場合などの外部被ばく線量推計値を初めて示した。各現場で1年間勤務した場合、双葉は1.1ミリシーベルト、大熊は0.52ミリシーベルト、富岡は0.47ミリシーベルトと推計した」(11月29日、福島民報)。
(次週につづく
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