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2019年02月03週
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「安倍首相の施政方針演説」(2019年1月29日、朝日新聞)には、東電福島の事故は、「4地方創生中、東日本大震災からの復興項」で少し言及されています。「原発事故で大きな被害を受けた大熊町では、この春、町役場が8年ぶりに、町に戻ります。家々の見回り、草刈り、ため池の管理。将来の避難指示解除を願う地元の皆さんの地道な活動が実を結びました。政府も、インフラ整備など住民の皆さんの帰還に向けた環境づくりを進めます」。
 「地元の皆さんの地道な活動が実を結びました」と言及される、東電福島の地元を地元の新聞(福島民報)の2019年1月8日~2月10日までからひろい上げると以下のようになります。

 1月8日、
  ・原子炉冷却水タンク増設/第一原発の線量のデータ公開不具合
/東電
 1月9日
  ・第一原発廃炉工程/東電小早川社長に聞く/示し方工夫したい
  ・「福島の現状を積極的に発信」/東電社長ら来社
 1月10日
  ・大熊、大川原の災害公営住宅/戸数超える申し込み
 1月12日
  ・復興庁住民意識調査/既に戻っている/葛尾24.9%、浪江4.9%
/前年度比増
 1月13日
  ・第一原発/新型のセシウム吸着装置/今週にも運用開始/5か月
遅れ稼働
  ・第一原発の増設防潮堤高さ11メートルに/超巨大地震に備え
 1月15日
  ・県民健康調査/心のケア確立を目指す/きょうまで国際シンポ/現状、課題を発信
 1月16日
  ・甲状腺検査、意義浸透を/県民健康調査の国際シンポ閉幕/情報発信の在り方議論
 1月19日
  ・半減期の10倍近く減/相双の河川中放射性セシウム濃度/
JAEA発表
 1月25日
  ・「営農再開」「再開意向」40%、避難区域の農家、個別調査
  ・来月中旬、デブリ接触調査へ/第一原発2号機
  ・安全対策の徹底求める声相次ぐ/第一原発廃炉会議
 1月27日
  ・セシウムの濃度急速減少/南相馬と浪江の川/半減期の10倍の
ペース
 1月29日
  ・東芝、デブリ調査装置を公開/第一原発2号機/接触し状態確
認へ
 1月30日
  ・東電の広報姿勢批判/原子力安全改革監視委/抜本的な改善要

  ・県内昨年試験操業水揚げ量/前年比1.22倍
  ・廃棄物の固型化処理施設を視察/富岡の環境安全委
  ・震災避難者5万2731人/復興庁発表
  ・中間貯蔵の除染土処理システム/実証試験施設を公開、環境省
  ・「情報センター」あす開所/大熊、中間貯蔵施設の概要紹介
 2月1日
  ・第一原発、2号機建屋の線量把握/東電、調査結果公表/最高値は毎時148ミリシーベルト
  ・排気筒解体5月に延期/第一原発1,2号機
 2月2日
  ・南相馬市の除染廃棄物/中間貯蔵施設への搬出/2020年度完了の
見通し
  ・推計約1400万立方メートルに/環境省、中間貯蔵施設搬入
 2月3日
  ・地権者会に中間貯蔵の現状説明/環境省
 2月4日
  ・第一原発1,2号機の排気筒/解体に向け作業再開
  ・小高、除染土壌再利用反対/羽倉行政区、環境省実証事業で
 2月8日
  ・13日にデブリ初の接触調査/第一原発2号機
 2月10日
  ・震災の記憶後世へ/双葉町で拠点施設起工/2020年7月に開所

 「安倍首相の施政方針演説」で「将来の避難指示解除を願う地元の皆さんの地道な活動が実を結び」と評価された、東電福島の地元の人たちにとって、何よりの願いは、事故の放射能の危険が無くなって、その地元で元の生活に戻ることです。現在もその放射能の危険の元になっているのが事故の原子炉で、それが存在する限り危険はなくなりません。その為に言われているのが「廃炉」です。
 その廃炉について、地元の新聞のインタビューに(福島民報)、小早川東電社長が答えています。インタビューでは、言われている廃炉の工程や見通しについて、繰り返し問われていますが、「工程」も「見通し」も明らかにしません。「福島第一原発の廃炉作業を含めた社全体での検討が必要だ。スピード感を持たなければならないが、いつまでに工程を示すと言える状況にはない」「30年から40年を要する廃炉事業は誰も経験したことはない」「廃炉の完了時期を見通せないのは、いまだに溶融燃料(デブリ)に触れられない段階にあるからだ」。で、「工程」も「見通し」も示せないのは、小早川東電社長が答えている通り「…いまだに溶融燃料(デブリ)に触れられない段階」にあるからです。「触れられない」段階で試みられているのが「デブリ接触調査」です。「東京電力福島第一原発2号機の原子炉内にある溶融核燃料(デブリ)の硬さなどを確かめる初の接触調査は2月中旬にも実施される見通しとなった」「昨年1月の内部調査で使用したカメラ付きパイプを改良した機器を原子炉格納容器底部に投入する。先端部に取り付けた装置をデブリに直接触れさせ、硬さや状態などを確かめる。内部の空間放射線量や濃度も測定する」「デブリの詳細な性質や状況は分かっておらず…」。「工程」も「見通し」も示せないのは、「廃炉」の核心である、それを取り出す「デブリの詳細な性質や状況」がほぼ全く解っていないからです。インタビューの「事故から8年になるが」それは解っていないのです。何よりも、高い放射線量がそれを拒みます。炉内はもちろんですが、原子炉建屋内も、人間の出入りを拒む高い放射線量です。「第一原発2号機建屋の線量把握/東電、調査結果公表/最高値は毎時148ミリシーベルト」。これって、第一原発2号機建屋、オペレーションフロアの数値の一つです。で、どういうことかと言うと、2号機の「使用済み核燃料のプールからの核燃料取り出しに向けた計画策定の重要な一歩」なのです。使用済み燃料がそんな具合ですから、溶融燃料の取り出しは、はるか彼方の課題であるのは、線量把握の手立ても、手がかりもそもそもが手の付けようがなくで、それへの「初の接触調査」が始まろうとしている段階だからです。壊れた原子炉で放出を止められなくなった、放射性物質が、それをはばんでいるのがすべてです。
 東電福島では、おびただしい数の作業員が、事故対策に狩り出されています。放射能の被曝にさらされる現場です。たとえば、「第一原発1,2号機排気筒/解体に向け作業再開」(2月4日、福島民報)は、高所の解体作業の危険はもちろんですが、事故当時、大量の放射性物質を大気中に放出した時に、高濃度に汚染されている為、解体作業の手順をするそのことが被曝の危険にさらされる事になり、手順そのものが容易ではないからです。
(次週に続く)


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